Out of 紅白, But I Love. '23 vol.10
いよいよ最終回です。
紅組⑲松田聖子/私の愛
いよいよ残り3曲ずつとなりました。
松田聖子さんで2021年リリースのデビュー40周年記念アルバム第2弾より、財津和夫作詞作曲の新曲「私の愛」。
まずはこのMVですよ。
お花でいっぱいかわいい!
トイプードルの群れかわいい!!
そんでもって聖子一番かわいい!!!
、、、けどなんでドラム叩いてんの??!!
作詞作曲の財津和夫リスペクト?
C-C-B??シシドカフカ???
ルーマニアモンテビデオ????
軽快にドラム叩きながらパブリックイメージの具現化みたいな空間の中でも何よりもかわいらしい聖子。
そう、いつまでもかわいらしい最新の松田聖子が見たいんです。
そして常に新しい作品を作り続けるすばらしいミュージシャンであり、パブリックイメージも逆手に取る敏腕プロデューサーであり続ける松田聖子の真髄を感じたいのです(言い過ぎ)。
往年のヒット曲もいいですよ。
瑠璃色の地球とかあなたに逢いたくてとかバラードもいいですよ。
けど最新曲もすばらしいですよ。っていう。
いつの日かまた本家紅白にも戻ってきてくださるのではと予感していますが、
ぜひその時にはリスペクトと賞賛を込めて選出していただきたいなと思います。
白組⑲布施明/MY WAY
個人的に本家紅白に復活してほしい歌手第1位、布施明先生です。
曲はMY WAY。
今年ミニアルバムに改めて収録されました、カバーではありますが彼の代表曲のひとつと言っていいのではないでしょうか。
この楽曲のエピソードのひとつに今年4月のうたコンでの歌唱がありまして。
その回はKing&Princeの5人体制が終了する約1ヶ月前にあたる日で、5人でのラストの番組出演でした。
彼ら自身も彼らの周りの人間たちもさまざまな感情で迎えたこの日、おそらく偶然に布施明さんとの共演がセットされ、そこで彼らの歌唱直前に披露されたMY WAYはまさにこれからのKing&Princeの2人、そして現Number-iの3人の決断を優しく、けれども力強く肯定するかのような、すばらしい歌唱でした。
アクシデントとも呼べるようなこの日のうたコンはその他の出演者も皆がキンプリの未来を歌っているかのようで、音楽番組の良さを図らずとも実感できる瞬間でした。
すばらしいアーティストとすばらしい楽曲。
さらにそこにすばらしい偶然が重なり、この上ない音楽体験を得られること。
"TVの力"を感じた瞬間でもありました。
世代を超えたアーティストが一堂に会するという TVでしかなし得ないであろう奇跡をこれからも見たいなと切に思います。
紅組⑳由紀さおり&ピンク・マルティーニ/季節の足音
紅組トリ前、由紀さおり&ピンク・マルティーニで季節の足音。
由紀さおりさんといえば、安田祥子さんとの姉妹共演による童謡も捨てがたいのですが(邦楽を歌い継ぐという意味でも本当に貴重だと思っています)、
今回は2011年リリース、当時世界的ヒットで話題になったアルバムより一年の締めくくりにピッタリなこの曲を選びました。
聞いている人たちが日本の四季の移ろいを歌った歌詞に一年のさまざまな思い出を乗せつつ、ピンク・マルティーニのカラッとした演奏で新たな年への気持ちの切り替えを自然に促される、そんな楽曲だなと思います。
紅白のみならず、どうしても海外アーティストと日本人アーティストの共演となるとどちらかに比重が寄ったり、特別感を過度に煽ったりする部分がありますが、こんな感じで自然な融合、演奏が成り立つのが音楽の持つ本来の力じゃないでしょうか。
どちらがどうとかではなく、お互いにリスペクトと誇りを持ってひとつの楽曲を奏でられる喜びと感謝はきっと聞いている僕らにも響いてくると思います。
白組⑳SnowMan/あいことば
本当ならここには出てくることがなかったSnowManが白組20番目、トリ前を飾ります。
本家紅白に今年も出てほしかった。
やっぱり本音はこれです。
思えばデビューまでも、そしてデビューしてからも、何度も何度も本人たちの努力とは別なところでたくさんの壁が彼らと、そしてファンの前に立ちはだかってきました。
その度に、みんなで打ち砕いたり、時に回り道したりしながら、とにかく前に進んできました。
正直、9人ではなくなってしまうことが一番不安でした。
だったらいっそ解散してほしいと思っていました。
