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餃子の王将とていねいな暮らしと

「今日は、駅で待ち合わせましょう」

メッセージの送り主は、お茶の先生。

朝起きて、さて今は何時だろうとiPhoneのホーム画面を開いたのが先か、メッセージが届いたのが先か。

今日はお休みだから……といつも家を出るギリギリまでベッドで微睡んでから慌ててグラノーラをかき込んでシャワーを浴びてお稽古に向かうわたしのお休みの日ルーティンは、もう3年も毎週会っている先生にはバレバレで。

お腹が空いていては、お稽古だって身にならないじゃない。土曜日はうちのおじさんがお出かけ(デイサービス)していますからね。一緒にお昼ご飯を食べましょう。

と、お茶のお稽古の日は、いつも、先生がお昼ご飯を用意して待っていてくれている。

お稽古をしてもらうのに、ご飯まで御世話してもらっちゃって……と恐縮しつつ、持病のある旦那さんと食卓を共にするから普段食べていないという揚げ物やレトルトのおかずを一緒に食べながら「これ、食べてみたかったのよおう」と笑う先生とその週にあったことを語り合う時間も、楽しみにお稽古へ通っている。

そんな先生の家の最寄駅に、最近オープンしたのが【餃子の王将】。

そういえば、お稽古に行くたびに彼女が「いつかテイクアウトしましょうね」「デリバリーもしているみたいよ」「ねぇ、いつもあそこには若い人たちが並んでいるわ」と気にかけていたような気がする。

これは、今日のお昼は王将かしら

と思って電車を降りると、電動自転車をひいた先生が「さぁ、王将に行きましょう」とニコニコ笑顔で待っていた。

お店に入って受付表に名前を書くと、「メニューはどれかしらね。餃子は絶対に食べましょうね」と嬉しそうにカバンからチラシを出してきた。

どうやらそれは、オープンのタイミングで割引券がポスティングされていたようで、丁寧にハサミで切り取られた割引券

わたしの住むマンションのポストにもチラシは入ってくるし、職場の福利厚生のパンフレットなんかにも割引券というものはよく付いてくるけれど、ちゃんと切り取ってお店まで持って行けたことはほとんどない。

それだからか、キリトリ線に沿って丁寧に切り取られた割引券を当たり前のように握り込むその様に、餃子の王将にいてもやっぱり、「ていねいな暮らし」をしている人なんだなと思わされる。

先生が持ってきてくれた割引券を使って、わたしたちは天津飯セットと天津ラーメンを注文。わたしも先生も、卵に目がないのでね。

餃子は2人で3つずつ。天津飯と天津ラーメンは、中身がラーメンかご飯かの違いかそれだけなのに取り皿で丁寧に半分こして、いただきます。

「ラーメンはねぇ、おじさんがいると作らないのよ。あと、持って帰るとのびちゃうでしょう。うれしいわー。」

と言って、わたしが天津飯を半分も食べないうちに全部平らげてしまった。びっくり。

ファーストブート店って「今日はお家に帰ってお料理をする元気なんて残ってないぞ」というヘロヘロなタイミングでいくことが多いし、割引券なんて見たことさえ忘れてしまうからとそのままエントランスのゴミ箱に捨ててしまうことがほとんど。

というか、正直「ファーストフード店なんかで済ませないでちゃんと自炊しなきゃな」と行くこと自体ちょっと後ろめたいような気がしていた。

でも、「今日は外食だ!」と念入りに準備していってワクワク注文すると、なんだか急に特別なイベントに見えてくるんだから不思議な話。

帰りにはお持ち帰り用の生餃子まで買ってもらって(お母さんかって)、先生のお家に向かったのでした。そのあと、お腹いっぱいになりながら、お稽古をしたよ。

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