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恩田陸の世界に魅せられて

最近はエンターテイメントの小説が出ているが、私はやはり恩田陸さんのミステリーが好きだ。
「鈍色幻視行」と「夜果つるところ」を読んだ。この2冊には関連性があってとても面白い。
せっかく読み終えても時間と共に記憶が薄れていくので、簡単にでも記録するようにしている。
しかしこの2冊については、なかなか書けないでいた。何故か?



「鈍色幻視行」
「夜果つるところ」という小説についての取材を望む作家の梢。
再婚同士である夫の雅春と共に関係者が一堂に会するクルーズ船での旅行に参加するのだった。

映画の撮影のたびに死者が出て未だに映画化されず、呪われた作品と呼ばれる「夜果つるところ」。
作者である「飯合梓(めしあい あずさ)」についても誰も彼女のその後を知らず、幻の作家なのだ。

優雅なクルーズ旅行の中で「夜果つるところ」への激しい思いを語る参加者たち。
漫画家の姉妹、映画監督夫妻、元編集者夫妻、プロデューサー夫妻、映画評論家とパートナー、そして雅春と梢の夫婦。

梢は皆の話を聞くにつれ奇妙な感覚にとらわれてゆく。
作家「飯合梓」の気配も感じるようになるのだ。
私も船内のどこかにいるような気がして、ドキドキしながら読んでいた。
梢は船上で再び「夜果つるところ」を読み始める。そして新たな考えが浮かぶのだった。



「夜果つるところ」
はじめに2冊をテーブルの上に並べ、どちらを先に読むのかを考えた。
「鈍色幻視行」は「夜果つるところ」に魅了されている人々の話だから「夜果つるところ」から読む?謎めいたまま楽しみたいから後にする?
結局、「夜果つるところ」は後にした。
「鈍色幻視行」の作中でも「夜果つるところ」の冒頭部分が書かれていて、会話の中でも話題にしていた。

「母恋し、父不在」の小説
「叶わぬ愛」を描いた小説

「鈍色幻視行」に比べればページ数は少ないのだが圧倒的な存在感だ。
読了後の頭や心の中に、大きくて重たい何かを残していった。これは魅了されたというのだろうか。

昭和の初めの頃、山間に建つ「墜月荘(ついげつそう)」という名の遊郭の中で繰り広げられる報われない愛の物語だ。





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