もしかしたらこれから先、そんな未来も来るかもしれないけれど、2023年の彼らが9人でいることを選んでくれたことは本当によかったなと、単純に思います。
いつもならバキバキのダンスチューンを見せてほしいと、今年でいえばシングル2曲はもちろん、せっかく自分で選曲するならアルバムからslow...やPOWEEEEERとか、最新シングルからDA BOMBとかを選ぶところなんですが、
今回はアルバムのタイトル曲にもなった、JPOPド直球のミディアムバラード"あいことば"を迷わず選んでいました。
これは批判もあると思いますが、
どこかあの頃のSMAPの面影を重ねたのも正直な事実です。
当面は肩透かしなぐらいに変わらず仕事が入っていますが、来年春以降どうなるかわかりません。
今までとは確実に何かが変わるでしょう。
ただこれまで乗り越えてきた壁を思うと、彼らの変化に期待してもいいなと思っています。
むしろいままで物足りないなって思ってたようなところを埋めてくれるんじゃないか、なんて。
これまでの道のりへの感謝と訣別、そして新たな一歩を踏み出す決意、
そんな意思を込めた"あいことば"を、
やっぱり紅白で聴きたかったんだよーーー!!!!!泣
来年もまたライブ行けますように。
紅組㉑島津亜矢/時の救い 命の不思議
2023年のOut of 紅白、紅組のトリは島津亜矢さん。今年3月リリース、小椋佳さん作のオリジナル曲で「時の救い 命の不思議」。
中居くんの番組もあって若年層にも知れ渡ったその実力とキャリアを考えればそろそろトリに行っても違和感ないのかなと思いながら、選曲を考えていました。
最初はこちらも今年リリースのカバーアルバムSINGER8より、BeyoncéのLISTENの一択だったんですが、ふとオリジナル曲を聞いてみたところ、これがめちゃくちゃよくて。
コロナ禍が社会的にはようやく明けたと言っていい状況になっても、相変わらずの低賃金や政治の諸問題、国外では紛争、戦争が相次ぐ2023年。
この歌詞と歌謡曲ながらすごくリズムコンシャスな曲との調和が、洋楽カバーも歌いこなす彼女のスキルに合致していてすばらしい楽曲に仕上がっているなと思います。
余談ですが、
彼女は"歌怪獣"なんて呼称が付いてますけど、これあんまり好きじゃないというか違和感を覚えるんですよね。
自覚的にフェミニスト寄りだなとは思ってますけど、そんなに戦いたいわけでもないんですが、
唯一無二のすばらしいアーティストに対する呼び方ではないなと思うし、そういう"キャラ付け"しないといけないような時代ってちょっと古いなって思います。
オリジナル曲でもこれだけ真価を発揮できている今の"島津亜矢"は、たくさんの人に聞かれるべきアーティスト、歌手だなと思っています。
白組㉑松崎しげる/ドリーム
2023年のOut of 紅白、最後は松崎しげるさん。
2005年リリースのソロデビュー35周年記念アルバムよりフランク・シナトラのカバー、「ドリーム」で今夜の宴を締めくくります。
松崎しげるさんというと愛のメモリーだったり、個人的にはPIZZICATO FIVEの東京の合唱だったり、力強くソウルフルな歌唱と御本人のポップでおおらかな人柄が頭に浮かぶのですが、
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団との共に演奏されるこの「ドリーム」は、強さはありながらも丁寧で実に紳士的で、クロージングソングとしてピッタリだなと思いました。
大晦日の夜くらいは悲しいことや辛いことを忘れて、穏やかに、素敵な夢が見れますように。
そんな気持ちに僕たちを誘ってくれるような、派手さはないけどおしゃれで優しいエンディングにて、2023年が幕を閉じます。
ということで、10回にわたってつらつらと書いてきました私的紅白解説。
なんとか年内に終えることができました。
来年も素晴らしい音楽に出会えますように。
おつかれさまでした。わたし。
次回からはまた違うテーマでお目にかかります。
Out of紅白は来年もまた気が向いたらやるかもです。
前回はこちら。(Cocco/Mr.Children/宇多田ヒカル/七尾旅人)
それでは皆様良いお年をお過ごしください。
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