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国会議員はどう選ぶべきだと思いますか?

2021年10月19日(火曜)いよいよ衆議院議員総選挙が告示されます。今回の投開票日は10月31日(日)ですので、30日(土曜)までの実質11日間の選挙活動になります。

我が日本の国会は衆議院参議院の2つの議院で構成されております。衆議院は衆議院議員で構成され、参議院は参議院議員で構成されております。

衆議院議員の任期は4年間です。しかも「解散」が存在するので実際の任期は4年より短いことが殆ど(日本国憲法下で任期満了の選挙となったことは1回しかない)です。そして全員が一度に改選されます。

一方の参議院議員の任期は6年間です。そして解散がなく、3年ごとに半数が改選されます。

そして衆議院議員、参議院議員、ともに共通して言えることは「国会議員は選挙区や地域の代表ではなく、国政を担うべく地域・地方から選ばれた存在である」ということです。

しかし、国民の中には「国会議員は地方に国からの利権やカネをもたらすことが仕事」と捉えていらっしゃる方が多いですが、それ、間違いですから。間違ってもお子さんの前では言わないようにしましょうね。

今日は衆議院議員とはどういう存在であるべきか、そしてどう選ぶべきかを話していきたいと思います。

衆議院とはどういう存在なの?

先ほども申しましたが、衆議院議員は任期4年ですが、解散が存在するので、それより短い任期になるのが普通です。

ちなみに4年の任期満了で総選挙になったのは、1976年(昭和51年)12月5日に投開票された第35回衆議院議員総選挙三木武夫内閣(第66代内閣総理大臣)の時の1回のみでした。

衆議院議員は解散があり、任期が短いため「もっとも民意を反映した選挙」と言われることが多いです。そのため、衆議院は参議院と比べると数々の優越権というものを持っています。

例えば


法律案の議決
衆議院で可決し、参議院で否決された法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律となります。

内閣総理大臣の指名、予算の議決、条約の承認
上記について参議院で衆議院と異なった議決をし、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が、衆議院の議決から一定期間内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります。

内閣不信任決議権
内閣不信任決議は、衆議院のみが行うことができます。(日本国憲法第69条)衆議院で不信任の決議案を可決した時は10日以内に衆議院を解散もしくは総辞職しなければなりません。

こんなところですね。

国会議員の本分(お仕事)とはなんなの?

まず、議員という存在がどういうお仕事をする人なのかを理解する必要があります。

議員とは国、都道府県、また市町村等の自治体に設置されている議会を構成する存在で、有権者による選挙によって選出されます。

そして、議員のお仕事とは有権者に代わって予算や法律の制定、政府(および政権与党や首長)の権限監視になります。

特に国会議員の場合は、国会が日本最高の立法機関であり、最高機関であることから、法律を作り、その法律について質問をすること。また国家予算の使い道についても政府に質問をし、疑問をなくすこと。さらに政府与党の行なっていることが道理や法律に則っているかを監視することです。

しかしながら国会議員にしかできないことと言えば「法律(国法)を作ること」と言っても過言ではありません。

従って、国会議員としての仕事をしているかしていないかの判断は

1、国会で質問に立った回数
2、議員立法を行なった回数

これで判断すべきだと思っています。
もちろん、地方の要請、要望や陳情を聞くこと、地域の課題解決のために便宜を図ることも仕事の1つかもしれませんが、それは「国会議員の仕事」ではなく「有権者に選ばれた人間として果たすべき義務」に過ぎないと考えています。

よく、企業誘致をしたとか、◯◯を作ったとか、イベントを成功させたとか、選挙時になるとやたら実績として語る人がいますが、それらはすべて「国会議員の仕事として評価するものではない」と思います。

なぜなら、国会議員は「国政」に関わることを仕事とするべきもので、特定地域に便宜をもたらす存在ではないからです。

違法行為を行った国会議員に国政に関わる資格があるの?

