見出し画像

『三体』劉慈欣 | 手が止まらない系面白SF

とにかく面白いSF、という噂は聞いていてずっと読みたかった本だった。ラジオのアフター6ジャンクションでも何回か紹介されてた気がする。

しかし本当に面白いらしく、中古の値段も全然下がらないんで図書館で借りることに。ベストセラーって安くなるイメージだったけど、この本は全然下がらなかったんでびっくりした。

ストーリーは・・・がっつりネタバレするけど、最初は文化大革命の話で、中国の近代史か〜と思いながら読み進める。
と思ったらVRゲームの『三体』が登場し、プレイしている科学者に不可解な現象が起き始める。その現象は宇宙人の仕業で400年後くらいに地球に攻めてくるし、科学力も圧倒的に上で、全ての情報は筒抜けだよ、ということがわかり第一部完・・・絶望。
ただし、科学者が多くででくるこの小説で、科学はわからないけど頭は切れる警察官が、最後にイナゴの大群を科学者に見せる。イナゴの知能なんて人間の何分の1だ?それなのにイナゴに人間は苦しめられている、あきらめるな。というようなことをいい、僅かな希望は示されている。

たしかに面白い。ページをめくる手が止まらない系の小説だ。いいSFって手が止まらなくなる。最後にこれだけハマって読んだSFは「ジェノサイド」以来か・・・

あれも宇宙人ものだったような気が・・・

どこが面白いか振り返ると、科学者たちの生き様描写の秀逸さが良かった。個性豊かな科学者、物理学者、天文学者なんかがたくさん出てくるけど、それぞれのプロ感や天才感はちゃんと描かれた上でキャラ立ちしてた。キャラ小説としても魅力的。

他には『三体』というVRゲームで描かれる世界の魅力。太陽が3つあり、その配置によっては文明が滅ぶ世界。生きていけない環境になると、三体世界の住民はカラカラに乾燥してその環境をしのぎ、水につけると復活する。そんな世界の法則を発見するゲームがVRゲームの『三体』だけど、実は地球に侵略してくる星の環境を再現したものがこのゲームだったことがわかると、ガンガン物語が面白くなった。

海外文学って得意な方ではなくて、SFなんて特に読まず嫌い、というか読むのにけっこう躊躇していたけど、やっぱり最近のエンタメの面白さをなめてたように思う。海外ホラーはアジア製を好んで観ているので、アジア勢のエンタメクオリティがめちゃくちゃ上がってるのを実感してる。今年観た『呪詛』も『女神の継承』も『哭悲』も全部面白かったし…

なんかSF読みたいな〜って人にはオススメだけど、人の名前とか、専門用語の感じとかは少し本を読み慣れてる人向けだし、この後2部、3部となかなかボリュームあるんで覚悟は多少必要かも…

1部を読み終わって、謎は解けた、というかシンプルに地球側が何をしてるか丸分かりの上で、文明が高度に発達してる側の宇宙人が攻めてくるって、ベルセルクのガッツとグリフィスくらい、能力に差があるように思うけど、どうそれをひっくり返してくるかが気になるところ。

でも攻めてくるの400年後くらいでしょ?そんな危機感を持った話になるのかってのが不安要素だけど、でもたぶん2部も面白いんだろうな…

この記事が参加している募集

#読書感想文

186,993件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?