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次期衆院選で問われる有権者の良識

まずはこの記事を読んでいただきたいと思います。

上記の記事は今年(2021年)6月9日に報道されたものです。
内容は衆議院議員(宮崎1区)の武井俊輔議員の秘書が、東京都港区六本木交差点で自転車と接触事故を起こし、そのまま走り去ったというものです。

一見すると、どこにでもありそうな事故なのですが、現職の国会議員の秘書が、しかもその国会議員を乗せて運転していたため、「公務」状態であったのに、接触した自転車の運転手に一言も声をかけず走り去ったとのことです。

被害者の自転車の男性は200メートルに渡って後を追い、議員秘書の車が信号機で停車した際にやっと追いついたようです。

その時の様子は下記の記事に詳しく書かれています。

この記事にも驚かされることが多いのですが、それ以上に、一番驚いたのは事故車両である議員所有の車が「車検切れ」「自賠責切れ」だったことです。

車検・自賠責保険が持つ意味

車検とは、正しくは自動車検査登録制度のことで、一般的には自動車や排気量250ccを超える自動二輪車に対して、保安基準に適合しているかを確認するため一定期間ごとに国土交通省指定の検査工場でが検査を行い、また自動車の所有権を公証するために登録する制度のことです。

わかりやすく言えば、車検を通過することによって下される車検証は「あなたのクルマが国の保安基準に適合していることを認めている証」ということになり、車検を通過したことは公道でクルマを走らせることを許可されていることです。

そして、法律にはこのように定められています。

道路運送車両法 第4条  
自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第29条から第32条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

これもわかりやすく言えば、「車検を通過し、自動車登録ファイルに登録されているクルマでなければ公道を走ってはならない」ということです。

これを当該事故に当てはめると「行動で走らせてはいけないクルマを走らせて事故を起こした」ということになります。

車検切れのクルマを所有すること自体は違法ではありません。しかし車検切れの車で公道を走行した場合は違法です。

法律によると、車検切れのクルマを公道で走らせた場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という刑事罰が課されて、違反点数は6点となり、最低でも30日間の免許停止となります。

道路運送車両法 108条 
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

当該議員所有の車は自賠責保険(ドライバーに強制的に加入を義務付けている対人保険制度)も切れていました。車検切れと自賠責切れが合わさると「1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金」となり、90日間の免許停止となります。

このことについて当該議員は「クルマを買い替えるタイミングでそのプロセスが事務所に共有されてなかった」とコメントしていますが、どこをどう読んでも理由として納得できるものではないと思います。

まとめると、当該議員は「クルマを所有する国民として最低限の強制加入が義務付けられている対人保険制度が失効した状態で、公道で走らせる資格を有しないクルマを走らせて、事故を起こした」ということになります。

これがどれだけ危険を孕む可能性なのか、考えてみてほしいです。

国会議員の果たすべき説明責任

国会議員は有権者の投票によって選出された国民の代表となる存在であり、その地位は国家公務員特別職です。すなわち法律によってその地位と果たすべき役割を認められております。従って、その人間が法を犯した場合、警察による取調べの進捗状況、被害者への謝罪状況、裁判の状況などを国民(有権者)に説明する義務があると考えます。

しかしながら、今日(2021年8月5日)現在において、当該議員のWebサイトには6月11日に下記に文言が掲載されているのみです。

令和3年6月8日の交通事故に関して、ご迷惑とご心配をおかけし申し訳ありません。

被害にあわれた方に対し、深くお詫び申し上げますとともに、誠意をもって対応させていただく所存です。

また、当該車両の車検が失効しており、併せて自賠責保険を更新していない状態となっておりました。

今回の件を重く受け止め、今後については適切に対応して参ります。

令和3年6月11日
衆議院議員 武井俊輔

出典: https://www.s-takei.jp/news/20210611-2/

上記の内容について、当該議員が被害者について誠意を以って対応していないことは、冒頭でリンクを貼りましたNEWポストセブンの記事で明らかとなっています。

そして車検切れ、自賠責切れについてはなぜそれが起きたのか、今後どうするのかなどの記載が一切ありません。

また、起訴されたのか、裁判が行われたのか、判決が下されたのかなどの情報が一切掲載されていません。

6月11日当時はこれだけしか出せないのかなと思っていましたが、現在に至るまでも追加の情報はありませんし、SNSも更新が止まったままです。

また、本件説明の際に地元に帰った際、自身の後援会組織や自分の支持層には謝罪したようですが、選挙の度に彼に協力をしていた方々に対しては電話一本すらなく、また地元マスコミ等に関して記者会見も開いていません。

これらの当該議員の行動は、自分の選挙区の有権者に対しては「説明責任を果たすつもりはない」と判断せざるえないと思います。

自民党本部の激怒

2021年6月28日、自民党宮崎県連次期衆議院議員総選挙について、当該議員を「公認申請しない」ことを表明しました。

これについて、宮崎県連の星原会長が7月8日、自民党本部に説明に行き、山口泰明選挙対策委員長、林幹雄幹事長代理と協議しましたが、県連が望んだ「武井議員を公認申請しない」ことと「公認候補を公募したい」という要請に対し、

