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死刑囚の絵


娘の爪を切る。ちいさな掌。左の小指を深く切り過ぎた。血が流れる。娘が泣く。泣くに任せた。ベッドに潜りこんだ。昨夜はいつもに増して夜泣きが激しかったから、ただ眠りたかった。窓から差し込む白昼の日差しで布団はなまぬるい温もり。娘は泣き続けていた。いつのまにか眠りに落ちた。
死刑囚の描いた絵を買う夢を見た。横長の白紙の、中心よりは少し高い位置に、青色の短い線がひとつある。夢の私は、ふしぎとそれを抽象とは見ずに、青い絵の具と広い余白の具象と思うのだった。

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