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第5回Q&A 課題遂行で考える学習評価

評価は何のために、誰のためにあるのでしょうか?学習者の課題遂行(Can-do)を評価するパフォーマンス評価の考え方とその実践を中心に、自己評価やポートフォリオについても取り上げた回です。
*講座の中では、グループでポートフォリオを共有する活動の途中で一人ずつ呼び出し会話テストを行った事例が紹介されました。

Q1:会話テストについて

活動の途中に一人ずつ呼び出す形式の会話テストだと、最初にテストを受けた人がまだ受けていない人に出題内容を共有してしまうことはないのでしょうか?また、それが評価に影響することはありませんか?もちろんテーマがわかったからと言って評価が同じになることはないと思いますが、教えてもらった人とそうでない人との差が少し出てくるのではないかと感じました。実際にどのように対処されているのか、また問題がない場合はその理由を伺えれば幸いです。
 
A1:国際交流基金ジャカルタ日本文化センターの日本語講座の例をお伝えします。インタビュー、ロールプレイとも3種類ずつタスクを用意して、20人弱の受講者に対し、ランダムな組み合わせで出題をしました。学習者には特に何も言いませんでしたが、問題を話す人はいませんでした。社会人の多い、学校ではない日本語講座だということが大きかったかもしれません。ちなみに『まるごと』では、テストの待ち時間に学習者は教室でポートフォリオを見ながら話し合う活動をすることを提案しています。もし教師の人数が確保できるのであれば、テスト担当とポートフォリオ担当の2人の講師が配置できるといいでしょう。
学校教育や日本語学校などでは成績の持つ意味が大きく、おそらく学習者のテストに対する姿勢が異なるかもしれません。上記のように複数のタスクを用意することが教師側の一つの対策になるかと思います。しかし、インタビューもロールプレイも、相手(教師)との会話ですから、どのCan-doが含まれているかわかっても、よい成績をとるためにはその会話ができるようになっていなければ対応ができません。会話テストがあることで普段の授業の会話練習に力が入ること(波及効果)が、望ましい変化として期待されることだと思います。



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