「武井氏が1区支部長(公認候補予定者)を辞退しない限り、公認候補の公募は難しい」

出典:https://www.asahi.com/articles/ASP7B76TSP7BTNAB014.html

という返答でした。宮崎県連もこれを受けて7月19日、公募実施を断念し「公認するなら党本部の責任でやればいい」というスタンスに立ちました。

しかし、自民党の選挙対策委員長である山口氏は宮崎県連が「武井議員を公認申請をしない」と表明した2日後の6月30日に当該議員を呼びつけて下記のような応対をしたと報道されています。

「ここまで事態が大きくなったのは、県連との関係作りが 疎かだったからだ。もう一度、足元を見直せ」

出典:https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210719-OYT1T50364/

一応、自民党の選挙対策委員長としてはやることはやっていたようです。
この結果、当該議員が「足元を見直す」行動をとったわけですが、それは私にとっては極めて予想外のものでした。

自民党の旗を持ってただ頭を下げるだけ

2021年7月23日(祝)、宮崎県宮崎市源藤町、国道220号南バイパス源藤交差点コスモス薬品&ニトリモール付近において、下記のような目撃情報がネット上にアップされました。

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上記のブログの持ち主のドラレコに記録されていた映像はこちら(↓)です。

その5日後の2021年7月28日(水)には、宮崎県宮崎市橘通3丁目交差点でやはり「県民に謝罪する武井議員」が目撃されています。

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動画部分はYouTube(↓)でもご覧いただけます。

Webも動画も見ましたが、自分には当該議員が何を考えてるのかわかりませんでした。

当該議員はこれで「有権者に謝罪しています」という表れだとしたら、信じられないくらい浅はかだと思います。

また、こんなことをやれと誰かに言われたのなら、まともな選挙ブレーンもいないのかと哀れみさえ感じます。

大きな道路に立って、ただひたすら頭を下げている行為のどこに「謝罪」があるのでしょうか。このnoteを読んでいる人皆さんに、感想をコメント書き込んでいただきたいと思います。

有権者に対する疑問や疑念に対し、公正明大に明らかにした上でのこの行動ならまだ理解ができますが、なんら説明責任をはたそうとせず、逃げ回っている人間のやることではないかと。

私には当該議員が人間に見えず、機械的に頭を下げている人形か何かにしか見えませんでした。

物事は原理原則。ならぬものはならぬのスタンス

当該議員は自民党宮崎県連から支持を得られず、公認申請を見送られましたが、党本部は「現職優先」の方針に変わりはないようですので、このままでいくと、次期衆議院議員総選挙においては自民党宮崎県連の意向は無視された状態で党本部が当該議員を公認候補にするような流れだそうです。

党本部の「現職優先」は通常であればそれでいいと思います。が、今回は国民に対して「法律を守れ」と啓蒙すべき国会議員である当該議員が、法を犯し、その経緯について有権者に対して果たすべき説明責任を果たさず、すべてをうやむやにして自民党公認候補として立候補することになります。

自民党はこれで本当にいいのかな?と思います。

国民に対して「法律を守れ」と啓蒙し、社会をよくするための立法府に関わる立場の人間が法律を破り、説明責任もはたさず頬かむりしているのに「私が自民党公認候補でございます」って、もう何かが狂ってるとしか思えないです。

当該議員が自民党公認候補として立候補した以上、宮崎1区の自民党員の皆さんは、当該議員に投票せざるえなくなります。そしてその結果、当該議員が当選した場合、

宮崎県の有権者は、法律違反を犯し説明責任を果たさない当該議員を国民の代表に選び、未来の国政を担わせたことになります。

本当にこれでいいのでしょうか?
いいとするならば、我々は何が正しいことで、何が間違っているかを子供達の前できちんと道理に従って説明できるのでしょうか?

大人は子供の範となるべき存在であり、その大人の範となるべきが政治に携われる国会議員だと考えております。これが物事の道理だと思います。

この状況において、当該議員が本当に反省し、有権者に謝罪をする意図があるならば、自民党を離党して無所属で出馬するのが物事の道理であり、筋道だと思ってます。

当該議員がそれをしないのは「自民党離党して立候補すれば選挙に負ける」と思っているからで、負けると無一文になるから困るという極めて自己都合的な理由からだと推察します。

もし本当にそうならば、自分の生活のために議員になるような「職業政治家」の時代はもう終わりにするときではないかと。これから先は志ある者「志士」が政治をする時代に入っていかねばなりません。

都合の悪いことがあえると、頬かむりして、人々がそれを忘れるのを待つというような「有権者から逃げ回っている男」を国民の代表にするも、しないも宮崎1区の有権者の皆様の判断です。

次期衆議院議員選挙は、宮崎1区にとっては、宮崎県人の良識を問われている選挙になると思います。






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