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懐かしきステイホーム

ネットで調べものをしている時に、今もまだ2020年前後の記事がヒットすることがあり、当然だがその当時の背景に沿った文章が書かれている。「ステイホーム」とか「緊急事態宣言」とか、そういった言葉が目に付くのだ。

2020年頃はコロナウイルスによる感染症対策でステイホームが推奨されていた。推奨どころか緊急事態宣言が出ていた時などは、外に出ることが難しい雰囲気が社会に漂っていた。

当時の学生やお子さんなど、人生における大切な時期を過ごしていた人や医療従事者の方々は本当に大変だったと思う。そんななか誠に勝手ながら、あのステイホームの時期を最近は懐かしく思う様になってきている。

有難いことに仕事はあったので生活には困らなかった。そして支出は自然と削減され、とにかく有り余る時間をどう過ごすかが大切となった期間だった。

だからたくさん本を読んで過ごしていた。当時は仕事においても責任あるポジションではなかったので、大抵は早めに切り上げて平日も本を読んでいた。週末はもちろん朝から晩まで本を読みこんで、もう頭が回らないという状態になったら酒を飲んで寝てしまうような休日が多かった気がする。

運動不足の解消のために夜の街をジョギングした時は、通りに誰も人がいない異様な光景が新鮮な気持ちをもたらしてくれた。人間、制限が多い時には些細なことで感動することができるものだ。

僕は本来はこういう暮らしが向いているタイプで、自ら意識をしないと外向的に振舞って人と関係性を築いていくことができない。大人になってから、生きていくために意識的に外向的になったのだ。

そのためステイホームの間は、人と関わらずに内向的に本を読んで過ごすことが世間から推奨されるという、極めて異例な時期だったと思う。一日中本を読んで酒を飲んで寝てしまうことが正しい行いとされていたなんて不思議なものだ。

それももう今は元の世の中に戻った。人間の進歩は凄いものだと思う。

そして、この経験によって学んだことも多い。本当に必要なものは何かも学んだし、人間や社会がどの様な考えをもってどの様に動くのかもわかりやすく表れた経験だった。

もちろん、もう一度あの頃に戻りたいかと言うと戻りたくはない。だけど、あれはあれで居心地の良い瞬間も多かったなと時々思ってしまうのは、きっと僕だけではないと思う。

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