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算数プレイヤーにはこう見える!「等脚台形」の使い方。

前の記事にて浦和実業学園中の問題について疑問を呈しましたところ、うえたけ様と、お助けマン様より、素晴らしいご意見をいただき、解決しました。
◎うえたけ様→noteHPX入試の解説などを多く投稿されています。
◎お助けマン様→note※この記事にコメントくださったので、記事を大きく編集しました。
・前の記事→ https://note.com/sansu_play/n/n499cf49740b5


【問題】再び。

(2) 下の図のような,辺ADと辺BCが平行な台形において,AB=CD=4cm,AC=BD=12cm,角DBC=角ACB=15°のとき,この台形の面積を求めなさい。

浦和実業学園中 2024年 (1)を割愛
左右対称な等脚台形。

当初は、対角線によって4つに分かれた三角形の面積をそれぞれ求める式を作り、二次式を解くことで何とか解答としました。以前にも二次関数を用いた出題が同校であったため、そういう学校なのかと思っていたのですが。。


【解決】なるほど算数!

うえたけ様よりいただいた解法を受け売りします。

台形全体を二つの三角形に分けたと捉えて、垂線を引いてみます。この垂線の長さはすなわち三角形ABCと三角形DACの高さですから、長さが分かれば答えが出ますね。でも、分かるか…?

上のように名前を付けますと、三角形BOB'と三角形DOD'は「30°、60°、90°」の三角形、つまり正三角形の半分なので、BB':BO=DD':DO=1:2と判明します。また、BO+DO=(□+○)×2=12cmなので、□+○=12÷2=6cmと求まります。□+○は、すなわちBB'+DD'を表しますので、高さの和が6cmと分かりました。

求める面積は、(AC×BB'÷2)+(AC×DD'÷2)
=12×(BB'+DD')÷2
=12×6÷2=36㎠となります。すごい!

30°が判明するので、そこから「三角定規の形を自分で作る」という発想が素晴らしいですね。ちなみに、図を正確に描くと、垂線は台形の外側に引かれることになり、より複雑な形になります。。


【決着】まさしく算数!

お助けマン様の解法を受け売りします。

AB=CDで、角DAB+角DCB=180°であることを利用している。

図のように三角形ABDを移動させて、三角形DBCにくっつけますと、全体は大きな三角形DBD'に変身します。

そもそも、二等辺三角形を切ると等脚台形が作れるようだ。

BDを延長して自分で直角三角形を作ると、角B+角D'=30°より、またしても「30°、60°、90°」となりますので、DBを底辺としたときの高さはDD'÷2=6cmと求まります。よって、12×6÷2=36㎠。シンプル!算数!

しかも、移動させた後の形は、(1)と全く同じ形になっています。本質的にはうえたけ様の解法と大きくは違わないと思いますが、この問題が意図していた解法は、まさにこの形を作ることだったのではないかと思えます。


【振り返り】

当初この問題について、二次式を用いて解くとか、使わない情報が与えられているとか、(1)のミスリードがある、などによって注意すべき奇問だと書きました。しかし、お二人の考え方に乗ると、一転して問題の流れはとても良く思われ、私が誤解をしていたと思います。
「いろいろな解き方があるので必ずしも誘導には乗る必要はない」一方、「作問の意図を汲めると気持ちよい」という結論に変わりました。大変勉強させていただきました。

2024年5月5日

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