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国語力の重要性(MRTの記者グッジョブ)

2022年8月12日(金)、第2次岸田改造内閣の副大臣の顔ぶれが決まりました。

この中には昨年6月に無車検の公用車を公道で走らせた上、当て逃げ事故を起こして不起訴となった武井俊輔国会議員外務副大臣として起用されています。

武井議員が事故を起こしたのは2021年6月、不起訴(嫌疑不十分)となったのは今年(2022年)の3月です。

武井議員は「嫌疑不十分」で不起訴になっていますが。これは同じ不起訴でも「嫌疑なし」とは違います。

「嫌疑なし」は犯罪そのものが成立していないものです。しかし「嫌疑不十分」は「嫌疑がないわけではないが、立証するだけの証拠が不十分」というものです。

そういうグレーの立場の人間を、不起訴が確定してからわずか5ヶ月後に「副大臣」という国の官職を与えるということは、岸田総理の遵法意識を表していると私は思います。

新外務副大臣の国語力

とはいえ、武井俊輔国会議員の副大臣就任は宮崎県の有権者には腹立たしいことではないでしょうか。選挙区で落とした候補が比例復活当選した上で副大臣というポストを得ているのですから。

さて、その新しい外務副大臣である武井俊輔国会議員ですが、不起訴が決まった際の会見での記者とのやりとりを見ると、武井氏の国語力に一抹の不安があるなという感じがします。その原因は下記のTBSニュースの記事です。

こちらは不起訴が決まった武井議員が会見を開いた際、地元MRT宮崎放送の記者が取材した記事です。記者の質問と武井議員の回答を検証してみます。

記者の質問1

ドライブレコーダーに「行ってしまえ」という武井議員の声が録音されていたことが一部で報道されてますが、この点は

秘書が“当て逃げ”の武井議員 「不起訴」の背景と、焦点の「『行ってしまえ』ドラレコ音声」…真意問われ語ったこと

武井議員の回答1

最初の時の会見でも申し上げたことと一貫して変わらないんですが、私は本当に全く気づかなかったということで、後部座席に乗っておった中で後ろから被害者の方、おケガされたわけでございますが、自転車で追いかけてこられたのが私として確認ができましたので、ちょっと驚いたということは事実でして、驚いた中でそういった発言あったということがございますが、ただ重ねて申し上げますけれども、当たったという認識はなかったということはご理解いただきたい。

秘書が“当て逃げ”の武井議員 「不起訴」の背景と、焦点の「『行ってしまえ』ドラレコ音声」…真意問われ語ったこと

MRTの記者は「行ってしまえ」という声がドライブレコーダーに記録されていたことについて、説明を求めるものでした。

しかし、武井議員の回答は

「本当に全く気づかないところ、驚いた中でそういう発言があったということ」
「当たったという認識はなかったことは理解してほしい」


というもので、記者が知りたい「言ったかのか言っていないのか」については、まったく関係ない回答になっています。

まぁ、ぶっちゃけ言いたくなかったんだろうなとは思うのですが。

しかし、さらにMRT宮崎放送の記者は喰らい付きます。

記者の質問2

当たったというご認識はない中で「行ってしまえ」と発言したことは武井議員は認めるか。どういう意図だった?

秘書が“当て逃げ”の武井議員 「不起訴」の背景と、焦点の「『行ってしまえ』ドラレコ音声」…真意問われ語ったこと

武井議員の回答2

「行ってしまえ」という言葉ではなかったですけれども、それに類する言葉、直に言いますと、非常にやっぱり驚いたというのは、もうその通りでありました。やはり私としては当たった認識がまったくなかった中で、後ろから追いかけてこられたということがありましたので、それについてそういう認識を持ったということに尽きると。

秘書が“当て逃げ”の武井議員 「不起訴」の背景と、焦点の「『行ってしまえ』ドラレコ音声」…真意問われ語ったこと

記者が「言ったのか言わなかったのか」と踏み込んでいるのに、武井議員は「行ってしまえという言葉ではなかった」「それに類する言葉、直に言いますと……」と言って、その後、「非常にやっぱり驚いたというのが、もうその通りでありました」と、ここでも全く意味不明のトンチンカンな話に変えています。

これは「直に言いますと」と言いかけて、そのまま話すのはまずいと悟ったのだろうと思います。ある意味、記者の誘導尋問に乗ってしまったとも言えます。

で、逃げ口上を述べていくうちに、記者の質問の意図とは完全に外れた内容で発言が締められているので、たぶん、頭の中はグチャグチャだったのではないかと推察してしまいます。

だから、その後はまた同じこと(前の質問の回答と同じ内容)の繰り返しに終始しています。とにかくこの話題から早く逃げたいという思いがよくわかります。

しかし、MRT宮崎放送の記者は逃しません。
そしてここでもなお、三度目喰らい付きました。

記者の質問3

「行ってしまえに類する言葉」とは何か。

秘書が“当て逃げ”の武井議員 「不起訴」の背景と、焦点の「『行ってしまえ』ドラレコ音声」…真意問われ語ったこと

武井議員の回答3

「行ってください」という発言はしたと思います。

秘書が“当て逃げ”の武井議員 「不起訴」の背景と、焦点の「『行ってしまえ』ドラレコ音声」…真意問われ語ったこと

MRT宮崎放送の記者グッジョブですね。
聞いていることは最初の質問と同じです。それに対し、はぐらかそうとしたのかそれとも本当に記者の質問の意図がわからなかったのか、二度、三度、武井議員に対し、逃げられないように理詰めで詰めて、とうとう白状させたわけですから。

質問1の模範回答

では、質問1の段階で武井議員はどう答えるべきだったのか。おそらく下記の内容が模範解答になるかと思います。

「行ってしまえ」という言葉ではなかったですけれども、それに類する言葉、直に言いますと「行ってください」という発言はしたと思います。

ただ、これは最初の時の会見でも申し上げたことと一貫して変わらないんですが、私は本当に当たったことに全く気づいておりませんでした。しかし、後ろから被害者の方が自転車で追いかけてこられたのが、私として確認ができましたので、ちょっと驚きまして、その中でそういう発言をしてしまったというのが事実であります。

たったこれだけの回答をするのに、どれだけの言葉を無駄にしているのか。
これが国語力の差だと思います。

新外務副大臣に期待すること

相手の意図をきちんと読み解き、それに対する適切な回答をする。これは人としてはもちろん、人の上に立つ政治家にも必ず必要な素質です。

この件でのMRT宮崎放送の記者と武井議員のやりとりを見ていると、その素質があるのかかなり不安になります。

ましてや副大臣という国の官職を持つ身となると、記者が何を聞きたいのか、どういう答えをだしてあげたら満足するのか、ということを理解した上での、発言する場が多くなると考えられます。

武井俊輔新外務副大臣には、相手が望んでいるのはなんなのか、それに対し、どういう回答が適切で、この場にふさわしいのか、という部分に頭を働かせて、「さすがやのう」と思わせるような発言を期待したいところです。

ま、無理かもしれませんけど。努力はしてほしいですね。

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