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自宅を購入した時の話 その4

手に入ると思っていたものが、スルリと逃げていく。
しかも、2度も。

この時はがっかりというよりも、不安な気持ちでいっぱいでした。

「結局、家は買えるの?」
「買えなかったとして、手付金の100万円は戻ってくるの?」
「ひょっとして、何かの詐欺にひっかかった?」
ぐるぐると頭の中をネガティブな思いが巡ります。

「とりあえず、詳細分かりましたら、ご報告いたします。」
との不動産屋さんからの連絡も上の空でした。

思えば、かなりいい物件なのに、比較的安価な金額だった。
「安いものには、それなりの事情がある。」
市場の原理を、まざまざと体験させられたのでした。

不動産屋さんからの連絡が入るまでの期間(多分1週間程度だったと思うのですが・・)、生きた心地がしませんでした。

妻は何も言わなかったですが明らかに不安顔・・
父にも事情を説明して、もう少し今の家に住まわせて欲しいとお願いをしました。

もし父親の物件に住んでおらず、賃貸物件に住んでいたら、ホームレスになってしまったかもしれません。
深く事情を問い詰めることもなく、居住の延長に応じてくれた父親には、本当に感謝しかありません。

そうこうしているうちに、ようやく不動産屋さんからの連絡が入りました。

・一度契約を白紙の状態に戻すこと
・手付金はそのまま返金すること、
・改めて、契約を結び直すことなどなど。

メンタル的にかなり参っていた私は、不動産屋の言い分をそのまま飲む形で、ことを進めていくことにしました。

今から思うと、疑問点やツッコミどころ満載なように思います。
・売主は誰になるの?
・自己破産ということは、競売物件ということになるのでは?
・そもそも売主の一方的な解約の場合、手付け金は倍付けで返金すべきなのでは・・?

しかし、当時の無知な私にはなす術がなかった。
ただただ、不動産屋さんの言われるがままに、するしかなかったのです。

結局、物件は当初の契約通りの金額(若干不動産屋さんの手数料を減額してくれましたが・・)で3ヶ月遅れで契約完了。

結局最後まで売主とは顔を合わせることもなく、最終的には先方の弁護士と契約を交わすということになったのでした。
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無知であるということは、時に非常に残酷です。

あの時、もう少し知恵があれば、こちらも弁護士に相談するということができたかもしれません。
そうすれば、数百万、物件を安く買えたかもしれません。
また、契約までの3ヶ月、悩み苦しむことも軽減されたかもしれません。

しかし、30代前半で初めて家を購入する私には、何も動くことができなかった。

40歳をすぎて、このときの経験は非常によかったかなと、
今振り返って思えます。

この出来事は、私に多くのことを教えてくれました。
・無知であることは、搾取をされること
・安いものには、理由があること
・自己破産は、家を含めて多くのものを失うということ
・優雅な暮らしをしているように見えても、実際にはわからない。
 外見で判断してはいけない、見栄を張ってはいけないということ・・

初めての物件購入が成功だったのか、失敗だったのか。

10年経った現在、
家族が笑顔で毎日を過ごすことができているこの家の購入は、成功だった!
と、ようやく確信できるようになりました。






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