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ウディ・アレンのラブ・コメディ?

映画「サン・セバスチャンへ、ようこそ」を観に行った。
北スペインとフランスにまたがるバスク地方にあるサン・セバスチャン。美しいビスケー湾のリゾート地の景観が作品をキラキラと輝かせていて、訪れたくなる素敵な街だった。この地で開催される映画祭は、ヴェネチア、カンヌ、ベルリンと並ぶ国際四大映画祭の一つとして1953年に誕生したという。

冴えない熟年男性モートは、妻のスーが仕事のために訪れたサン・セバスチャン映画祭に同行する。モートは映画が好きなのだが、実は妻の浮気を疑って付いてきたのだ。仕事(?)で忙しい妻とすれ違うモートは徐々に体調不良を起こし、奇妙な夢を見るようになる。そして若く、魅力的な女医と出会って…。

私はウディ・アレンには詳しくないし、作品も見たことがないので知らなかったが、モートを演じたウォーレス・ショーンはアレン作品に何度も出演しているそうだ。作中で欧州の名画がモノクロで登場する。私は「勝手にしやがれ」しかわからなかった。アレンと映画が好きな人ならもっと理解が深まり、作品を楽しめたのかもしれないなと思った。
でも私にとっては、美しい作品でウディ・アレンデビューとなった。



そして、映画を観たら、本を読んで知識を深めよう!
ということで、ウディ・アレンに関するものを読もうと探してみた。
張り切って「ウディ・アレン自伝 唐突ながら」を手に取ってみたものの、あまりの分厚さと、彼の長い人生のホンの序盤につまづいて、あっさりと断念。頑張ってnoteの記事にするぞと選び直した本がこちら。


「ウディ・アレンの浮気を終わらせる3つの方法」


2005年発行の「Three One-act Plays(3つの一幕劇)」というタイトルの戯曲集を訳した作品だ。登場人物はもちろんニューヨーカー。突然に浮気の事実が明らかになり、混乱が生じパニックを引き起こす。その様子がきっとアレンらしく、ユーモアをもって描かれている。実際に芝居として上演されて好評を博していたようだ。

「リヴァーサイド・ドライブ」
作家のジムはハドソン川沿いの人目の付かない場所で、浮気相手のバーバラを待っている。そこへフレッドという男が近づいてくる。意味不明な話題で話しかけられ、適当にあしらっていたジム。しかしフレッドの「あんたが俺のアイデアを奪った。あんたの映画の著作権使用料の一部をよこせ。」という一言で会話を続けざるを得なくなるのだが…。

「オールド・セイブルック」
カントリーハウスに暮らすノーマンとシーラ夫妻。シーラの妹のジェニーと、その夫ディヴィッドと4人でバーベキュー・パーティが開かれている。そこへ以前、ここに住んでいたというハルとサンディ夫妻がやって来た。彼らはこの家をマックス・クローリアンという有名な作家に売却したという。
マックスはどこへ行ったのか、彼らとの関係は…。

「セントラル・パーク・ウェスト」
セントラル・パーク西側にあるアパートメント。住居でもあるこの場所でフィリスは精神科医として患者を診察している。ある日、急用と言って友人のキャロルを呼びつける。フィリスは夫のサムが出て行ってしまったのは、キャロルとの浮気が原因だと考えているのだが…。

この後3作品とも想像通り、修羅場が繰り広げられる。それに円満には終わらせない。「リヴァーサイド・ドライブ」は怖かったし、「オールド・セイブルック」は(え?だからどうなるの!)と思ったし、「セントラル・パーク・ウェスト」はどんでん返しもあって、スッキリしてしまった。
きっとこれがウディ・アレンのコメディなのでしょう。戯曲集ということでセリフが続いていくため、あっという間に読み終えてしまった。

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