マガジンのカバー画像

記憶の中の波間にゆれる

50
書いた詩を まとめています。
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

潮の香りを纏った夕方のうすい月を わたしは見ている

海なんて 全然近くないのに
どうしてだか
潮の香りがした

身体の芯の部分に
降りてきた
夕方のうすい三日月

潮の香りをまとったそれは
わたしを
幾分か 動揺させる

どこにも行ってないのに
ずっとここにいるはずなのに

わたしは
異国の空を見ている

身体の芯の部分に
降りてきた
夕方のうすい三日月を見ている
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

若人

過ぎた時間を
自分の記憶以外の方法で
形にして残せないのは
とても残念なことだ

わたしは
ぜんぶ残したい

本当は
一生懸命だったんだ
その刹那

納得していたかどうかはわからない

もどかしくて

時間がないんだと
思っていた

こんなにも時間を持て余してしまうことなど
ただの一度もあろうはずがないと信じた

記憶以外の何かがあればいいのに

自分の記憶が
歪曲されてしまわないように

時間を

もっとみる

真夜中に目が覚めると碌なことがない

しらんだ夜に

きっとこれは
人混みのために委ねられた
安心した光りと

異質で
どこか 同じ

いましがた
もう逢うことはない

あなたにだけ教えたい

さわがしい花火みたいな
真夏の満月
#詩 #詩を書く#詩集#ポエム

天神祭

暗いみなもに
おぼろい明かりが 

祭囃子のかけごえとは
うらはらに

なんだか ひどく 切なかったりする

見つめているのは わたしたちだけではない

今夜ここにいるわたしたちの
誰も見てないだろう
真夏の満月が
わたしの頭の上にいる

きっと見ている

こんな祭りの夜の様
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム