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罪悪感とつながり 朝井リョウ 『正欲』 感想
マイノリティとかマジョリティとか多様性とか、一個人や集団を理解したつもりになるためのラベリングにすぎない。
この世はいつでもどこでも正しさの押し付け合いが甚だしいもの。だから本音と建前が存在するし、誰しもがそんな自分に少なからずうしろめたさを感じて日々生きている。
「こんなことを考える自分はおかしいんじゃないか」「自分は普通じゃない」それらは自分という存在への罪悪感へとつながっていく。
その罪悪感はきっと『かりそめの世界』で得た『かりそめのつながり』を絶たれることへの恐怖に根付いているのだ。
本当のことを言ったらゲームがブラックアウトしてしまうことに皆気付いている。知っている。
暗黙のルールを守ることはかりそめの世界を上手く泳いでゆくためのいわば絶対条件だ。
だから人間は罪悪感を共有する。
秘密裏に、水のように湧き出る感情を誰かとぶつけ合い認め合い、つながって、安堵する。
ほんとうの気持ちが罪悪感になってしまう悲しみも苦しみも溢れ溢れて流れてゆく。
この世に存在する感情に、間違っているなんてない。
どれも等しく正しい欲求、『正欲』なのだとこの本は教えてくれた。
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