これは非常に難しい話なのですが、議員といえども人間です。魔がさしたり、ついうっかりで、出来心で違法行為に手を染めてしまったということはありえない話ではありません。

しかし、有権者から選ばれたということは期待をかけられて政治の場に送り出されているわけですから、法に抵触するまたは違法行為を行なってしまった場合は、それ相応の倫理的な罰を受けるのが物事の道理だと思っています。

なぜなら、国会議員は「国権の最高機関である立法府を構成する一員」ですから。

法を犯して、法に定める罰を受けるのは当然のことです。一般人ならそれで贖罪を果たしたと言えるでしょう。

しかし、国法を作り、国法を司る立場の人間を、一般人と同列に扱ってよいはずがありません。なぜなら選挙によって生じた有権者の付託を裏切った罪が加重されるからです。

だからこそ国会議員は「自らの身を糺す」という罰を受けることで、再び法に関わる職につけるものだと考えます。

例として以下の3つを挙げます。

1、コロナ禍の緊急事態宣言下で銀座のクラブに出入りしていた自民党の松本純前衆議議員などは、党からの離党勧告を受け、自民党を離党しました。

2、立憲民主党の辻元清美前衆院議員は、社民党時代に秘書給与詐欺容疑がかけられた際、自ら衆議院議員を辞職しました(その後逮捕、起訴、有罪判決)。

3、また、無免許運転の常習犯で東京地検に書類送検された木下富美子東京都議会議員は、都議会から辞職勧告を出されても辞職していません。

議員が自分の身を自分で糺す際に、自分の中で有権者をどのように考えているかがよくわかるのが、この態度にあると思います。

その態度を有権者がどう評価するのかが選挙であると考えます。

車検切れ・自賠責切れ議員を公認候補にする自民党

2021年6月、東京都港区六本木交差点で、自民党(宮崎1区)の武井俊輔前衆院議員の秘書が運転する車が当て逃げを起こし、そのクルマが車検切れ、自賠責切れを起こしていたことが発覚しました。

自民党宮崎県連は、宮崎1区内の9支部に意向を確認し、すべてが「武井前議員支持」でしたが、この事件を重く見て「武井前議員を公認しない」という選択をしました。

しかし自民党本部は武井前議員を公認候補としました。加えて、自民党は本件について武井前議員になんら処分を与えていないようです。

私は仕事上、自動車業界と深く関わっています。それゆえ、車検は「クルマが公道を走って良いと国が認めた許可証(ライセンス)」であると認識し、それとともに強制加入である自賠責保険を更新することは、クルマを行動で走らせる所有者が他の被害者のために追うべき最低限守るべき義務である考えています。

その車検切れ、自賠責切れを起こした当時現職の国会議員を、自民党は次期衆院選で党公認候補としました。まるで、自民党は「車検切れなんかどうでもいい」という認識なのかと思える対応でした。

私たちに一般国民は2年に1度(あるいは1年1度)、きちんと車検を受け、数万円から十数万円のお金を検査料として期限までに払い、公道でクルマを走らせる権利を国に認めてもらっています。

ところが、自民党によれば、国会議員なら車検切れ、自賠責切れでも問題ないということのようです。

じゃあ、私たち国民はなんのために車検受けてるんでしょうか?
なんのために万単位の検査料を払っているのでしょうか?
それが「国会議員なら車検切れ、自賠責切れでオッケー」って、まともに払っている私たちがあまりにも馬鹿馬鹿しいと思いませんか?

国の法を作り、法を司る人間が、平気で法律違反して、政党内部でも問題にならず、罰則を受けたかどうかもわからず、平気な顔して次の選挙に出るんですよ。

おかしくないですか?

加えて、武井前議員は、この事故および車検切れ、自賠責切れについて、事の経緯や送検、起訴の有無、罰則の有無、原因等を自分の意思として説明していません。

有権者に選ばれた人間であれば、法を犯したわけですから、記者会見を開き、記者やカメラの前で有権者の疑問や質問に真摯に答える姿勢が求められるはずなのに、それをしない。

これは「そんなことしなくても次の選挙も自分は当選する」とタカを括ってるのかなと思います(あくまで個人の感想です)

選挙前の事前活動?と思える武井前議員の投稿

2021年10月14日(木)、衆議院が解散されました。その日、武井前議員は国会前で動画を撮影し、次期衆院選の意気込みを語っていました。

先程、衆議院は解散致しました。 来週の火曜日より公示、12日間の選挙戦に入ります。 今回は大変厳しい選挙となってしまいました。私、9年間の岸田総理の元で仕事をして参りました。その成果、しっかりと活かし、宮崎のために2倍、3倍と働いて参ります。しっかりと仕事で皆さまにお返しをしてまいりたいと考えております。 どうぞ、よろしくお願いいたします。

