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雲南日本商工会通信2019年12月号「編集後記」

 約3年前に「昆明のサービスはなぜ向上しないのか」と題した原稿を会報に書いたことがあります(2017年1月号)。上海など沿海大都市ではサービスの向上が著しいのに、昆明ではそうなっていない背景について書き綴った冗漫な文章です。ここでいうサービスとは、店舗や商業施設での接客・運営を指します。
 3年が経過しようとする今、昆明は当時と比べてどう変わったのかを確認したいと思いました。
 当時、以下のように記しました。「昆明のサービスが良くなるのは、まだ先のことだと思われる。おそらく沿岸一級都市の勝者たちが昆明に大挙して進出するまで待たなければならない。それは沿海都市の不景気がより一層深刻になり、本格的に利益を内陸都市に求めようと彼らが考えたときに訪れる」。なぜなら、レベルの高い他省の店が増えることで、昆明のサービスレベルが底上げされるからです。
 この頃の私は、上海に追いつくには10年ぐらいかかると踏んでいました。しかし今の昆明のサービスレベルを見ると、5年前の上海ぐらいのレベルに近づいているように感じます。つまり「5年遅れ」ですね。
 予想より早くサービスレベルが向上した背景には、当時から顕在化していた「スマホのシェアを通じた情報格差の縮小」が加速しているのに加え、予想以上に深刻化する経済低迷が挙げられます。
 沿海大都市の企業にとって、「家賃や人件費が高騰を続ける割には儲けの薄い大都市で展開するよりも、コストが安くいまだに高い経済成長を続ける地方都市で展開したほうがよい」と考えるのは必然です。かつてはスターバックスやユニクロなどでしたが、今では様々な地方の人気店が怒涛の如く昆明に押し寄せるようになりました。
 彼らに触発され、地元の企業もレベルを上げざるを得なくなります。それができない企業は淘汰されることでしょう。昆明のサービスレベルが上海なみになるのは、案外遠い日の話ではないと思うようになりました。

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