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山手線を歩いて一周⑤【高輪ゲートウェイ〜五反田】

高輪ゲートウェイ〜品川

札の辻交差点から第一京浜を品川方面へ。
田町駅から品川駅の間はかつて、約2kmという山手線最長の駅間距離を誇っていたのだが、「あまりにも長すぎる」のが理由だったのかどうか、途中に高輪ゲートウェイ駅が新設されたのは周知の通り。
ただ、元々が見るべきものの少ない区間。新駅周辺の開発が進めば分からないが、今のところは近隣に住む人や通勤・通学者を除けばわざわざ訪れる理由を見つけがたい場所だ。

そんな中、数少ない観光スポットは赤穂義士の墓で有名な泉岳寺だろうか。実は、田町と品川の間はよく歩いていたにもかかわらず、今まで訪れたことが無かった。なので、この機会に少し寄り道して足を運んでみることにした。

泉岳寺中門の向こうには、何と高輪中学・高等学校が!
山門を進んだ奥に赤穂義士の眠る墓地がある

本当はじっくり見られればよかったが、ここまで来るのに想定よりも時間を使いすぎていたため、サクッと眺めて引き返す。

さて、泉岳寺を出て高輪ゲートウェイ駅を初訪問。まだ開発中だからなのか、駅へ行くのに第一京浜から脇道へ入り、しばらく歩かなければならない。そして、駅の近くにもまだ何も無い。とりあえず駅だけ新設しました、という風情だ。

改札内に店が見られるほかは何も無い高輪ゲートウェイ
駅周辺はただ今絶賛開発中
開発エリアをぐるっと回り込むように第一京浜へと続く道が敷かれている
改札前スペース
おそらくはここに商業施設か何かできるのだろう

今は開発地を迂回するように駅への道が巡らされているが、駅前に建造されているビルか何かが完成したあかつきには、第一京浜から最短距離で駅改札にアクセスできるようになるのだろうか。

高輪ゲートウェイから少し行けばもう品川だ。実際に歩いてみるとそう遠くは感じない。この新駅、本当に必要だったのかなあと感じてしまうのだった。

第一京浜側の品川駅入口
再開発中ということもあるが、意外と地味なのだ

品川は山手線から新幹線まで数多くのJR線が停まるのみならず、京急線も通じている重要なターミナル駅だ。ゆえに敷地はかなり広大なのだが、駅舎となるとそこまでの充実を感じさせない。巨大なオフィスビルが立ち並ぶ湾岸側はまだしも、第一京浜側となると地味な造作だ。
また、第一京浜沿いにはウイング高輪という商業施設、その奥には品川プリンスホテルが所在するのだが、昨今建てられている華やかなビルと比べるといかにも古めかしい印象が拭えない。
俺が大学受験で初めて上京したとき、泊まったのが品川だった。当時はこうした商業施設やホテルに「都会へ来たんだなあ」と感じさせられたのだが、その感慨も今となってはもう昔のこと。少なくともこの界隈は、その頃から時計の針が止まっているかのようだ。

品川〜大崎

実は、山手線の大抵の区間は過去に歩いたことがあった。田町に住んでいた頃は浜松町方面に東京駅ぐらいまではしょっちゅう歩いていたし、品川へもしばしば。板橋の方に越してからは渋谷へ行ったついでに池袋を経由して歩いて帰るといったこともよくやった。今は田端住みなので、池袋から秋葉原にかけてが散歩エリアだ。
そんな中、俺が唯一歩いたことの無かったのが品川〜大崎〜五反田の区間。何せ、田町に住んでいると品川や大崎を経由せずに直接五反田や目黒に出たほうが圧倒的に早い。わざわざ大崎へ行こうという機会が無かったのだ。

そんな大崎へと品川から歩を進める。当然ながら道がわからない。
まず戸惑いを覚えたのが八ツ山橋の交差点。案内表示には五反田方面と大森方面が記されていて、車道は立体交差になっている。はて、歩行者が大崎へ行きたければどちらが良いのか?

箱根駅伝の最終区でクローズアップされる八ツ山橋交差点

近くにあった地図を見ると、どちらからでも大崎へは行けそう。ただ、五反田方面へ向かうと山手線を内側に大きく外れるうえ、五反田へ向かう途中で大崎に寄り道するような形になり、何となく興趣が削がれる感がある。
そう思って一旦大森方面へと進み、外側から山手線に回帰するルートを取ることにした。

「東海七福神」のうち大黒天が祀られている品川神社

歩行者にとってはあまり見るべきものが多くない湾岸方面へのルート。そんな中ふと目に入ったのが品川神社。双竜の掘られた鳥居が特徴的で、境内へと続く階段の絵図と相俟って美しい構えだ。残念ながら、ゆっくりと立ち寄って観覧する余裕は無かったが。

所々で地図を参照しつつ、無事大崎に到着。

オフィスや店舗の入るゲートシティ大崎
駅周辺は商業施設が集積し、ちょっとしたショッピングセンターの風情だ
りんかい線へと直通する大崎駅の構内
改札の外から見るのは初めて

なかなか訪れる機会の無かった大崎駅だが、駅周辺のビルにはオフィスや商業施設が集積していて予想外に栄えている印象を受けた。もっとも、商業ビルに関しては見栄えのする瀟洒な建物や店があるわけでもないが。

大崎〜五反田

大崎を出て五反田へ。こちらも経路については不案内だったものの、東急池上線の大崎広小路駅周辺まで来るとようやく土地勘が戻ってくる。かつて西馬込の塾でアルバイトをしていたとき、帰りによく五反田まで歩いたものだった。そのおかげで、この界隈の地理は比較的頭に入っている。

池上線の高架下を流れる目黒川
遊覧船に気付き、思わずシャッターを切る

ほかにも、五反田には昔加入していたバンドが練習に使っていたスタジオがあってよく訪れていた。その際は大抵目黒川のほとりにあるサイゼリヤで昼食をとってからリハに向かっていたのを思い出す。
何か特別な体験があったわけでもないのだが、ちょっとした縁があって不思議と懐かしさを感じさせる街。俺にとって、五反田はそんな思い入れのある場所だ。

ちょっと標札がきれいに撮れなかったが、五反田駅

五反田の駅舎も古めかしいのだが、旧来のアトレに加えて新しく「アトレ2」が増築され、ほんの少しスタイリッシュな雰囲気が加わった。ただ、今のところはまだ、数年前と比べて大きく変わったという印象までは感じさせない。

山手線の湾岸方面エリアは京浜工業地帯を形成する工場の町に由来する場所。ゆえに、重要な駅や有名な大企業のオフィスも存在するのだが、新宿駅や東京駅といった商業・金融業を中心に栄える街と比べると、よく言えば質実剛健、悪く言えば地味という印象が拭えない。
ここからは目黒、恵比寿そして渋谷へと続く。それに伴い、都会の空気が再び色濃くなっていく。
別にそれが良いことというわけでもない。ただ、山手線沿線はそんな性格を持った地域なのだというだけの話。

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