もうすぐ仕事辞めます⑩よくあるあるな話

人と人との繋がりは時に呆気なく途切れてしまう。なぜかどんなにお互いに会おうとしても会えない事もあったりする。しょっちゅう顔を合わせていた人も急に何処かへ去って行く事もある。
人混みから現れて、また人混みに消えて行くようだ。それが繰り返されていく。

私はたまたま出会った知らない人が話してくれるのを聞くのも面白いと思う。まるで何かの物語を聞くみたいに。
だからちょっとしたきっかけで話し込んだりする時がある。

今までの出会いで受け取ったものは様々だ。
よくあるものでは、スキーだったり、音楽だったり、バイクの免許を取る事だったり、山登りだったり…。
そしてそういったもの以外にも『自分でも良い出来だと認めてもいいんじゃない?』と言ってくれた人もいたし、ある時は反感を率直に伝えてくれた人もいたりして後でハッとした事もあった。そう、その時には嫌だな、としか思わなかったのだが。
(色々今まで、与えてもらったんだな。)

子どもの頃どう振る舞えば良いか分からなかった私が、あの日からすると随分マトモに生きているじゃないの、と今は思う。
どんどん強くなったのかも知れない。
勿論、失敗したり迷惑も掛けてきた。だからといってそれをきっとゼロには出来ないと思う。私も誰かの役に立つものを残すのだろうか?
または残せた事はあるんだろうか?

ふと思い出した。

あ、そうか。だから感謝するのは大切ですよ、と皆言うんだ?何も返せないとしても、「ありがとう」と云う言葉を返す事は出来るね。

私は先日、子どもの頃に遠足で行った所へ出掛けてみた。とても広い公園だ。当時、幼稚園児だったのではっきりとは憶えていないが、見たことがある所もあった。
だが私を懐かしく包んだものは、景色では無かったのだ。
歩き回っていると広い草むらに出た。特に見覚えがある訳では無く、すっかり忘れているのか、そこへ入った事が無いのか分からない。暫く佇んでいると蝶を見つけた。翅を閉じて留まっている。
私は開いた所を見たいと思った。

私は静かにしゃがみ、じっと待った。すると草の陰などにもっと様々な生き物がいるのに気付いた。どんどん見えてくる。
そのままじっとしているとあっと思った。
この感じ、この感覚…。(こういう時だけ辛抱強かったんだ。)
私は今の様にしていた記憶がある。私の中にはちゃんと子どもの頃の私もいたのだった。

(変わってきたんじゃなくて、書き加えられてきたのかも知れないな。)そんな風に自分の事を考えた。私は蝶が翅を開いたので写真を撮った。とても楽しい気分だった。
その後、温かい、柔らかい空気の幕が包む感じが暫く続いていた。

ちゃんと全部、受け取ったものが私の中に息づいているんだな、そう思った。
物質的なものは無くなっていたけれど。

「ありがとう、とても嬉しいよ。」
私は私からも受け取った。

きっと幼稚園の遠足は大型バスでやって来たのだろうと思いながら、私は帰りの路線バスを検索した。
大型バスの停まれる駐車場を通り抜けて外へ出た。両側を畑に挟まれた静かな道を暫く歩き、幹線道路に出ると小さなバス停があった。
そしてこの先、また見るかは分からない街並みをバスの窓から眺めながら家へと向かった。私の今住む街と家に。

☆おしまい☆

現在もまだ片付け中ですが、以前より随分身軽になっています。ひたすら掃除するという、自分では今までやった事が無い事をしているので少しずつ楽しく続けています。
断捨離、捨て活、おすすめします!

…そして拙い文章を読んで頂き、ありがとうございました。

2023年が素敵な年になりますように。

(^-^)


















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