見出し画像

美しき野獣 (David Bowie 『Station to Station』)

言わずと知れたイギリスのロックスターDavid Bowieの9th album 『Station to Station』は実に芸術性の高いアルバムである。David Bowie本人はこの頃、コカインと牛乳だけで過ごす程薬物依存が進行していた。故にこのアルバムの制作自体本人は記憶が曖昧であると語っている。そんな本アルバムであるがそれ故に実に幻想的かつ何か得体の知れない怪しげな雰囲気が全体に漂っている。前作『Yong Americans』ではブラックミュージックを取り入れファンクを奏で次作『Low』では電子音楽という最先端技術を取り入れた。そんなアルバムに挟まれた過渡期とも観れる今作はDavid Bowieの様々な音楽性が垣間見える秀作である。歌詞という面に関しても哲学や文学から影響を受けているため美しく深みがあるのだ。

このアルバムでDavid BowieはZiggy Stardust,Aladdin Saneに次ぐ新たなキャラクターThin White Dukeを演じた。当時のBowieはヒトラー崇拝の最高潮であった。度々ヒトラーを擁護したりナチズムを擁護する発言をして問題になっていた。この頃のBowieは様々な悪評が立っているが私はThin Wite Dukeというキャラクターが一番好きである。それは思想と言うよりビジュアル的に。

アルバムは1976年1月23日発売。ビルボードチャートにおいて3位を記録。『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、324位にランクイン。

本アルバムのオープニングを飾るのは表題曲『Station to Station』汽車が走るサウンドから始まりダウナーな前奏が三分ほど続いた後David Boiweが歌い始める。しばらくダウナーな曲調であるが一気にポップに転調する。その後再びダウナーな曲調に戻り終曲する。10分を超える曲であるが独特な雰囲気で一曲目からBowieの世界観に引き込まれる。

2曲目のシングル曲『Golden Years』前作の『Young Americans』の様なファンキーな曲である。ノリの良い曲である。後の『Fashion』や『Black Tie White Noise』の原型とも聴こえる。

3曲目の『Wild on a Wing』は抜けの効いた曲である。実にゆったりとしながらもBowieの儚い歌声が響く。

4曲目シングル曲『TVC15』ベルリン三部作の最終作にあたる『Roger』に収録されていてもおかしくない様なコミカルな曲である。

5曲目シングル曲『Stay』は本アルバム唯一のロック色の強い楽曲である。格好良いギターイントロから始まる。この曲はバンドの音としても素晴らしい。是非とも伴奏に耳を傾けて効いてみて欲しい。Boiweらしくメロディラインはマイナー調であるのもまた格好良い。

6曲目『Wild Is the Wind』は本アルバム最後を飾る曲である。このアルバムにふさわしい暗く壮大な仕上がりである。Bowieの美しい歌声がよくわかる一曲となっている。

このアルバムはファンの中でも特に人気のあるアルバムの一つである。その理由は様々あると思うが私はDevid Bowieの本能が色濃く現れているからではないだろうかと思う。ドラック漬けの日々の中であらゆるものが削ぎ落とされ人間以前の"動物”に立ち戻ったからこの様な美しいアルバムが出来上がったのではないだろうか。

David Bowieという美しき野獣が製作した魂のアルバム『Station to Station』是非一度効いてみて欲しい。

画像1


是非、ご支援のほどよろしく👍良い記事書きます。