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テレビ番組評:カンブリア宮殿(浅野撚糸)

先日見たカンブリア宮殿「浅野撚糸」を見まして、地方創生のマーケティングに携わる人間としていろいろと思うところありましたので、ちょっとまとめ。

浅野撚糸さんは、撚糸を扱う会社だそうです。

撚糸ってなに?って私も思ったのですが、糸を撚る(よる)ことを生業にしている会社で、こういう業態を撚糸業というそうです。

撚るというのは、糸を複数ねじり合わせることを意味しています。複数の糸を撚ることにより糸の強度が増していく。そういうもののようです。

業態としてはこちらに詳しい解説が。(日本撚糸工業組合連合会)http://www.nenshi.or.jp/about_nenshi.html

洋服やタオルなどを作る際にベースになる糸をつくることが撚糸業ということだそうなのですが、中国などの価格競争力がある海外製品に押されていてなかなかの斜陽産業だそうです。

撚糸業に限らず、こういった斜陽産業は日本に数多くありますが、浅野撚糸さんの話はすごかった。ざっくり番組の内容をまとめますと、

・番組に登場の浅野社長は、二代目社長
・就任当初は経営も順調
・売上は7億円まで伸びるも、その後安い海外製品に押されて売上が2億円まで減少
・先代社長から廃業を勧められる
・このままではジリ貧だと社長一念発起。自社製品の開発に取り組む
・取引先から使いみちがない糸(お湯で溶ける糸)を紹介される
・この糸を使って全く新しい撚糸を作る
・この撚糸を使って新しい商品を作ろうとする
・三重県のタオルメーカー(これまた経営難)と共同で開発に取り組む
・悪戦苦闘の末、新たなタオルの開発に成功
・タオルの販売にも大きな苦戦を強いられながらも徐々に口コミで広がる
・ここ最近でタオルがヒット、浅野撚糸だけでなくタオルメーカーも経営を立て直す

という感じです。

こういう地方の頑張ってるメーカーすごいなって思うのですが、いくつか成功のポイントがあるなぁと思います。

①商品開発の付け所
取引先で使いみちがなかった糸を使っての新商品開発。
以前、フリクションボールペンの開発秘話で「使いみちがなかった消えるインク」を使ったという話を聞いたことがありますが、こちらでも同じような話ですね。
世界初の製品って誰からも見向きもされないようなものから生まれたりするんだなと実感。

②製品化・販売への執念
なんといいますか、社長の行動力がすごいなって思うんですよね。
開発した糸でタオルを作るために「何百社というメーカーを自ら回る」って、さらっと番組では言ってましたけれど、これ普通できます?
私だと10社くらいで「駄目かなあ」って断念してしまいそう。

しかも生産もうまくいかなくて、タオルの試作4000枚。
これ、よく途中で投げ出さなかったなと。

もちろん他の仕事もしながら、並行して開発をしていったのだと思いますが、それにしたって斜陽産業の会社二社がここまで執念で製品開発したって、相当だなって思います。

ちなみに、出来上がったタオルを売り込むために、岐阜県の旅館を全部営業したってさらっと番組で言ってましたが、結局営業って足なんですねぇ。

③圧倒的な製品のクオリティ
マーケティングに携わる人間がこんなこというと身も蓋もないんですが、製品がユーザーに受け入れられるかって製品のクオリティが無いと無理なんですよね。

パッケージの見栄えとか、キャッチフレーズだけで売るのって無理がある。

一時的にユーザーを騙せても、これだけ口コミが自由にネットを飛び交う時代にそれって限界があるんです。

以前広告代理店の方と話をしていて「ヘボい商品をいかに売らせるかが俺たちの腕の見せ所」みたいなこと言われたことがありました。
まぁそれも分かるんですけれどそれってあんまり本質的じゃないなと。

これからの時代、「その製品売りたいの分かりますけれど、もっとこういう性能とか特徴ないと長く売れないですよ」って言えるマーケッターになりたいなぁと思います。


浅野撚糸さんのホームページ見たら、中国語や英語の説明ページもあって、日本だけでなく海外の市場も視野に入れて取り組んでいるんだなと思いました。

こういう地方企業さんは頑張ってほしい。

ただ、ホームページに未だflash使うのはもうやめたほうがいいんじゃないかと思いましたが・・・笑


★こんな会社経営してます。
(株)トライエッジ(http://www.triedge.co.jp)
事業内容:マーケティング支援
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