見出し画像

幸福と子どもの幸福と、写楽

最近、自分もやりたいことをしようと、思い立ち、趣味を思い出して、引っ張り出した。
それは、消しゴムはんこ。

消しゴムはんこで「東洲斎写楽」の「三世大谷鬼次の奴江戸兵衛」を切り取って、ハガキ二分の一サイズで掘ってみた。

浮世絵には「版」があるので、色ごとに、今回は三色分、写し出す。
端にカギ見当、引き付け見当をつける。するときにこれがかなり重要になってくる。

朱、黒、灰色の板(消しゴム)完成。

よくみると、髪の毛とかホントに細い線。眉のキリリが惚れ惚れする。慎重にアウトラインをとり、黙々と掘っていく。
朱色の版は小さな刷り面積だけど、沢山彫るところがある。

押してみては、おかしなところを堀なおしていく地味な作業。改めて、江戸時代木版で彫った掘り師の超絶技巧、すごい。


娘が寝た後しかできないので、数日かかって完成!
ようやく納得。しかし、髪の毛をもう少し、揃えたかった。。。彫りすぎてしまった。彫りすぎてしまうと基本的にはどうにもならない。。(ねり消ゴムを埋めるという技もあるらしいが)

(あ、刷るときに見当の使い方を間違えた💦)

娘が早く寝た夜、一人で黙々と彫っていたら、いろいろなところに思考がおよんでいて、気づけば涙がぽろほろこぼれていた。
好きなことをしているはずなのに、なんだか自分だけ取り残されているような、焦りを感じていた。二人目のことや、これからのこと、仕事、色々考えると、どうにも動けない自分もなんだか悲しくて。

いかん。

これは。

と思って、Spotifyで、学生時代の曲を流したら、あっという間に思考が、恋だの青春だのを思い出して、そんなことに一生懸命だった自分がいとおしくなって、急浮上した。

音楽の力ってすごい。

黙々とした作業は、思考を掘り下げるのにとてもいいけど、音楽は、気持ちの方を助けてくれる。

こないだ井桁容子先生と前野隆司先生シンポジウムに行ってきた。その時、幸福因子は、やってみようとすること、ありのままを認められること、ありがとうと感謝すること、なんとかなると楽観的、希望的であることがあると、前野先生が言っていた。
子どもは自ずと持っている、それを潰すかどうかは、大人の関わりにかかっていると、井桁先生はいう。

行きたいときに娘をパパに預けシンポジウムに行けたり、音楽ひとつで気分が上がる、自分は幸せ者なんだなー。
改めて思うと同時に、娘がやりたいときにやりたいと思った気持ちを大切にしてあげたいなぁと、思った。

慶應義塾の大学院教授である前野先生は言う。高学歴だから就職できる時代は終わった。何をやったか、どんなことをしたいかが問われている。
勉強は、したいときにすればいいんじゃないですか。

娘に、どんな大人の背中を見せられるか。

とりあえず、もっと消しゴムはんこ浮世絵を彫りたいな、と思う。
そして、自分のこどもみたいなゆめも、ちゃんと大事にしよう。ことばにしよう。


これからまだまだ人生は長くて………短い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?