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2022サンガに足りなかったもの(シーズン振り返りnote②)

はじめに

シーズン振り返りnote第2弾。

第1弾では、サンガがシーズンを通じて
・走力、特にスプリントに支えられたこと
・攻撃面では「ハイプレス×ショートカウンター」を武器に戦ったこと
・一方でそれ以外に武器がなく、攻撃面に課題山積みであること
を書きました。

特に大きな問題として「ハイプレスの時間制限」がありました。
体力の問題から、1試合を通じてハイプレスを続けることはできません。時間の経過と共に回数と精度が失われていきます。ラスト15分は特に難しい状況になってしまいます。

早々に点を奪って空回り覚悟のハイプレスで追いまわし、最後は自陣を固めてクロージング。唯一の勝ちパターンだけでシーズンを戦い、今後も安定してJ1残留を果たせないことは明らかです。

サンガの特徴である「スプリントが多い」チームと比較すると、サンガに足りない要素や課題が見えてきます。
来季に向けてどのような武器が考えられるのか見ていきましょう。

スプリント勝負するチームの武器

時間帯別の得点

スプリント数でリーグ上位に立ち、走力で優位を作るチームと比較します。マリノス・鳥栖・ベルマーレの3チームです。

走力勝負チームの山場の作り方は明確。
基本は後半勝負で、第1に45-60分に仕掛ける。61-75分が耐える時間となり、最終的に30-45分に勝負をかける構図が見えます。

一方でサンガの山場は、前後半開始の15分の2つ。比較対象チームが勝負をかけるラスト15分では、勝負をかけるどころかジリ貧で耐える時間になっています。

もちろん取捨選択の話であるため、良いか悪いかの評価ではありません。
とはいえマリノスや鳥栖は中~上位チームです。相手の体力が落ちる後半に勝負をかける合理性は一定ありそうですね。

適切なスタッツ比較対象

さて、走力を武器とする他チームは、走力+αとして何を武器にしているのでしょうか。

3チームと比較してみていきたいところですが、マリノスはアタッキングに関するほぼ全数値でリーグ1~3位を叩き出していて「上手くて走れる選手がコレクティブにサッカーしている」としか表現しようがありませんでした。湘南はサンガと同じく得点力に苦しんだため目標とはしづらい可能性があります。

そうなるとやはり、サガン鳥栖との比較が最も適切と考えられます。見ていきましょう。

京都サンガーサガン鳥栖の違い

スタッツ比較

京都ー鳥栖

基本的なスタッツでサンガと鳥栖を比較してみました。
順位に顕著な差が付いているところを黄緑色にしています。

上から順に。まず「ゴール」に差が出ていますが、最終的な数値のため深くは言及しません。

次に「パス」の数値で鳥栖と大きく差が付いています。鳥栖は技術を運動量でカバーしているイメージがあったので驚きでした。朴一圭がGKとして異常に多いとは思いましたが、まさかチーム全体とは。

また、守備のスタッツでは京都が上回っています。こちらも予想以上に鳥栖が低い。クリアの数値が低いことからも、サンガが自分たちでゲームを作れていないこと、鳥栖が後ろから組み立てていくスタイルであることが伺えます。

そして、最も差が出ているのが「プレーエリア」の全項目です。
鳥栖はオフサイドが多い難点はあるものの、徹底して相手陣内でプレーする意思が見えます。ペナルティまでは侵入できないにせよ。

対してサンガは、相手のPAはもちろん、敵陣に侵入すらできていません。とにかくプレーエリアが低いのです
自陣で追いかけるために走るサンガ、敵陣に押し込むために走る鳥栖。おなじ走力勝負のチームでもここまで差が出るのが面白い所です。

サガン鳥栖の武器

京都ー鳥栖②

武器らしい武器がないサンガに対して、鳥栖の数値が目を引きます。
鳥栖は総得点のうち35.6%をクロスから叩き出しているように、サイドアタックを強みとしています。また、前述のとおり陣地を問わないポゼッション力と、固く守って自陣からのロングカウンターもあります。

鳥栖は崩しに限らず、武器が多彩ですね。残留争いとは縁遠いシーズンとして、中位に進出したければこれぐらいの武器が必要だとの示唆が得られます。

サンガの武器となり得るもの

もう一つの武器は何か

サンガであれば「走力」をベースに「ハイプレス×ショートカウンター」を軸とするのは、もう大前提です。
時間とともにハイプレスが失われるからといって、ハイプレス×ショートカウンターを捨てるのはチームスタイルの放棄となってしまいます。軸としつつ別の武器を作ることで、鳥栖のように選択肢を作るか依存度を下げる必要があります。

その「武器」は何でもよいですが、ベースである「走力」を活かすものが望ましいのでしょう。

例えば、鳥栖はもちろん、マリノスも「サイドアタック」で強烈な数字が出ています。走力とサイドアタックの親和性は高そうですね。
他には「ポゼッション」です。自分たちでゲームを主導する時間を作ることで、無駄な走りを抑えて体力を温存し、チャンスタイムである後半ラスト15分に勝負を仕掛けることができるようになるかもしれません。少なくとも、15分耐えるだけの2022サンガとは違うものが見えそうです

まとめと次回予告

今回のnoteでは

・走力を強みとするチームは試合後半にピークを持ってきており、残り15分耐えるだけのサンガとは対照的である
・走力を重視するベンチマーク対象の鳥栖は、思った以上に多彩な武器を持っていた
・「走力」をベースに中位を目指して戦うのであれば、サンガも「ハイプレス×ショートカウンター」以外にも武器が必要と考えられるが、それは何か

との話でした。
ここで、シーズンの振り返りはひと段落です。自分たちに足りないものが定性的にも定量的にも見えたところで、来期以降の話に移りましょう。

次回「京都サンガFC 2023シーズンの補強戦略を読み解く(仮)」です。
2023年、チームは何を目指すのでしょうか。逆に言うと何を目指さないのでしょうか。2024年以降をどう考えているのでしょうか。
補強動向を基に考察していきます。

以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました!

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