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人生オークション(短編・毎日小説・9/4)

小説部分


「今日で俺たちの運命が決まるね。」
「そーだな。今日のオークションで買い付けをミスったら、この先の人生はどん底で絶望しか待ってないからな。」
「そう考えると、どこで攻めて、どこは引くかとか慎重にならないとな。」

今日の参加者は、今後の人生でライバルになり得る可能性がある存在ばかりであるため、お互いの思考や価値観などを少しでも引き出す為に、オークション開始前から心理戦はすでに始まっていた。

「ちなみに、昨日のオークション参加者は悲惨だったらしいぜ。」
「なんで?なにがあったの?」
「まず参加者が普段の3倍くらい人がいたらしい。」
「その時点で悲惨だな。」
「更に、昨日は週に一回訪れる出品物が不作なものばかりの日だったから、売れ筋商品はとんでもない値が付いたらしいぜ。」
「うわ、本当に災難だな。今日は、そんなことが起こらないといいなー。」
「今日は大安だから、出品物のレベルは一週間の中では最高品質が並ぶ日だって噂だぜ。」
「まじか、ラッキーだな俺たち。」
「お、そろそろ始まるっぽいな。」
「じゃあ、お互いに恨みっこなしで行こうな。終わった後に会えたら会おうぜ。」

時計の針が0時を回ると、会場が閉鎖された。

「さぁ、今日のオークション参加者は2,935人ですね。ここ数年、本当に参加者が右肩下がりで困るなぁ。皆さん、オークション終わった後は、ぜひこのオークション参加者を増やす為にご協力お願いしますね。」

司会者が開会の宣言をした後、オークションのルール説明がされた。

「説明は一度しかしませんので、しっかりと聞いていて下さいね。質問は受け付けません。やり直しも行いません。本日のラインナップも提示しません。その瞬間瞬間に欲しいかどうかを判断し、意思表示を行ってください。
では、皆さんに強運が備わっていることを願っております。」

「なお、皆さんは会場入りした時に一人一人、封筒を渡されたと思います。そちらは、本日のオークション会場でのみ利用できる金券になります。なお、こちらですが、人によって金額が異なっています。

金額は、あなたたちの前世が行った善行のレベルによって決められています。金額が隣の人よりも少ない場合は、他人を恨むでもなく、我々を恨むでもなく、自分の前世を恨んで下さい。」

説明も終わり、カンカンカンと仰々しい音が会場中に鳴り響き、最初の商品が運ばれて来た。

「では、最初の商品はこちら。スタイル・顔面といった外見ははトップモデルとして君臨できるレベル。その代わり、声が少ししゃがれて、頭脳はEランク大学に合格できるレベル。異性からのモテ度は統計的には85%超です。こちらの商品を選択すれば、まぁ、勝ち組の人生を送れるでしょう。

こちらの商品をご要望の方は、札をあげて入札してください。」

生まれた後の人生を決める要因となる外見・頭脳・内面など人間を形成するパッケージを購入する人生最大のオークションが今日も始まった。

オークションの日の由来

不動産オークションサイトを運営する株式会社ジアースが制定。「オー(0)ク(9)ション(4)」の語呂合せ。

注意事項

この作品はフィクションです。作中に出てくる人物や固有名詞などは一切、現実のものとは関係ありません。

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