「アルケミスト - 夢を旅した少年」という本を読んで
散歩と文庫
仕事の音楽とは違って、自分が思うがままに書きたくなる曲というのがあります。それは、絵から印象受けたり、自分自身の物語だったり、色々なのですが、その中でも多いのは私にとって「本」の物語です。
今日はそんな印象的だった本の素敵な一節をお伝えしたいと思います。
羊飼いの旅
羊飼いは旅が好きになっても良いが、決して羊のことを忘れてはならないのだ。
数年前に、パウロ・コエーリョという作家の「アルケミスト」という本と出会いました。
スペインが舞台で、羊飼い少年サンチャゴが、夢でお告げを聞き、
旅をしながら成長するというお話で、とても読みやすい本です。
その中で、とても印象に残る一節がありました。
幸福の秘密?
ある店の主人が世界で最も賢い男から幸福の秘密を学んでくるように息子を旅に出します。
この息子は砂漠を40日間も歩き回り、賢者のいるところをやっとの思いで見つけた。
しかし、賢者は、息子がはるばる来た説明を聞き、
「今は幸福の秘密を説明する時間はないから宮殿をあちこち見て回り、二時間したら戻ってくるように」と言いました。
ただし、条件をつけて。。。
「宮殿を見て回る間、君にしてもらいたいことがある」と、二滴の油が入ったティースプーンを少年に渡しながら、賢者は言った。
「歩き回る間、このスプーンの油をこぼさないように持っていなさい」
少年は宮殿の階段を上ったり降りたりし始めたが、いつも目はスプーンに釘付けだった。二時間後、彼は賢者のいる場所に戻ってきた。
「さて、わしの食堂の壁に掛けてあったペルシャ製の綴錦(つづれにしき)を見たかね。庭師の頭が10年かけて作った庭園を見たかね。わしの図書館にあった美しい羊皮紙(ようひし)に気がついたかね?」と賢者が訪ねた。
少年は当惑して、「実は何も見ませんでした」と告白した。
彼のたった一つの関心ごとは、賢者が彼に託した油をこぼさないようにすることだった。
「では戻って、わしの世界の素晴らしさを見てくるがよい。彼の家を知らずに、その人を信用してはならない」と賢者は言った。
少年はホッとして、スプーンを持って、宮殿を探索しに戻った。今度は、天井や壁に飾られたすべての芸術品を鑑賞した。
庭園、周りの山々、花の美しさを見て、その趣味の良さも味わった。
賢者のところへ戻ると、彼は自分の見たことを詳しく話した。
「しかし、わしがお前に預けた油はどこにあるのかね?」と賢者が聞いた。
少年が持っていたスプーンを見ると、油はどこかへ消えて無くなっていた。
「では、たった一つだけ教えてあげよう」とその世界で一番賢い男は言った。
「幸福の秘密とは、世界のすべての素晴らしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」
今の自分と、そして自分にとっての「スプーンの油」って何だろう。
この一節を何度も噛み砕いて読んでいた時、確かに私はこの本から色々と感じ少しばかり成長できたような気もしました。
是非よろしければ読んで見てください。
また、この物語を題材に作曲してみました。こちらもよろしければ聞いて見てください。
素材提供
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散歩と文庫という名前で、知り合った人や自分が面白いと感じた本をくぼたあきゆきが読み、内発的にでた感情を楽曲に書くシリーズを企画してます。