ちょ、の破壊力
ころっと来てしまうコトバについて
博多弁が好きな人がいれば、京都弁が好きな人もいるし、漫画『うる星やつら』のラムちゃんのような宮崎弁(語尾の「ちゃ」)が好きな人もいる。
サッカーと生きていた頃、全国各地にお邪魔した。王道だけど博多弁の威力は凄まじく、電車やバスの中で女性の会話に聞き耳を立ててしまった。iPhoneで音楽を聴くふりをしながら。
ボクが高校生の頃はポケベルが全盛で、その後はピッチ、ガラケー、スマホと段階を踏んでいったように思う。ボクが通っていた高校はバイト禁止だったので、お小遣いを親からもらっていた身でポケベルは買えなかったし、持つことはできなかった。
一度、持たせてほしいと交渉したことがあるけど、「自分で料金を払えるようになってからね」と母親に至極真っ当なコトを言われ、すぐに諦めた。そう言われたらぐうの音も出ない。
ようやくガラケーを持つことができたのは浪人生の時だった。地元には浪人生のための予備校がなかったので隣県まで電車で通うことになった。当時は特に携帯をもっていなくとも困ることはなかったけど、交渉が上手くいったのだろう。母親としては隣県に行くのが心配だったのかもしれない。ツーカーの携帯を持たせてもらうことができた。
公衆電話や家の固定電話からポケベルにメッセージを送ったことはあるけど、携帯からショートメールを送ったことはなかった。友人や知人とはじめてやり取りした時の、あの高揚感は忘れられない。
メールが使えるようになったことで、彼女や思いを寄せる人の家に電話をかけて「お父さんが出るかもしれない……」とビクつくことはなくなった。男子にとってこれはかなりのメリットだと思う。緊張しながら固定電話の受話器を握っていた頃が懐かしい。
単純で安上がりなボク
メールをするようになり、ボクはあるフレーズに弱いことが分かった。タイトルにあるように「ちょ」だ。文末に「返信してちょ」なんて打たれた日には、すぐさまその人を好きになってしまっていた。
単純というか、愚かというか。でも、博多弁が好きな人がいるように、個々に心に刺さるキラーワードがあるのように思う。好きな仕種、好きな服装、好きな髪型があるように。
ボクにとって「ちょ」は魔力を秘めたコトバなのだ。さすがに最近は妻から「買ってきてちょ」と言われてもときめかなくなったけど。でも、ちょっとは気持ちが高まるかな。
「ちょ」一言で気分が上がる自分を安上がりだと思いつつ、その単純さが愛おしくもある。さて、今日は妻から「ちょ」が送られてくるだろうか。LINEを見るのがたのしみだ。
おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!
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