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恐怖のベッド(短編・毎日小説・9/3)

ベッド。それは、人が1日の疲れを癒してくれる最高の癒し処。
ベッド。それは、人が愛情を表現する最高の表現処。
ベッド。それは、人が一番無防備になってしまう最高の危険処。

俺は工場で働く一介の作業員。
誰にでも替えがきくような作業員。
都合が悪くなったら、いつでも首を切られる作業員。

でも、俺は悲観していない。

月給が手取り20万円を切る給料しか手に入れられなくても悲観していない。

なぜかって?

俺には公には出来ない秘密の趣味があり、その趣味が充実しているから。
そして、その趣味が副業となり、毎月のように大金が舞い込んでくるから。

「さて、今日の状況はどうなっているかな。」

俺は、PCを立ち上げ、新規と破棄されたもののリストを修正した。

「やっぱり、今月は引っ越し時期って事もあって、新規が増えているな。
さて、今日はどこにしようかな。」

俺は新規のリストの中から、今日の副業素材にするものを選んだ。


「はぁ、今日は収穫めちゃくちゃあったわ。今回のは間違いなく過去最高の作品ができそうだ。」

俺は手応えを感じながら、急いで自宅に戻り編集作業を開始した。
深夜まで掛かった副業を終えると、俺は最高級のベッドにマットレスを備えたベッドにダイブした。
「やっぱり、ベッドの品質が高いと睡眠の質が違うから短時間睡眠でも疲れが取れるんだよなー。」
そんな事を思うか思わないかくらい瞬時に寝落ちした。


そして翌朝、俺はいつも通り工場に出勤し、ベッド作りに精を出した。

俺が担当しているのは、出荷されるベッドの検品・積み込み作業。肉体労働でかなり疲れる仕事ではあるんだが、この仕事は俺にとっては最高の環境だった。

昼休み、昨日の副業結果を確認しようとマイページを確認した瞬間、ニヤケが止まらなかった。

俺の読み通り、今回の副業は過去最高の出来栄えとなり、売り上げも過去最高を叩き出していた。

「いやー、ここまでの作品を作り上げると、やっぱり相当反響があるんだな。これだから、この副業はやめられないわ。

昨日のような収穫があるから、この仕事はやめられない」


俺は、昨日の出来事を思い返し、これらのベッドが綺麗な女性宅に届くことを願いながら、今日もベッドにGPSと盗聴器を取り付けて出荷する。


ベッド。それは、人々は毎日の疲れを癒す最高の癒し処。
ベッド。それは、人が愛情を表現する最高の表現処。
ベッド。それは、人が一番無防備になってしまう最高の危険処。

ベッド。それは他人に見られたくない姿が晒されている場所。


ベッド。それは、俺にとってお金を生んでくれる最高のギフト。

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