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折々の1本 -2021年3月④-

1度だけでいいから「日の出」から「日の入」まで1日中歩いて、1枚、また1枚とシャッターをきり続けてみたいです。

小澤征爾さんの自伝的エッセイ『ボクの音楽武者修行』を昔よく読みました。

〈まったく知らなかったものを知る、見る、ということは、実に妙な感じがするもので、ぼくはそのたびにシリと背中の間の所がゾクゾクしちまう。日本を出てから帰ってくるまで、二年余り、いくつかのゾクゾクに出会った。〉

正直なところ、私は家を出て平均2時間ぐらい街を歩いて家に帰るまで、「ゾクゾク」に出会うことはほとんどありません。

それでも歩いているうちにその街の雰囲気が、脳内に染み込むように広がっていく感覚はあります。頭の中でずーっと住宅や公園やお店が広がって生活が続いてることを実感する時に、みんなも私も生きてるなぁと感じます。

このあいだこちらのお店を訪問したとき、なぜか気分上々だったので豚の生姜焼き定食だけでなくサバの味噌煮を単品で注文しました。とても美味しかったです。

SNS上で店名を出すことを私はあまり好みません。

例えば、カレー屋さんで食べたスパイスのきいたカレーの写真を投稿するとして...。その写真を見てくれた人が私と同じカレー屋さんに行きたくなるよりも、その人が住む街の馴染みのカレー屋さんに駆け込みたくなるような投稿にしたいと思うのが私の不思議な特性です。

写真で何かを表現できるとしたら、店名などの情報を超えて、ある光景と全然関係のないある人の日々が連動する何かを写すことに興味があります。

もっと人を好きに、もっと街を好きに、少しだけ良い未来が見えるように、写真を撮っていきたいです。

貴重な時間を使って最後まで読んで下さったことに感謝します。

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