Posted by 武井 俊輔 on Thursday, October 14, 2021

ところが、この投稿と動画は本日(10月17日現在)修正されています。
もともとの動画と投稿はこうなっていました。

スクリーンショット 2021-10-15 16.37.52

出典:武井俊輔氏のFacebookページ

今の投稿内容とどこが違うのでしょうか?
答えは文末部分です。

選挙区ではたけい俊輔、比例代表は公明党、共々に勝利をすべく、最後まで全力を尽くしてまいります。

選挙は公示以後にすべての選挙活動が解禁されます。つまり公示前に選挙活動を行うことは公職選挙法第129条で禁止されています。

公職選挙法第129条
選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第86条第1項から第3項まで若しくは第8項の規定による候補者の届出、第86条の2第1項の規定による衆議院名簿の届出、第86条の3第1項の規定による参議院名簿の届出(同条第2項において準用する第86条の2第9項の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第86条の四第1項、第2項、第5項、第6項若しくは第8項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。

最終的に当該投稿が公選法129条に抵触するのか、違法になるのかは捜査機関の判断を待つしかありません。

ですが、このことはツイッターでも指摘されており、当該投稿を修正したことを考えれば、ご本人がヤバいと思われたのかなと思いました。

武井前議員は衆院3回生です。これが最初の選挙ならわからんでもないですが。。。いろいろ「?」が飛び交います。 

誰に投票したらいいのかの判断基準ポイント

いずれにせよ、来週19日(火曜)から11日間の衆議院選挙が行われます。
今後の4年間の政治を担う重要な選挙です。

誰を選ぶべきかわからないという声をよく聞きますが、その選択のポイントを列記します。

1、違法行為を起こしていないこと
一番大事なのはここです。法を作る、司る立場になろうとする人間が「違法行為を行なっていた」時点で選んではいけない人です。これは前職議員がどんなに実績をもっていたとしてもです。

また過去に違法行為をした人の場合、どのような罰を受けたのか、どのような禊を行なったのかを踏まえて選択すべきだと思います。

2、前職議員の場合:国会質問の回数とその内容
国会議員の実績の1つは国会での質問の回数とその内容です。
正しい議員活動をしている議員の場合、国会での質問の日時はきちんと公式WebやSNSに発信しているので、把握は容易だと思います。

そして大事なのは、その質問の内容です。
その質問は理にかなっているものか、筋の通ったものなのか、ただのおべんちゃらになっていないかとか、きちんとチェックすることで「この人に政治を託して大丈夫なのかどうか」を判断する1つの指標にできます。

3、前職議員の場合:議員立法の有無と内容
国会議員のもう1つの実績は「議員立法」です。
国会議員の仕事は国民生活や国、地方の問題、課題解決のための「法律を作ること」です。法律は一人で作るものではないですが、どの議員立法に関わっていたのかとかきちんとチェックすることが大事です。

4、自分の描く社会、国家ビジョンをきちんと語れるかどうか
これは前職議員に限らず、候補者全体に言えることですが、国会議員は国政を預かる一員です。その一員となるべき人間が国家や社会に対するビジョンがないのは問題外です。これを語れない人は国会議員になる資格そのものがないと思ってます。

5、企業誘致、利益誘導等を実績とする人は注意
国会議員は国政のために働く人です。地元のための利益誘導や国のカネを持ってくるために動いている人間は国会議員に相応しくありません。

中には堂々と「自分は首相と距離が近いから直接ものが言える」と公言している前職議員もいらっしゃいますが、それ自体が「利権そのもの」ですから。いわゆる1つの腐ったミカンに等しい存在だと思うべきだと思っています。

国会議員に必要なのは法律をきちんと守り、かつ国家、社会におけるビジョンを現実ベースでもっていることです。

給付金をいくら配るとか、消費税減税とか、そういうことではないと思ってます。

前職議員の多くが駆逐され、新しい議員たちによって既存政党無関係な新しい政治がなされることを強く望みます。

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