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King Gnu - 「白日」

この曲は弁護士ドラマ「イノセンス」の主題歌で、大ヒットとなったKing Gnuの人気曲だ。この「白日」には「曇りのない太陽」という意味があり、弁護士ドラマの主題歌ということもあり「罪」というテーマが関わってきそうだ。

あとから気づく「罪」、前に進む「僕」

時には誰かを
知らず知らずのうちに
傷つけてしまったり
失ったりして初めて
犯した罪を知る

戻れないよ、昔のようには
煌めいて見えたとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降りしきろうとも

誰かを傷つけたり失ったりして初めて、自分の過失に気づく。無自覚の「罪」とでも言えるだろうか。その「罪」に主人公は悩まされている。たとえ未来が暗くとも、輝いていた過去を振り返らず、前へ進まなければならないという決意が読み取れる。

今の僕には
何ができるの?
何になれるの?
誰かのために生きるなら
正しいことばかり
言ってらんないよな

どこかの街で
また出逢えたら
僕の名前を
覚えていますか?
その頃にはきっと
春風が吹くだろう

では今の「僕」には何が出来るのか。誰かのために生きるのならば「正しいこと」ばかり言ってられない。「正しいこと」とは何か。これは恐らく「自分にとって正しいこと」だろう。自分のことだけ考えるのではなく、相手のことを考えることで「誰かのため」になると主人公は感じたのだ。

そして主人公は、恐らく過去に傷つけてしまったであろう相手に向けて、「僕の名前を覚えていますか?」と問いたい。また出逢うことが出来れば、雪が降ってた冬を抜けて「春」が訪れるだろう、と主人公は思うのだ。

主人公の「後悔」

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いているんだ

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ

たとえ生まれ変わろうとも償えないような「罪」が主人公にはある。「雪」の中を歩き「罪」を償っている主人公は、「今日だけは」忘れたい、そんな思いを抱くぐらい「後悔」しているということなのだろう。

もう戻れないよ、昔のようには
羨んでしまったとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降りしきろうとも

いつものように笑ってたんだ
分かり合えると思ってたんだ
曖昧なサインを見落として
途方の無い間違い探し

2番は1番と異なり「もう」という言葉が最初に入っている。また主人公は、相手のサインを見落として「いつものように」接してしまったことを嘆いている。このことからも、主人公の「後悔」の念はかなり強いのではないだろうか。

季節を超えて
また出逢えたら
君の名前を
呼んでもいいかな
その頃にはきっと
春風が吹くだろう

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
首の皮一枚繋がった
どうしようもない今を
生きていくんだ

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
今だけはこの心を凍らせてくれ
全てを忘れさせてくれよ

2Bメロの後半から2サビは1番とほぼ同じ構成になっている。しかし、細かな歌詞の違いはあれど、強い後悔の念を繰り返し訴えているのではないかと僕は感じた。

朝目覚めたら
どっかの誰かに
なってやしないかな
なれやしないよな
聞き流してくれ

忙しない日常の中で
歳だけを重ねた
その向こう側に
待ち受けるのは
天国か地獄か

Cメロに入っても主人公の「後悔」は続く。そしてこのまま歳をとって、その先には何が待っているのかという「不安」も垣間見える。

自暴自棄になる

いつだって人は鈍感だもの
わかりゃしないんだ肚の中
それでも愛し愛され
生きていくのが定めと知って

後悔ばかりの人生だ
取り返しのつかない過ちの
一つや二つくらい
誰にでもあるよな
そんなもんだろう
うんざりするよ

人の心なんてわからない、取り返しつかない間違いは誰にでもある、という言葉は恐らく、「罪」を犯してしまった自分に嫌気がさし、自暴自棄になって出てきた言葉ではないか。自暴自棄になった主人公は「うんざりするよ」と言葉を残し、ラストのサビへ移る。

真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いて行くんだ

真っ白に全てさよなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ

ラスサビは1番のサビとほぼ同じで、「後悔」を訴えているのだろう。一つだけ違う部分は「歩いて行くんだ」という部分。1番では「歩いているんだ」という単なる現在の状況描写だったが、「歩いて行くんだ」とすることで「これからも罪を償う」という決意の部分も表れているのではないか、と感じた。

まとめ

この曲は「罪」というテーマを元に、主人公の「後悔」が色濃く描かれている作品だと感じた。最初から最後まで主人公は「後悔」を感じており、それを償いたいが忘れたいという主人公の暗い心がとても伝わってきた。曲の雰囲気からも主人公の感情がとても伝わってくる作品だった。

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