笑ってはいけない三線づくり24時! 〜孤高のバカボンド?の巻〜
一定のところにとどまらず、世界を渡り歩く人(放浪者)のことを「バガボンド」と言います。この言葉からあの「天才バカボン」ができたという説もあるし、近年では「バガボンド」という宮本武蔵を描いた漫画も人気がありました。
そんなバガボンドにひっかけて、今回は「笑ってはいけない」アホらしい接着剤の使い方、ということで「バカ・ボンド」のお話。
でもバカみたいな作品を作りますが、接着剤のお話としてはとても真面目にやりますので、ご安心ください。
前回は短かった三線の棹を、加工して継ぐところまでやりました。木工ボンドでガッチリ接着してありますが、まだまだ荒っぽさは否めません。
そこで、
↑ こんな材料を用意します。
◆ 重曹
◆ のこくず(木くず)
◆ 瞬間接着剤
の3つです。
木と木を大きく、ざっくりとつなぐのは「木工ボンド」の役目ですが、そこから細かい部分は「瞬間接着剤」のお出ましです。
この瞬間接着剤。本家の三線づくりをも変えてしまったというすごい道具で、黒木の粉(のこくず)と瞬間接着剤で加工するのは、もはや三線製作者の間でもマストアイテムになっています。
瞬間接着剤が登場するまでは、もちろんそんなものは使っていなかったのですが、新垣さんという方が「これは三線づくりに使えるんじゃないか?」と取り入れたというお話。それが今の西武当新垣三線店さんですね。
さて、のこくずを詰めながら瞬間接着剤を垂らして固めてしまう、というのが基本の使い方ですが、のこくずだと詰めきれないような細かい隙間には「重曹」を使います。
こちらも、ふりかけて瞬間接着剤を染み込ませてゆきます。
重曹を使う方法は、ウィキペディアにも載っているくらいベーシックな手法なのですが、プラモデル作家さんの間で広まった技法だそうです。
少しの時間で、ガチガチに固まっています。
ただ、三線づくりの場合は、次の点に気をつけてチョイスしてください。
■ 力がかかる箇所を埋めたり、繋いだりする場合は「木くず+瞬間接着剤」を使うこと
■ 力がかからない傷や、隙間については、「重曹+瞬間接着剤」でよい。
という使い分けです。
なぜこういう使い分けをするかというと、重曹は基本は「つぶつぶの石みたいなもの」なので、「硬いけれどもろい」という特性があります。
三線は楽器なので、特に弦の張力が働く方向については力がかかり続けます。なので、その力がかかる方向に石粒みたいなのを配置すると「圧がかかって割れたりくずれたりする」のです。
(実際には瞬間接着剤が固めているので、ぽろぽろ欠けたりするわけではないけれど、そういうイメージ)
それに対して、木くずは「繊維質」なので、もともと粘り気があり、伸び縮みに対しての耐力があります。鉄筋コンクリートのしくみと同じですね。
ですから、弦が引っ張ろうとして「引張り力」がかかる箇所や、逆に「押さえつけ力」がかかる箇所などには、繊維を配置してしなやかにしておく、という工夫が必要なのです。
というわけで、これで一応全体的に接着ができたことになるのですが、それでもまだ弦の張力に対して、「アンバランスな状態」になっています。木材そのものは柔らかく、かつ局所的に瞬間接着剤で固めてあるものですから、棹が
「ゆるゆる+パキパキ」
みたいな状態になっているのですね。
ここに弦の張力がかかってくるのだから、楽器としては「振動のバランス」も良くないことがわかると思います。
そこで次回は、「全体的に力を分散する」加工をしてゆきます。
なんだか全然笑うチャンスもありませんでしたが、意外に真面目に作ってるんです(笑)
では次回をお楽しみに!
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