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「ハーバードの美意識を磨く授業」オンライン版、A.I. Labsに参加しています

こんにちは、舞衣子です。私は今、『ハーバードの美意識を磨く授業: AIにはつくりえない「価値」を生み出すには』の著者であるPauline Brown氏主宰のAesthetic Intelligence Labs(略してA.I. Labs)に参加しています。これはオンラインコミュニティで、世界中からの参加者それぞれが自分の美意識を探求し、言語化し、日々の生活やビジネスに活かしていくための課題も発表され、みんなでせっせと課題を提出しながら議論を深めています(すべて英語です。)約50人ほどの比較的小さなコミュニティですが、全員が様々な視点で「美」に対する気付きを共有し合う、とっても刺激的な場所です。

ビジネスにおける「美意識」というテーマや、先述の本が日本でもじわじわと話題になっていることから、A.I. Labs の内容を知りたい方もいるかと想像し、ここに記録していきたいと思います。というより、私がワクワクしすぎていて発信せずにいられません!!笑

Pauline Brown氏とは

Pauline Brown(ポーリーン・ブラウン)氏は率直に言ってビジネス界の超エリート、誰が見ても輝かしいキャリアを築き上げてきた方ですが、最も目立つところだと過去にLVMH 北米地域社長を務められたという経歴です。彼女がシャネルやディオール、ブルガリといった世界有数のラグジュアリーブランドや、老舗シャパンブランドであるモエ・シャンドンを要する巨大グループの、北アメリカでのビジネスを総括していたということです。もう、想像が及ばなさすぎてクラクラします。

英語ですが公式プロフィールはこちら:https://www.aestheticintelligencelabs.com/team/

プロフィールページのスクリーンショット。存在感が桁違い。

その職を退いた後は、ハーバードビジネススクール等の名門学校でビジネスやリーダーシップにおける美意識の重要性を説くべく教鞭を取っていらっしゃいます。そのハーバードでの授業をまとめたのが、先述の本になります。

Aesthetic Intelligenceとは何なのか

そんなBrown氏が提唱している、"Aesthetic Intelligence"という概念。直訳すると「美的知性」と言えるかと思いますが、ご本人はBigCommerceのウェブインタビューにて以下のように語っていらっしゃいます。

”When you see or hear the term AI, I’m guessing you think it stands for artificial intelligence. It does, of course. But artificial intelligence isn’t the first thing that comes to mind when I think about AI. For me, AI also refers to aesthetic intelligence. (...) Aesthetics is the pleasure that we derive from perceiving an object or experience through our senses. (...) Essentially, aesthetic intelligence is the development of “taste”—the ability to discern what is desirable and why and how to attain it."

==拙訳==
"AIという言葉を聞くとき、きっと皆さんはそれが人工知能(Artificial Intelligence)を指すと考えるだろうと思います。もちろん、その通りです。しかし、私がAIについて考えるとき、最初に浮かぶのは人工知能ではありません。私にとって、AIとは美的知性(Aesthetic Intelligence)のことも指します。(中略)美的感覚(Aesthetics)というのは、ある事物を捉えたり、感覚と通して体験する時に生まれる快楽のことです。(中略)つまるところ、美的知性とは「テイスト(感性)」を開発すること、すなわち何を魅力的だとし、その理由が何であり、どのようにしてそれが獲得できるのかを識別する能力のことです。”

BIG COMMERCE Executive Corner: The Other AI: How Aesthetic Intelligence Can Transform Your Brand by Pauline Brown

非常にクリアかつ簡潔に「Aesthetic=美的感覚」とは何かをまとめていらっしゃいます。ではその第二のAIがなぜ、特にビジネスにおいて重要だと彼女が考えるのか、さらに詳しく語られている部分を著書の冒頭より引用したいと思います。

”一般的に美意識という言葉は、物事がどのように見えるかを説明する時に使われる。ビジネスにおいては、製品やパッケージのデザイン、ブランドイメージ、企業理念などに用いられるだろう。ところが、この言葉が意味するところを深く捉えれば、単に「見た目の優雅さ」にとどまらないことに気づくはずだ。
本書で私が使う「美意識」という言葉は、人が自らの感覚を通じて対象や経験を理解し、知覚することで得られる喜びや満足感のことだ。(中略)美的知性とは、ある物事や経験から引き起こされた感覚・感情に気づき、それを洞察力をもって解釈し、わかりやすく表現する能力のことだ。
美意識に支えられたビジネスであれば、消費者が「喜んで買いたい、消費したい」と思うような製品やサービスを提供できる。(中略)
私はこの「美意識をビジネスに生かす」という極めて重要なスキルを美的知性、あるいはAesthetic Intelligenceの頭文字をとって「第二のAI」と呼んでいる。”

『ハーバードの美意識を磨く授業: AIにはつくりえない「価値」を生み出すには』
ポーリーン・ブラウン (著), 山口 周 (監修, 翻訳)、三笠書房

この本の監訳は『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著書である山口周氏が務めていらっしゃいます。山口氏の著書もまた「なぜ今ビジネスに美意識が必要か」という問を掲げています(彼の場合は日本人の視点からも答えています。)その本の内容に絡めつつ、山口氏は『ハーバード…』の冒頭にてより具体的に、以下の文章を寄せています。

