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90年代中期のゲーム機市場を一変させた初代ファイナルファンタジー7を振り返る

いよいよプレイステーション4の大型タイトル、スクウェア・エニックス社の「FINAL FANTASY VII REMAKE」(ファイナルファンタジー7 リメイク)が、2020年4月10日に発売されますね。



外出が憚られるこんなご時世ですが、逆に巣篭もり消費は活発なようで、ゲーム業界もどちらかというと追い風のようです。
おしみんな、ゲームやろう。


「FINAL FANTASY VII REMAKE」ですが、その名の通り、1997年に初代プレイステーションのタイトルとして発売された「FINAL FANTASY VII」のリメイク版で、当時の雰囲気はそのままに、最新の技術で恐ろしく美しい映像で再構築されています。
大学生時代にこのゲームに没頭した私としては、本当に久々に「あ、ゲームやろう」って気にさせてくれる、待望のタイトルだと言えます。

さて、この「FINAL FANTASY VII(以下FF7)」というゲームなんですが、馴染みの無い方には、一体何がすごいのか、そして何をファンたちは騒いでいるのかと、不思議で仕方ないかと思います。

今回は、1997年発売当時のゲーム業界に衝撃を与えたFF7のすごさを、ビジネス的観点から振り返ってみます。


ファイナルファンタジーシリーズとは

まず、このファイナルファンタジーというゲームですが、現在はスクウェア・エニックス社が開発・販売を行っているゲームソフトのシリーズ名です。1987年、当時主流であったファミリーコンピュータ(ファミコン)向けに第一作「ファイナルファンタジー」が発売されました。

壮大なストーリー、秀麗なビジュアル、奥深いゲーム性などが特徴で、当時のファミコンユーザーから圧倒的な支持を獲得。ロールプレイングゲームというジャンルにおいて、人気はエニックス社が発売していたドラゴンクエストシリーズと双璧というべきものでした。


ファイナルファンタジーはシリーズを重ねるごとにクオリティを高めていき、FF7の直前であるFF6(ファイナルファンタジー6:1994年発売・スーパーファミコン)では日本国内255万本を販売するという大ヒットとなります。名実共にゲーム業界のキラーコンテンツとなったファイナルファンタジーシリーズには、その動向に注目が集まっていました。


1990年代中期における市場競争

FF6が販売された当時、ゲーム業界は次世代機が何になるのか、という市場競争の真っ只中でした。その当時ゲーム機市場に王者として君臨していたのは、スーパーファミコン(1990年発売)擁する任天堂でしたが、市場の発達とともに、開発技術が大幅に進歩。市場からは、さらに性能を高めた次世代機の登場が求められていたのです。

当然本命は任天堂の次世代機「NINTENDO64」でしたが、それに対抗すべく、ソニーが「プレイステーション」・セガが「セガサターン」を開発・発売し、激しい顧客獲得競争が繰り広げられていました。

ユーザーがゲーム機を選ぶ際に重要となるのが、ゲーム機の性能や価格も重要ではありますが、最も重要なのが「そのゲーム機でどんなソフトが販売されているか」という点です。この点、自社ですでに「スーパーマリオ」や「ゼルダの伝説」などのキラーコンテンツを持つ任天堂は、最初からソニー陣営・セガ陣営に対して圧倒的に優位に立っており、逆にこの2社にとっては、優良なコンテンツを持つソフトウェア会社をどれだけ自社陣営に取り込むかが生命線になっていたわけです。

そんな中、スーパーファミコンで歴代売上ベスト10(下記リンクを参照)のうち2つを持つ「ファイナルファンタジーシリーズ」が、スーパーファミコンの次にどのハードを選ぶのかは、市場から大きな注目を浴びていました。


プレイステーションに電撃移籍

そんな中、衝撃のテレビCMが突如放送されます。


このCMは、FF7が発売される1年以上前に放送されたものです。CMの内容も「FF7 始動」となっており、これはソフトの発売ではなく「これからFF7をプレイステーションで開発するよ」ということを意味しています。

つまり「みなさん、ファイナルファンタジーの次回作はプレイステーションで発売されますから、NITENDO64とかセガサターンじゃなくて、プレイステーションを買いましょう」というソニーからの明確なメッセージなのです。

この一本のCMはゲーム業界に凄まじい衝撃を与え、ゲーム業界の勢力図を一変させることとなり、ソニー・プレイステーション陣営優位を決定づけました。その後、ドラゴンクエストなどを擁するエニックス社もプレイステーションへの参入を発表。結果として、その後ゲーム機市場は「ソニー・プレイステーション一強時代」を迎えることになります。
(このあたりは、ウィキペディアのゲーム機戦争が詳しいです)


FF7の快進撃

まさに鳴り物入りで登場したFF7でしたが、発売延期などを経て1997年1月31日に満を持して日本国内向けに発売されます。

発売されるやいなや人気が沸騰し、前作を大きく上回る400万本を販売。日本国内に社会現象を巻き起こします。


FF7の功績は、この400万本という数字だけでは有りません。実は海外への販売も大成功し、日本国外において600万本以上を販売。全世界で1000万本以上を売り上げるという、とてつもない結果を残しています。(ちなみに前作FF6は海外での販売数は100万本も売れませんでした)

つまりプレイヤーの数だけで言えば、日本より海外の方が多いということになるわけです。


それを裏付けるように、今回のFF7リメイクの発売は、海外でも大きな話題となっていました。

今回、FF7リメイクの発売がソニーから発表されたときの、海外の様子がYoutubeで多く挙がっておりますので、一部をご紹介しておきます。
初代FF7のプレイステーション移籍CMと同じく「開発しているよ」というだけの発表だけで、これだけ大騒ぎになるゲームソフトは、そう多くはないでしょう。



5:00あたりからの熱狂ぶりがすごいです。これ、日本人より盛り上がってませんか…(笑)


日本発のロールプレイングゲームで、世界から支持を受けているタイトルは殆どありません。

それだけに、FF7の人気は異質とも言えるのです。

日本のゲームソフトで、海外にも通用するコンテンツとしては、任天堂のポケモンスーパーマリオ、カプコンのモンスターハンターなどが挙げられますが、FF7は是非これに続いてほしいなと思っております。


今回、このFF7リメイクが、どれだけ世界中から支持を集め、スクウェア・エニックス社の業績に寄与するのか、行方を見守りたいところです。


ひさびさに籠もるぞー

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