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物に溢れた世界に物を生み出すこと

昨年ジュエリーブランドを作ろうと決意しこの度無事にリリースすることができました。

ずっと何かを作りたくて、色々な挑戦をここ数年続けてきましたが、やっと自分で納得できるブランドにすることができました。

課題が転がる社会で

ブランド立ち上げに至った経緯を簡単に。
私はイタリアの大学でプロダクトデザインを学びました。教授のいちばんの教えは「私たちは問題を解決するためにデザインをする」ということ。イタリアでは外国人として生活する中で環境、貧困、難民、人種差別、動物福祉などなど日本では感じられなかった社会課題をたくさん体感していました。

解決すべき課題が社会にはこんなにもたくさん転がっているのに、課題解決はデザイナーの役目なのに、どう解決するのか分からない。
分からないまま、やるせない思いでデザイナーとしてのキャリアを積んできました。イタリアのデザイン事務所では高級な家具をデザイン、帰国後はおしゃれなレストランのギャラリーやメニューなどのデザインを担当。
大好きなデザインをする喜びの裏で、社会課題を無視していることへの罪悪感もずっと抱えてきました。
クライアントの課題を解決しているかもしれないけど、私が本当に解決したいと思う社会課題は何も変わっていないし、むしろ社会の課題を作ることに加担してしまっているかもしれない。

解決する方法は見つかっていなかったけど、「このままでは私が目指す社会には近づかない、なんとかデザインで社会を前進させたい」という強い想いだけで独立を決めました。その経緯や想いの発信をしていると運よく熱い想いを持ったクライアントさんたちに恵まれ、環境問題、動物福祉、コスメロス、土壌汚染、さまざまな取り組みをする会社のデザインに携わってきました。

間接的に社会を少しずつ良くできているけれど、私も直接何かアプローチしたいという想いがあったので、デザイナーをする傍ら色々な取り組みをしていました。廃棄削減を目指す古着屋をオープンしてみたり、アップサイクルに取り組んだり、環境問題の勉強をしたり、いろんな挑戦と失敗を繰り返してきました。

物に溢れた世界に物を生み出すこと

もっとインパクトを大きくしなければという想いと、やっぱり私には物作りしかないという想いで、2023年ジュエリーのブランドを作ることを決意。
もともと大きな情熱のあったプロダクトデザインとファッションの分野で、そして社会課題の中でも最も私が気にしている「廃棄」の問題に取り組もうと決めました。

何年も前に、あるプロダクトデザインのコンペの最終選考会で審査員の方に言われた「物に溢れたこの世界に、本当に生み出す必要のある物なのか、考えてください」という一言を何度も思い出しました。当時、ただ物作りが好きだという気持ちだけで作っていた私には、重く響いた評価でした。

物を作り出すということは、必ず環境にも人にも負荷がかかります。それでも何かを作るなら、その負荷を相殺するだけの価値と社会を動かす力が絶対に必要です。
その覚悟をもってRINMOというブランドの立ち上げを決めました。デザインの設計から生産、発送まで、1つ1つ丁寧に意思決定しながらブランドを作っています。

素材をリンネの輪に戻す

そんな私のこだわりが詰まったブランドがこちらです。


RINMO(リンモ)は廃材で「一生モノで一点モノ」の宝を生み出す、日本発のジュエリーブランド。
素材を”リン”ネの輪に”も”どす という意味を込めて名づけました。

環境への取り組みはもちろん、人も犠牲にしない、誠実なものづくりを大切にしています。

素材には純度99.9%のリサイクルシルバーと、工房や工場で不要とみなされてしまう端材を使用。

また、サステナビリティの本質は「モノを長く使うこと」という考えのもと、設計段階からアクセサリーの壊れやすい部分を限りなく排し、耐久性を担保。デザインの面でも次の世代に受け渡すことのできるタイムレスなものを心がけて制作しています。

そしてRINMOのアイテムは、素材の由来、生産過程、販売、あらゆるステップに透明性を約束します。銀がとれる鉱山採掘現場の労働環境は、非常に劣悪と言われ児童労働も問題になっています。一方、私たちが使用するリサイクルシルバーは、そこに依存しない素材になっています。

(まだまだ説明したいことはあるのですが、また次回)

リリースまでの間ヒアリングにご協力いただいた皆さんや、サポートしてくださったメンターの方々、撮影クルーのみなさん、無理な要望に応えてくださる職人さん、関わってくださる皆様にビッグラブと大きな感謝。
それから発売後のポップアップに駆けつけてくださった皆様、本当にありがとうございます。

RINMOが目指す社会の実現に向けて、まだスタートラインに立ったばかりなので、今後も見守っていただけたら嬉しいです。
どんな世界を目指しているのか、どんなコンセプトでアイテムを作ったかなどこれから徐々に書いていこうと思います。
またね。


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