「優秀さの定義」が、かつての「与えられる問題について速く、正確に正解を出せること」から、今後は「誰も気づいていない新しい問題を発見・定義できること」にシフトするということです。
では、どのようにすれば「新しい問題」を見つけることができるのでしょうか?まさに「美意識」というのが、その回答になります。みなが当たり前だと思っていることに対して「何かがおかしい、美しくない」と思える審美的感性、さらには時代感覚や世界観にもどついて「本来こうあるべきではないのか?」をイメージし、それを他者に伝えられる力が求められる、ということです。

『ハーバードの美意識を磨く授業: AIにはつくりえない「価値」を生み出すには』ポーリーン・ブラウン (著), 山口 周 (監修, 翻訳)、三笠書房

ここで山口氏は「美意識」を「新しい問題を発見する」ために重要と説いていますが、両者ともに、「美意識」を活かし、「表現し、伝える能力」が求められているという点で一致しています。つまり、ただ感性を持っているだけでも、磨くだけでもなく、「実践できる」ということが何より重要、ということになります。

A.I. Labsはどういう場所でどんな人がいるのか

その、まさに実践を深めていこうという試みが、A.I. Labsというオンラインコミュニティです。ここには世界中から集まった、様々な職業の人たちが参加されています。ビジネスパーソンのみならず、クリエイティブ系のお仕事をされている方も多く、エグゼクティブ・コーチやブランディング・コンサルタント、Influencerのような方もいらっしゃいます。私みたいな、日本からの「会社員兼ぽっと出ファッションコンサルタント」という人は他にいないと思われますが笑、みなさんとても寛容でフラットなので、気兼ねなく投稿したり、メッセージしたりさせていただいてます。本当にみなさんとても優しいです。

このコミュニティの素晴らしい点は、非常に個人的な「感性」というものについて、アウトプットしてフィードバックを受ける場であることだと思います。実践した結果を人に共有したり、他人の実践を目の当たりにできるということには、とてつもない価値があると感じます。もちろんPaulineさんからも直リプが来ます。世界のリーダーはやはり誰に対しても対等で思慮深いです。

A.I. Labsのランディングページのスクショ。英語が得意な方はぜひ直接行ってみてください!

また、時々Paulineさんがゲストを呼び、対談のようなイベントも行われます。彼女のお知り合いですので、錚々たる経歴の方々で、毎回アナウンスがある度にその太っ腹さに白目を向いています。時差の関係で、残念ながら私はライブ参加できないのですが(大体日本時間の午前3時とかなのです)録画を見たり、あるいは私からみんなにビデオメッセージを共有したりしています。

最終的には、自分の美的感性をビジネスに応用するスキルを身につける、というのがこのプログラムの終着点です。とはいえこのプログラムは実は "Foundation” 、つまり基礎編であって、これから発展版が生み出されるかもしれないそうです(詳細はまだ未定とのこと)。コミュニティで提示される課題とほぼ同じ内容が著書にも書いてあるのですが、自分ひとりで行うのと、人の提出物も目にしながらすすめるのとでは、効果がまったく違うでしょう。非英語圏からの参加者も多く、様々なバックグラウンドを持った人々と抽象的な「美」という概念について語り合うことで、より個人の感覚や認識がブラッシュアップされていくと実感しています。

私が学んでいること – 美意識は個人の中に内在している

A.I. Labsでの課題や実践法がハーバードでの授業と全く同じかというと、そうでない部分もあり、ましてMBAがもらえるわけでもないのですが、核となるコンセプトは同じと言えます。それは、個人がどんな美的影響を受けてきたのか、今どんなことに五感が刺激されるのか、そこに美意識の鍵が眠っていて、そこをスキップすることはできないということ。この部分地道に(ほんっとに地道に!)向き合っていくことで、自分のユニークな感性というものに自分で気づいていきます

そう、美意識とは、思考の上塗りでゲットできるものではないのです。自分の中にしか存在しません。そして、誰の中にも絶対に、内在しています。それを意識的に見出して、活用するための訓練が、Paulineさんがビジネススクールやこのオンラインコミュニティで試みていることであり、彼女は何よりも、ビジネスリーダー達がこの第二のA.I.を持って世界を動かしていくことを願っています。

ではなぜ、私がそんなに美意識に興味を持って、こだわって、さらには自分のプログラムまで作ろうとしているのか。ここまでかなり長文になってしまったのでそれについては別の記事に書き綴りたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

お知らせ

あなたも美意識の育み方に興味がありますか?日本語で、より個人の感覚にフォーカスしたプログラム "Aesthetes' Practice" を考案中です。ご興味のある方は、ぜひメールアドレスをご登録ください。

美意識について語る私のファッションコンサルが受けてみたい方は、ぜひこちらもご参照ください。お気軽に、相談だけでも受け付けております。

今回紹介した本の一つ、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』については、敬愛する佐藤草さんがコーチとしての視点から書かれた素晴らしい記事がありますので、ここに共有したいと思います。


今日もみなさんの世界が、輝きと喜びに満ちていますように。世界はいつでも美しい、そう信じて。

Header ohoto by eberhard 🖐 grossgasteiger on Unsplash

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