#10 自己肯定感

 前回の「自信がない」というエッセイ記事の続きになりますが,今回は自己肯定感をテーマとした内容について.
 先月あたりだったかも知れませんが,地元の音楽LIVEを観に行っておりました.LIVE会場が食堂という狭い場所でしたので,後から来場した私は立ち見すらも難しいような場所からそのパフォーマンスを眺めておりました.その会場にて,私は最初から最後までだれとも会話をすることなく足早に去ってしまったのですが,この日はそのような自分を否定することなく,最後まで肯定できたまま居られたのでした.
 むかし,学生時代に非常に同調圧力のつよいクラスで過ごしていたことがあります.そこで,「なぜおまえはみんなといっしょにできないんだ」というような雰囲気のことを何度か言われていたことがありまして,私自身もそれについて悩んでいたと当時を振り返って覚えております.実は,私は物心つくまえからなぜかみんなと一緒になにかをするのが辛い性格の持ち主だったようで,実際に大学生のときに専門家からスキゾイドパーソナリティー障害(SPD)という診断を受けております.いわゆるマイペースな変わり者性格者というやつなのですが,物心ついたころから自覚が芽生え,非常に苦痛を覚えておりました.しかし,今回そのLIVE会場で,みんなと同じように初対面や友だちを連れて人と会話をしないで,会場で孤立してたたただそのパフォーマンスを眺めている自分がたまらなく愛おしく思えたのです.
 あぁ,わたしはわたしでいいのだな,それをだれかが責めたりするわけでもない,わたしはわたしのままそれ以上でもそれ以下でもなくありのままに在れるのだな.……という(若干意味不明な)とても気づきと安心に満ちた,幸せなこころとその佇まいを初めてひとりで居ない,パブリックの時と場にて実感できました.そのときの記憶が曖昧になりつつありますが,そのあまりの感動を何人かの友だちにLINEで共有させてもらった程です.
 この体験を通して,自己肯定感というものをより正確に掴んだ気がします.頭の中の,ひとりで居るときの,そういうしあわせな孤独(Solitude)ではなく,だれといてもだれといなくても,わたしはただただ私のままでよいのだというまるごと自分OKみたいな実感です.
 自信がないというのもこの自己肯定感の内では,"自信あり"の枠内に含まれるのかも知れません.

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