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「わかってるなぁ」と顧客が思う瞬間

経営者自身が技術者である企業が本当の価値をもたらす、という話をよく読みます。

例えばGAFAMのようなITの巨大企業のCEO、ビルゲイツもザッカーバーグも自身でコーディングすることができ、その思想が経営にも反映されているというのはよくわかります。

ホンダの創業者である本田宗一郎も、自身が生涯エンジニアであった思想が企業文化に強く浸透していました。

いろんな本を読んでこういった話を知ると、確かにそうなのだろうと頭では理解していましたが、話のスケールが大きすぎて今ひとつピンときていませんでした。僕は経営者ではなく会社員なので、尚更しっくりくる理解ができないのです。

しかし、この前、自分が顧客の立場になった時にこの話がしっくりきました。経営者の思想や哲学が商品やサービスに行き届いている瞬間に立ち会うことができたのです。

それは居酒屋でのことです。僕は日本酒が好きなので、だいたいどこの店でもいつも日本酒を注文します。

個人差があることは百も承知ですが、日本酒を飲むときに必要なのは、刺身でも天ぷらでももつ焼きでもなく、お冷です。

日本酒の傍らにお冷があることが何よりも大切であり、そのうえでお刺身や天ぷらやもつ焼きが出てきて欲しい。単なる二日酔いの防止のためだけでなく、口のなかや気分をリセットしてくれる存在として、絶対に日本酒の横にあってほしいマストアイテムです。

基本的には別途お冷を注文することで提供してくれますが、日本酒の提供に力を入れているお店では、注文をしなくともお冷を同時に出してきてくれます。そしてお冷がなくなりそうになると店員さんが注ぎに来てくれることも多いです。

この気配りをしてもらうと、日本酒好きの消費者として「わかってるなぁ」と唸るように思ってしまいます。

これはおそらく、IT企業の経営者自身がプログラマーであるのと同じように、お店の経営者自身が日本酒が好きなのだと思います。ハイボールやビールに合う料理に力を入れて賑わっているお店で、少数派として日本酒を注文してもお冷をさり気なく提供してくれるところはなかなかありません。

魚を中心とした料理を出し日本酒にも力を入れているお店がお冷を出してくれる傾向があると思います(調査はしていませんが)

そのお店のオーナーや店長自身も日本酒をよく飲みに行くのではないでしょうか。または、お客さんと直接接する機会を未だに多く持っているのだと思います。だからこそ、顧客への気配りの際に、自然と顧客視点のサービスができるのでしょう。

顧客が本当に必要だと感じていることを理解するためには、現場での労働を経験している必要があるようです。


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