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わたしたちはどう待つか。

身体障害者手帳を提示すると、映画が1,000円で観られる。

とかく物価高騰が叫ばれる日々、ついに映画館も値上げをするとかしないとかそんなニュースを目にするけれども、障害者割引料金は1,000円のまま継続するらしい。ちなみに、同行者も1,000円。

もうこれは、めちゃくちゃラッキーじゃないですか。特にそれが、ハリーポッターとかタイタニックとかで、一緒に観にいく人がある程度文字の読める大人だったらもうバッチリ。だいたいの洋画は、日本語字幕上映か日本語吹き替え上映かを選べて、前者のほうが上映数が多い。

でも、邦画、特にアニメなんかはお手上げで。まず、聴覚障害者のわたしは映画館のようなボリュームの大きすぎるハコで音声の聴き取りが難しい。「映画館は音が大きいから聴き取りやすいのでは?」とお気付きの方もいるかもしれないけれど、実はそうでもなくて。

補聴器の聴こえは、ホームビデオを通したような音環境で。映画館は、BGMと台詞と館内の空調の音が、同じくらいの圧で入ってくるから、とんでもなくうるさい。音があることも台詞が話されていることも音としては認識できるけれども、言葉として聴き取ることはなかなか難しい。普通の邦画だったら俳優さんの口の形を読み取ればなんとかなるけれども、アニメはお手上げ。口形、全然違うもん。

「映画館って、字幕付き上映してなかったっけ?」と思われるもいらっしゃる方もいらっしゃるかもしれない。あるんですよ。作品によりけりだけれども。例えば、有名どころのジブリとかドラえもんとかそのあたりは、聴覚障害者用の字幕上映もしている。

がいかせん、上映回が限られている。大学時代に『思い出のマーニー』を観に行こうとしたら

・バリアフリー字幕上映は県内で1館のみ
・ターミナル駅からさらに電車で20分のショッピングモール
・1日に朝8:00〜の1回のみ
・期間は5日間
・月曜日〜金曜日
・公開から1ヶ月後

という条件で公開された。

たまたま水曜日の午前が空きだったから観に行けたけれども、普通に仕事をしていたらとうてい観に行けない。フレックス制度なんてものもまだまだ整ってなかったあの頃、やっぱり朝イチのシンとしたショッピングモールで上映されたその1枠は、満席になるわけでもなく。「せっかくバリアフリー字幕上映をしたのに、全然需要ないじゃん」と言われたわけ。

これは絶対に条件が悪いと思うのだけれども、あんなに人がいないシアターを観てしまうと、どうせ観たい人は少数派だと思われてしまうのも仕方ないとも思ってしまう。ちなみに『風立ちぬ』も同条件で上映された。これは、たまたま夏休みで、旅先の映画館でも上映されていたので。で、時間を観たら、そこは夜の22:00〜スタートの一回だけだった。それは、遅すぎなんよ。

そんなわけで、邦画、ことアニメに関しては念入りに字幕上映館を調べて、その期間と時間も調べて、自分のライフスタイルと照らし合わせてやっと観に行ければラッキー。無理なら他県に遠征するか、金曜ロードショーまで待つか。(金ローは、地デジ化してからほぼ全てに字幕がつくようになった。円盤は、付かない場合も多い)

最近は、UDcastという付属のメガネに字幕が表示されるという便利なアプリも開発されていて。わたしも、これで『マチネのおわりに』を観に行ったことがある。

これでぐっと観にいける上映館と上映回数が増えたのだけれども、この眼鏡重いんですよ。あと、字幕と背景が同色になると消えてしまうからその都度微妙に角度をずらさないといけなくて。できれば避けたい。感動シーンで何も見えなくなると一気に現実に引き戻されるし。

ここまで1500字もかけてツラツラ文を重ねてきて何が言いたいのかというと

『君たちはどう生きるのか』をはやく観たい!

というただそれだけで。

小さい頃好きだったアニメは、ビデオテープが擦り切れるまで鑑賞して我が家の初購入DVDは『となりのトトロ』。大学時代、初めて挑戦したクラリネットソロは『魔女の宅急便メドレー』というジブリファンでして。

もうずっとずっと公開を心待ちにしてきて、いざ公開されてもなかなか情報が出回らないあの『君たちはどう生きるか』。みんながみんな口を揃えて「これは事前情報なしに観にいくから良いのだ」と言っているのは目にするけれども、わたしには観にいく術がないのですよ。

ちなみに、字幕眼鏡の対応は21日金曜日から。バリアフリー字幕上映は、東京埼玉千葉神奈川で一番早いのは、立川。上映回は未発表。その他多くの館の字幕上映は、29日土曜日から。上映会は未発表。地方から出てきて思うのは、県境越えのフットワークがめちゃくちゃ軽くなったので、選択肢が増えたということ。増えても、あと最低一週間は指を咥えねばならないのだけれども。

ご足労おかけしますね。申し訳ないんで、障害者は1,000円にまけときますんで。

障害者割引ってそういう意味もあるとは重々承知しているのだけれども、でも、目と鼻の先のシアターで公開されているのに、この三連休指を加えることしかできないのがもどかしくってたまらない。たまらないからnoteに書いたら2000字になりました。

うううううう。 #音の世界と音ない世界の狭間で 生きるのもそれなりに楽しいですよのスタンスで過ごしているけれども、やっぱりこういうときは音の世界羨ましい……。こんな夜もある。

そういえば、結構前に聴覚障害×映画鑑賞についてnoteにまとめたんだった。わたしたちが普段どんなサービスを使いながら映画を鑑賞しているのかまとめているので、このnoteを読んで興味を持ってくださった方はこちらもどうぞ。

聴覚障害者のわたしが実践している!映画を楽しむ5つの方法

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