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最近よく聞く「家族信託」って何?いまさら聞けないあれこれを解説します!

最近耳にすることが増えた「家族信託」。あ~あれね・・・なんて話を合わせてはいるけど、実はどんなものかよくわからないって人はいませんか?
難しそうに感じるけれど、実は高齢者とその家族にありがた~い制度が家族信託なんです。誰もが他人事じゃない家族信託のこと、ここでしっかり頭に入れちゃいましょう♪

家族信託とは

家族信託とは、老後や介護発生時に備えて、預金や不動産などを信頼できる家族に託し、管理・処分が行えるようにする財産管理の方法です。

簡単に言うと「わしが認知症になったら、預金とか土地を売ったお金を使ってよきにはからってね!」とお願いすることができるもの。

家族信託は、以下の三者の間で成り立ちます。

【 委託者 】・・・財産を託す人 
【 受託者 】・・・託された財産を管理・処分する人  
【 受益者 】・・・託した財産から利益を受け取る人

実際には、委託者と受益者が同一人物の場合も多いです。

例えば、高齢の親が長男に預金・不動産の財産管理を任す⇒環境の良い施設に入所するため、親の不動産を長男が売却して現金にする⇒そのお金を使って環境の良い施設に入所しのんびり暮らす、といった具合。

この場合、親が委託した財産を長男が有効に使って親に(快適な生活として)還元したため、委託者(親)と受益者(親)が同じになるというわけです。もちろん委託者が父親、受託者が息子、受益者が母親などの場合もあります。

このように、家族信託には必ず委託者、受託者、受益者の三者が存在します。「財産を自分の利益のために使ってもらえるよう、家族のだれかを信じて託す」のが家族信託です。

どうして家族信託が必要なの?

家族信託が必要な場合はどんな時でしょうか。

家族信託とよく似た制度に「遺言」があります。「遺言」では、書いた人が亡くなった後の財産の行き先について指定できます。言い方を変えると、亡くなって初めて発動するのが特徴です。

他方で「家族信託」は、委託者が存命でも、任された家族が財産の管理や処分を行える点、また柔軟な財産管理ができる点が大きな違いです。

例えば、高齢の親が認知症になった場合、銀行口座が凍結されて現金を動かすことができなくなります。そうなると、日々の買い物や介護費用に充てようにも、子どもが自分のお金でやりくりしなくてはなりません。

また、施設入所によって誰も住まなくなった親の自宅を売却したくても、認知症になると不動産売買をはじめ全ての契約ができなくなりますから、相続が発生した後まで売却することはできません。

そんな時にでも、信託された家族なら預金を使って介護費用に充てたり、場合によっては親名義の不動産を売却したりできるようになります。

通常は「家族信託」をしていない人が認知症などで判断能力が落ちた場合、裁判所に申立てて法定後見人の選任をしてもらうことで親の預金等を介護費用に充てることはできます。

しかし後見人専任の申請をしてから後見開始までに数か月かかること、後見開始まで費用は持ち出しになること、後見人専任の手続きが煩雑になることなどから、元気なうちに「家族信託」を結んでおくことが、後々親子双方にとって大きなメリットとなるのです。

「家族信託」と「遺言」は似ているようでも利用できる時期が違います。そのため2つをセットで考えておけば万全といえるでしょう。

家族信託は公正証書にして残そう

家族信託は私文書でなく、きちんと公正証書にしておくことがおすすめです。

私文書であれば即日完成しますし費用もかかりませんが、金銭を信託する場合に必要な信託口座を作れない可能性があったり、後々家族間のもめごとの種になったりすることもあります。

実際に信託口座を開設する際には、ほとんどの金融機関で信託契約書が公正証書であることが求められます。

また、紛失した場合、私文書は再発行ができません。しかし公正証書であれば公証役場に保管しているので写しを再発行してもらうことができます。

このような様々なメリットから、家族信託の契約は公正証書にしておくのが最も望ましく確実な方法といえるでしょう。

親の老いについては考えたくないという気持ちもありますが、ほとんどの人が経験するのもまた、親の老いです。

その時にトラブルに見舞われず、残された人生をゆったり幸せに過ごしてもらうためにも、家族信託という選択を考えてみてはいかがでしょうか。

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