法律書を各科目1冊オススメする

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今日は、憲法・行政法・民法・民事訴訟法・会社法・刑法・刑事訴訟法の各科目の本をどれか1つ選ぶとすればどれにするかについて書きたいと思います。私の好みというよりも、定番どころから1冊だけ欲しい人に紹介するなら、という観点で書きました。

■憲法

安西文雄ほか「憲法学読本」第3版

憲法には聖書のようなものがあって、それはいわゆる芦部憲法(最新が2019年に出た7版)です。しかし、著者の芦部信喜は20年以上前に亡くなっています。それ以降は弟子の東大の教授であった高橋和之が本文には一切手をつけず、補訂で後から記述を加えるような形で改訂が現在まで続けられています。なので、改訂方針自体に読みにくさがあって、そもそもの本文自体も決して分かりやすいものではないので、1冊を持ちたい人にはお勧めできません。

この憲法学読本は、標準的な議論がよくまとまっており、高度な議論も触れられてはいるものの立ち入りすぎてはいないという点で、お勧めできます。

■行政法

定番です。これを選んでおけば間違いありません。

基本行政法という本も司法試験受験生の間では好まれていますが、受験生に対する説明に特化してる気がするので、教科書としてはこちらの方がお勧めできます。

ちなみに著者の櫻井敬子と橋本博之は夫婦です。

■民法 

-1 民法総則・物権

佐久間毅『民法の基礎1 総則』

超定番です。分かりやすいです。高度な議論はコラムのような形で書かれているので読み飛ばして良いです。

佐久間毅『民法の基礎2 物権』

同じく超定番です。

-2 民法 担保物権

薄く分かりやすいです。権威のある教科書というわけではないのですが、司法試験の受験生の薄く分かりやすい教科書を好む人の間では担保物権の定番の書になりつつあります。

-3 民法 債権総論

債権は中田裕康『債権総論』4版が一番優れた本だと思いますが、高度なので、1冊欲しい人は上記のストゥディア債権総論が薄めで分かりやすいです。

-4 民法 債権各論

債権各論は、契約法・事務管理・不当利得・不法行為4分野にさらに分かれるのですが、不法行為以外は上記I、不法行為は上記IIが定番でお勧めです。

-5 家族法(親族法・相続法)

有斐閣アルマシリーズの家族法教科書もあるのですが、編集方針の都合上文字数を絞っていて説明に舌足らずなところが無いわけではないので、こちらのリークエの方が説明がしっかりされている点でオススメです。

■会社法

田中亘『会社法』

教科書としてのクオリティが非常に高いです。分かりやすく、理論的にも説得力があります。いわゆる紅白本(弘文堂の高橋美加ほか4名で書かれた教科書)もあるのですが、試験に特化した内容で教科書としてはこちらがオススメです。

■民事訴訟法

三木浩一ほか『リーガルクエスト民事訴訟法』3版

最近シェアを伸ばしつつある定番の本です。読みにくさがないわけではありませんが、他の民事訴訟法の本と比べると相対的には読みやすく1冊選ぶとするならこれになります。

■刑法


大塚裕史ほか『基本刑法』I・II

超定番です。判例・実務に沿って書かれていて使いやすく、ただただ分かりやすい。

多分法律の基本書の中で最も人気のある本だと思います。

■刑事訴訟法

酒巻匡『刑事訴訟法』と迷いましたが、読みやすさの点でこちらにしました。証堀江慎司執筆部分の証拠法の記述が極めて評判が良いです。


いかがだったでしょうか。あえて1冊推薦するならという観点で書いたので、他の類書を買ってみても大丈夫です。上で紹介したものは本当に定番どころから選んでるので、興味のある人が買って後悔はしないと思います。


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