廊下は走るな

 廊下を走るぜ、タタッタター、タタッタタッター、タタタッター、ダッシュダーッシュ、ダダダッシューー!!

「こら、廊下を走るんじゃなーーーーい!!」

 担任の校長先生が血走った目で叫んだ。そういえば廊下を走るのはいけないことだった。私は思い出す。走るのをやめた。

 しかし、廊下とはどこだろうか。どこだ「ろうか」の「ろうか」は廊下だろうか。ホームルームで先生に聞いてみよう。

 キーンコーンカーンコーン

 ホームルームが始まる。

 担任の校長先生が教壇に立っている。日直のともたろうくんと、たろこさんが進行役だ。

「いち、あいさつ。起立。」

 ドタドタドター

「おはようございます。」

「おはようございます。」

「はい、おはよう。」

「着席。」

 ドタドタドター

「に、先生のお話。」

「はい。」

 前方右に立っていた先生が短く返事をし、教壇へ向かって歩いて行く。

「先生は昨日、ペットの亀に1080匹目のミミズをあげました。終わります。」

「先生、ありがとうございました。さん、みなさんから。」

 みなさんから。ここは何か連絡があるときや質問したい時など、生徒が発表する時間。私はすかさず手を挙げた。

「はい、今手を挙げた人君。」

 ともたろうくんが私を当てた。

「はい、先生。あの、先生先ほど廊下を走るなとおっしゃいましたが、廊下とはどこだろうか、どこだろうかのろうかは、廊下だろうか?」

「ふむ。では、廊下とはどこだろうか、どこだろうかのろうかは、廊下だろうか、の、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか?」

 質問を質問で返してきたぞ。質問を質問で返されたら、それもまた質問で返さなければいけない。それはもう、物が地球の中心に引っ張られるのと同じくらい、決まりきったことなのだ。

「では、廊下とはどこだろうか、どこだろうかのろうかは、廊下だろうか、の、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか?」

「ではでは、では、廊下とはどこだろうか、どこだろうかのろうかは、廊下だろうか、の、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか?」

 そんなことをしている間に1時間目が終わり2時間目が終わり3時間目が終わり4時間目が終わり5時間目が終わった。

「先生さよ〜なら〜」

 生徒たちは帰っていく。

 それを尻目に、問い続ける。

「ではではでででででは、廊下とはどこだろうか、どこだろうかのろうかは、廊下だろうか、の、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか・・・・・・・・・・・のろうかは、廊下だろうか?」

 キーンコーンカーンコーン

 学校が閉まる時間になった。私たちは荷物を持ち教室を出て廊下を歩く。勿論問い続けながら。

「ではではでででででは、廊下とはどこだろうか、どこだろうかのろうかは、廊下だろうか、の、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、廊下だろうか、のろうかは、・・・・・・・・・・・・のろうかは、廊下だろうか?」

「君の信じるものが、廊下だよ。」

 廊下が言いました。

 パァ〜〜〜〜

 私たちは廊下の呪いから解き放たれ、天国に登って行ったのでした。

 完

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883455812


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