おかだなおき

京都生まれ。映画を撮ります。 映画のこと。本とか音楽とか。日々のことも。 だらだら書い…

おかだなおき

京都生まれ。映画を撮ります。 映画のこと。本とか音楽とか。日々のことも。 だらだら書いていきます。 うどんが好きです。

最近の記事

『断片的なものの社会学』を読む。

京都に帰省中、大学時代によく行っていた本屋に行った。 その本屋は喫茶店も併設していて、喫煙席もあるのでよく作業をしに利用していた。 そこで岸政彦さんの『断片的なものの社会学』を買う。もともとは違う本を探していて、目的の本が無くてどうしようかと思っていたら、ふと目に入ったこの本のタイトルに惹かれて買ってしまった。 著者である社会学者の岸政彦さんは、ある歴史的な出来事を体験した当事者個人の生活史の語りをひとりづつ聞き取るというスタイルで研究をしていて、この本はそんな聞き取りや、

    • 『日々をつなぐ』特集を観る。

      4月20日、下高井戸シネマに『日々をつなぐ』特集を観に行く。 カメラマンの飯岡幸子さんの監督作『ヒノサト』、映画編集者の大川景子さんの監督作『Oasis』の2作品を観た。 下高井戸シネマ、初めて行った。飯岡さんの主催の特集ということで、2作品とも満席。 『ヒノサト』 飯岡幸子さんが映画美学校のドキュメンタリー科時代に作った作品で、飯岡さんの祖父が持っていた蓄音機、レコードをきっかけに、祖父のことを知りたくなった飯岡さんは、祖父が高校の美術教師をしていた福岡県宗像市日の里の

      • 『パストライブス/再会』を観る。

        4月12日。京都シネマで『パストライブス/再会』を観る。 久し振りの京都シネマ。座席が好きなのでお気に入りの映画館だ。 二人の男女の24年間の恋愛映画。いや、厳密には恋愛映画ではないんじゃないかと思う。 韓国に住む少女ノラと少年ヘソンは、互いに恋心を抱いているが、ノラがアメリカに移住した事で離ればなれになる。そして12年が経ち、ヘソンはフェイスブックでノラを探し、オンライン上で再会する。しかしまた小さなすれ違いで二人は離ればなれに。さらに十二年後、ニューヨークで再会して

        • その船の名前は「映画館」。岡田、「ヴェンダース」に出会う

          3/19。 ユーロスペースで『東京画』と『都市とモードのビデオノート』 3/20。 東京写真美術館で『夢の涯てまでも』 2日間連続でヴェンダース映画を観た。 『東京画』 小津安二郎を敬愛するヴェンダースが、80年代の東京を訪れ、小津の映画から時が経った東京を見つめる。 笠智衆や厚田雄春のインタビューからヴェンダースの小津への深い愛が伝わって、この人も映画作家である前に、一人の映画好きなんだなと思った。 ヴェンダースが小津に出会ったのはニューヨークの映画館で、ボロボロの

        『断片的なものの社会学』を読む。

          いい時間

          なんか駄目だなあ、なんか調子悪いなあ、みたいな日々がほとんどだけど、そんな日々の中にも「いい時間」というのはやって来る。 それは朝ベランダで良い感じの音楽を聴いて煙草を吸うことだったり、なんもない日にダラダラと友達と昼からビールを飲むことだったり、銭湯にゆっくり浸かったり、色々ある。 最近のいい時間は、職場の送別会。 一次会が終わって、みんなで近くに住む同僚のマンションの屋上に行って花火をした。 あれは正しく久々のいい時間。 花火を楽しむ人もいたり、柵に寄りかかってお喋

