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世界系

 改めて、小説や各種物語の中には様々なジャンルがあり、各ジャンルはその業界での決まり事をある程度踏襲しつつ、それでいて他から抜きん出るべく個性の光る作品へ昇華しようともがいている。その中でもSF系の作品は多ジャンルに跨って存在し、SFの決まり事が比較的緩い事もあって、自由な表現形式として人気がある。ダイレクトに特定の団体、国家、人種等を槍玉にあげたり、禁忌に触れたりする事が極めて危険な事である場合、架空の設定で、ただ判る人には解る書き様で表現すれば危険をかなり軽減し、且つ、隠喩を通じて真実を露呈する事も可能であるからだ。
 そんな中でも最近「世界系」と言われる作品群が大変人気だ。大体のパターンは同じである。現実世界では無力平凡な主人公が、理由はともかく別世界に飛ばされる。そこでは彼、彼女は絶大な力を有し、非凡どころか神に近い存在と成りうる。そしてこの形式は受け手側が主体を持つ事を容易にする。読者等の受け手側に主体がある世界系、皮肉にも現実が窮屈になれば需要は増すようだ。洋三の文章は文字数から逃れ


〈掲載…2018年3月28日 週刊粧業〉

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