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2010年代傑作SF映画4選

慌ただしい日常を送りゆく中で気がつくと2020年も夏を迎えた。早いものである。光陰矢の如しとは全く的を得た諺であるなと吃驚する今日この頃。皆さんいかがお過ごしですか。

さて先日面白い記事を見つけた。

90年代以降に誕生した傑作SFを四作品ピックアップしているのであるが成程、予想以上に良いラインナップである。特に『エクスマキナ』『メッセージ』は全く同意見で大傑作である。

そこで私も上記の記事と同様に4作品考えてみた。2010年代以降の作品を。何故90年代以降では無いのか。それは記憶に色濃く残っているの10年代以降だからである。そもそも90年代はまだ生まれてすらいないのである。そういう訳で記憶に色濃く残っている10年代の傑作SFを4作品紹介したいと思う。なお紹介する映画は公開順である。ネタバレ注意。

1.アナザープラネット

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『アナザープラネット(原題 Another Earth)』は2011年に公開されたマイクケイ・ヒル監督作品である。

17歳でマサチューセッツ工科大学に合格した主人公ローダは車を運転していた夜、見知らぬ惑星が一つ浮かんでいる事に気を取られ運転を誤り家族連れの車に突っ込んでしまう。四年の刑期を終えた後唯一生き残ったジョンのもとを謝罪のために訪れるものの身元を偽ってしまう。それからジョンとの交流が始まる。一方であの夜浮かんでいた惑星についての研究が進みそれはもう一つの地球であることが判明した。ローズはもう一つの地球に向かう権利を得るが...

この映画は何と言っても脚本が素晴らしい。派手なSF映画では無いものの静かに淡々と非現実な世界での日常が綴られる。SF映画で涙することは少ないがこの映画は数少ない涙するSF映画の一つである。ラストシーンに大いなる救いが待っている。その救いとは何か、是非とも皆さんの目で確認してほしい。

2.アンダー・ザ・スキン 種の捕食

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『アンダー・ザ・スキン 種の捕食(原題 Under the Skin)』は2013年に公開されたジョナサン・グレイザー監督作品である。

舞台は冬のスコットランド。美しい容姿の女は街で様々な男を見つけそれをおびき寄せ闇の空間に引き摺り込む。

この映画は万人受けする様な映画では無い、絶対に。只ハマる人間にはとことんハマるそんな映画である。映画は108分あるのだが殆ど会話はない。只女が男を謎の液体に浸すのである。しかし後半になるにつれて女に変化が現れる。その過程の表現の仕方が何とも巧みである。さらに雰囲気、空間の捉え方、音楽とこれ以上にないほど完璧な撮り方である。音楽については下記の記事でも触れたので是非ともそちらも読んでほしいと思う。

予告編の中でスタンリー・キューブリックの再来と評されているが全く過大評価でも何でもない。あんなに客観視して冷徹に描ける監督はそうはいない。ジョナサン・グレイザー恐るべし。

3.ホドロフスキーのDUNE

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『ホドロフスキーのデューン(原題 Jodorowsky's DUNE)』は2013年に公開されたフランク・パヴィッチ監督作品である。

SF作家フランク・ハーバードによる『砂の惑星』を映画化しようとした男たちの物語。

この映画は単なるSF映画ではない。どちらかというとドキュメンタリーである。映画史史上最も偉大な映画になるはずだった映画の惨憺たる苦悩を描いた。その映画を監督する予定だった男、それがアレハンドロ・ホドロフスキーである。チリ出身の偉大な芸術家である。世界中の芸術家たちからリスペクトされるまるで教祖の様な男であり、それでいて誠実な男である。

まず、いかに作られなかった映画がすごいのか説明せねばなるまい。まず出演者から。ホドロフスキーの息子、ミックジャガー、オーソン・ウェルズ、そしてサルバドール・ダリ。次いで音楽、フランスのプログレッシブロックバンド、MAGMA。さらにはピンク・フロイドである。そして製作陣もこれまた豪華である。手塚治虫、宮崎駿、大友克洋等に多大なる影響を与えたバンド・デシネ作家メビウス、後に『エイリアン』のデザインで世界的に注目されたスイスの画家H・R・ギーガ、『ニューヨーク1997』『遊星からの物体X』で知られるジョン・カーペンターの長編デビュー作『ダークスター』を共に作り上げたダン・オバノンである。濃い、実に濃いメンツである。

映画は当時の証言と映画のコンテをもとに映像を動かしたものとなっている。この映画の見所の一つはやはりホドロフスキーの箴言である。印象に残ったのをひとつ。

「人生で何か近づいてきたら”イエス”と受け入れる。離れていても”イエス”だ。『DUNE』の中止も”イエス”だ。失敗が何だ?だからどうした?『DUNE』はこの世界では夢だ。でも夢は世界を変える。」

4.ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (原題 Rogue One: A Star Wars Story)』は2016年に公開されたギャレス・エドワード監督作品である。

スタウォーズシリーズのスピンオフ。エピソード4直前、一体何が起こっていたのか。

私は別段スターウォーズシリーズを好んでいるわけではない。一応全部観ているがそんなに深い思い入れはない。しかし『ローグ・ワン』は別格である。今まで描かれる事のなかったフォースを使えないものをとことん丁寧に書いている。そのためいつもは一瞬で死ぬ雑魚敵が恐ろしく強いのである。そしてあのショボイチャンバラを披露したダースベイダーの恐怖も巧みに描かれている。機械も格好良い。そしてエピソード4への突入の素晴らしさである。そのまま続けても遜色がないほど自然であり興奮感、緊張感共に最上なのである。

SF映画としてもアクション映画としても更には戦争映画としても非常に優れた一冊である。この映画を観ると他のスターウォーズ作品の印象が大きく変わるのだ。

最後に

さて十年代の傑作SFを四作紹介した。いかがだったであろうか。この他にも当然ながら素晴らしいSF映画は多数存在する。私が観れていない映画の中で紹介した作品を凌駕するものは存在するだろう。しかしながら紹介した4作は少なくとも非常に優れていて十年、二十年後も語られている作品であるだろう。映画は本当に良い芸術だ。

最後まで読んでくれてありがとう。また会おう!!

是非、ご支援のほどよろしく👍良い記事書きます。