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「エッセイ」 再会 #あの記事の後日談

先週の金曜日のことだ。
私の店に懐かしい人が訪れてくれた。彼はダーちゃんが急性期病院から回復期病院(リハビリ病院)へ転院した時の担当のリハビリ師さんだった。

彼とのエピソードは、こちら↓


当時は若くてやんちゃで、でもやる気満々だった彼は、あれから結婚して子供も出来て父親となった。
それだけの歳月が流れたのだと思うと感慨もひとしおだった。相変わらずやんちゃで、仕事への情熱も色褪せないままだ。あれだけ多くの患者さんと付き添いが居た中で、未だに私の事を忘れずに店に通って来てくれる事に対しては、感謝以外のなにものでもない。

他の常連さんが彼に訊ねた。
「他にも大勢の患者さんを診て来たのに、なんで十何年も経ってもsannちゃんを覚えてるの?」

彼はまっすぐに私を見て答えた。

「この人、いつでも明るかったんですよ、一番の重症患者さんの奥さんなのに、どんな時でも明るかった」

えっ、私が大泣きしたのも知ってるくせに!(過去記事通り 笑)

「そして、いつも諦めなかったな〜」


私は主人が今までお世話になった病院関係者さんには、店をやっていることは一切伝えた事がなかった。
でも狭い街で噂は広まる。主人が有名人だったから。
その中で彼だけは噂を聞きつけて来てくれた。最初に来たのは開店当初、それから年に何度か、ふらっと
「頑張ってる?」
と様子を見に来る。主人が亡くなった時も
「お疲れ様でした」
と言っただけで、友達と笑いながら酒を飲んで帰って行った。

でも医療関係に居る彼は、コロナ禍の間は一切出て歩く事をしなかったそうだ。だから本当に久しぶりの再会だった。

「ご無沙汰してました」

ペコリと頭を下げて顔を上げた彼は、にっこりと微笑った。
ちょっと太って貫禄が出た彼は、昔の一リハビリ師ではなくなっていた。一つのリハビリ施設とリハビリ関係の会社を二つも経営する経営者に変わっていた。それでも彼は自分自身が施術する事にこだわりを持ち続けている。

よく忘れずに来てくれたね…

紫陽花さんが言っていた多くの人に見られなくても、たった一人の人が見ていてくれればいい。
あの言葉が今、私の脳裏に浮かんできた。
こういう事なのかな…


目頭が熱くなった私は、
「出世したなら、ご馳走してね」(おーい!)
って笑って誤魔化した。
「何でもどんどん飲んでよ!」

あの日、私達は懐かしい話しをしながら酒を深夜まで飲み明かした。



ありがとう、見ていてくれて…


虎ちゃん、企画に参加させてくださいね。
よろしくお願いしますm(__)m

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