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「あの大学って何してるの?」を概念マップで探索してみよう【旧帝一工早慶】

久々になりますが、科研費データベース(KAKEN)から取得した研究概要データを使った概念地図を作成してみます。

今回は、いわゆる旧帝大(東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学、東北大学、九州大学、北海道大学)の7大学に、一橋大学・東京工業大学・早稲田大学・慶應義塾大学の4大学を加えた計11大学が、2019年度〜2021年度の3年間で開始した研究、約2.5万件が対象です。

11大学の研究マップ(2019年〜2021年、2.5万件)

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国内11大学の研究マップ

今回ウェブマップは作成していませんが、代わりにビジュアルは流麗にしてみました。図中に見える青く小さな点の1個=1つの研究で、似た内容ほど近くに集まるというルールのもと、2.5万件をプロットしています。
そして、件数の密集度が高い箇所をヒートマップの濃い赤色で表示しています。これらはラベル表記も含めて、全て機械的に生成したものとなります。

研究マップの構図を読み解く

このマップから、11大学が3年間で取り組んできた主要な研究分野とその構造をざっくり把握してみます。

大まかな構図として、左側が社会科学系エリア、右下側が医療系エリア、右上側が材料系エリアに分かれていて、さらに材料系エリアの左側は宇宙、幾何学・代数(数学)の研究があります。また、材料系エリアと社会科学エリアを結ぶ合間には、地震、電力、学習・データ(AI関連)の研究分野が介在しています。そして、社会科学と医療系エリアを結ぶ箇所には、認知・知覚、脳神経の研究が介在する構図となりました。

個人的な所感を述べると、全体的に大きな3つのエリアそれぞれでバランスよく研究が進められている印象があります。また、学習・データ(AI関連)や認知・知覚の周辺が埋まってくると、面白い相乗効果やイノベーションが起きそうだなと感じます。

研究の助成金額の偏在を読み解く

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国内11大学の研究助成金マップ

さて、こちらの図は全く同じ点分布のマップですが、ヒートマップの濃淡を研究助成金額でウェイト付けしたものになります。1個目の図は単純に件数が多い箇所を濃い赤色で示しましたが、公費研究ということで1件に割り振られる助成金額は当然異なるので、それを加味した図です。

こうしてみると、材料系エリアを中心に金額が集中している様が見て取れますね。ナノ材料・電子、宇宙分野の研究に、日本が国策として大きく力を入れているということかと思います。

大学別の件数分布の比較

それでは、このマップを各大学に分けて順番に見ていきましょう。個別の読み解きは長くなるので行いませんが、各大学が注力している研究分野をご確認いただけると思います。ヒートマップの閾値は統一してあるので、同じ件数密度であれば同じ色で表現されます。

1つ目は東京大学です。網羅的に分布していますが、特に宇宙分野が活発で、ついで細胞・遺伝に関する研究が盛んです。

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東京大学の研究マップ

2つ目は京都大学です。こちらも網羅的な分布ですが、特に幾何学・代数(数学)の研究が目立っているのが特徴的です。

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京都大学の研究マップ

東京工業大学です。材料系エリアを中心に広がっていますね。

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東京工業大学の研究マップ

一橋大学です。社会科学系エリアのみに集中しています。その中でも経済・企業(市場分析)に関する研究が活発なようです。

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一橋大学の研究マップ

こちらは大阪大学。網羅的な分布になっています。

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大阪大学の研究マップ

こちらは名古屋大学。宇宙分野がやや目立っているのが気になります。

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名古屋大学の研究マップ

東北大学です。材料系エリアがやや活発に見えます。

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東北大学の研究マップ

九州大学です。近年は社会科学系よりも材料系と医療系の方が活発に見えます。

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九州大学の研究マップ

北海道大学です。地震や進化・遺伝(生物多様性や生態学関連の研究)に比重がありそうです。

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北海道大学の研究マップ

早稲田大学です。社会科学エリアに比重があります。医学部がないので右下の医療系エリアにはほとんど分布していません。

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早稲田大学の研究マップ

慶應義塾大学です。医学系エリアは旧帝大に引けを取らない活発さのようです。

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慶應義塾大学の研究マップ

おわりに

今回は計11大学の3年間の研究を表現しました。詳細な読み解きは行いませんが、紙芝居のように並べることで各大学の特徴が大まかに見えたと思います。もし個別に可視化してみたい大学や研究テーマがあればお知らせください。

出典・免責事項

当記事の情報は、KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)( https://kaken.nii.ac.jp/ )をもとに筆者が独自に加工し、考察した内容となります。正しく公正な情報を提供するように努めてはおりますが、必ずしも正確性を保証するものではありません。

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