          『記憶;リメンブランス』

          東京写真美術館で開催中の写真展、『記憶:リメンブランス』に行ってきた。 いつも思うけど、楽しい。映画館とはまた違った楽しさ。 ホンマタカシの写真展に行った時、受付のお姉さんに「素敵な時間をお過ごしください」と言われたのをずっと覚えている。 そうそう、素敵な時間なんだよ。普段とは少し違う、素敵な時間。 僕にとってはディズニーやユニバのアトラクションくらい楽しい時間。 展示されている写真や映像を見て、良い写真だなとか綺麗な風景だなとか、これはどういう意味なんだろう? 記録って

          『記憶;リメンブランス』

          『アンダーカレント』『ほつれる』二本立てを観る。

          ※ネタバレありです。 午後からのバイトまで、午前中に二本立てを観に行く。 どちらも去年見逃した作品なので、しっかりと朝に起きて朝活映画鑑賞をしてきた。 『アンダーカレント』駄目でした。今泉力哉の作品は好きなのもあるけど、これは僕にはきつかった。 失踪した夫(瑛太)と残された銭湯を切り盛りする妻(真木よう子)、そして突然真木よう子のもとへやってくる謎の男(井浦新)。 真木よう子には何か過去に辛いことがあったらしく、綺麗な映像で回想されている。しかもそれには井浦新も関係している

          『アンダーカレント』『ほつれる』二本立てを観る。

          『夜明けのすべて』を観て。

          3月7日、tohoシネマズ渋谷で三宅唱の新作『夜明けのすべて』を観た。 いやあ、素晴らしい。日本でもこんなに良い映画がまだあるんだよなあ。最高っすよ、ほんとに。 劇中、パニック障害の人が書いた文章(題名とかは読めなかった)が映される。『歩ける範囲が、世界のすべて』この言葉に、ずしんと来た。 凄く小さな範囲の世界の映画だけど、山添君と藤沢さん、それ以外の人にとって、あの小さな世界が彼らの世界なんだ。 僕が普段見落としているものが、この映画には映っていた。 カメラはありのままの

          『夜明けのすべて』を観て。

          生活(僕の現実と理想、そして蜘蛛)

          23時まで仕事をして、家に着いて食事をして、YouTubeを見ていたらもう2時とか3時。 風呂に入るか迷い、明日でいいやとなって寝てしまう。ひどい時は寝ずに窓外の景色が明るくなっている。 こんなんでいいのか僕の生活よ! と思って最近はちゃんと朝に起きて朝ごはんを食べて、本を読んだり、仕事の時間まで映画を観に行ったり、文字に起こしても理想的だと思える生活を頑張って送っている。 (風呂もちゃんと夜に入っている) 職場の人に、休日は何してるの?と聞かれて、映画を観に行ったり、本

          生活(僕の現実と理想、そして蜘蛛)

          『枯れ葉』を観て。

          去年の12月、『枯れ葉』をユーロスペースで観た。カウリスマキの久しぶりの新作とあって、動員はほぼ満員。 過去の名作達は観ても、まさか新作を観ることが出来るとは思ってなかった。 (とりわけ去年はそういう監督達の新作を観れて幸せだ) いつものように登場人物は無表情で、無愛想。でも感情はしっかり伝わってくる。あ、今笑ってる。あ、今悲しいのかな。とか、彼らに寄り添いながら観ていた。 カラオケを熱唱する人を無表情でずっと見る客たち。笑ってしまった。まあ、笑っていたのは僕と斜め前のおっ

          『枯れ葉』を観て。

          生活

          せっかくの2連休、どこか遊びに行ったり、観たかった映画を観に行ったり、買ったままの本を読んだり、洗濯したり部屋の掃除をしたり、いろいろしたいことはあるけれど結局ただただ家で寝ている。という日が多い。 いつもいつも理想の1日というものを求めて理想通りにしようと頑張るのだけれど、上手くいかない。ああ今日も駄目だったと深夜3時に落ち込むのも良い加減疲れた。 素晴らしい1日を過ごせた日はあっただろうか。あれはたぶん8月の末頃。京都に帰った日。昼から友達と台湾料理屋(ハッピー飯店と