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「配属ガチャ」で決まる中小企業のトップ

中小企業庁が定める中小企業の定義は、業種によって異なります。
資本金の額と従業員数が一定の水準よりも下回るならば中小企業になります。
従業員数は製造業その他で300人以下、小売業で50人以下になります。実際の中小企業は20~80人くらいの規模の会社が多いのでしょうか。

中小企業はそもそも在籍する従業員数が少ないので、社員同士のライバル関係を構築しにくいです。社員数が少ないということは、同期の人数が少ない、同じ世代の人が少ない、同じ部署の人が少ないということです。
それなので、似たような立場で切磋琢磨する環境が限られています。
たまたまその会社に入社した時にどの部署に配属されるか、その部署がどのような人間関係か、その部署が花形かそれとも停滞しているかによって、その人の出世が決まってしまいます。

「親ガチャ」という言葉が使われるようになってきました。
どの親から生まれるかによって、子どもの一生はある程度決まってしまうということです。

それと同じように中小企業においては「配属ガチャ」という言葉が存在するのかもしれません。
大企業の場合は、同期入社がたくさんいます。部署もたくさんあります。異動もあります。長い社会人生活において、たくさんのライバルとしのぎを削って出世していきます。
自分だけの力ではなく、先輩や後輩の力も必要になってきます。もちろん大企業においても「配属ガチャ」はありますが、それだけでその会社での将来が決まるわけではありません。

一方の中小企業。同期は少ない、部署も少ない、異動もほとんどない。となると、最初に配属された部署によってその会社での運命が決まってしまいます。どれだけがんばって抵抗しても無理です。本当にイヤならば会社を辞めるしかありません。

そして「配属ガチャ」が問題なのは、個人にとってだけではありません。
組織にとっても大きな不幸を生み出します。
実力がない、マネジメント能力もない、人望もない。
そんな人でも「配属ガチャ」によって、部署のリーダーだけでなくひょっとしたら社長になることもありえます。

上に立つ器の無い人がトップになるほど組織にとって不幸なことはありません。

大企業ならば出世においても競争の原理が働くので、上に立つ人はある程度淘汰されます。
しかし中小企業はたまたまその時にそのポジションにいた人が上に立ちます。そこには競争は存在しません。そこにいるかいないかという運のみです。

自分が小学生、中学生のころ。
学期の初めにクラスの学級委員長を決める選挙がありました。
自分で立候補する人もいたり、誰かから推薦される人もいたり。
いつも2~3人の立候補者に対してクラス全員で投票していました。

しかし中小企業においてはそのようなことはありません。
現社長が自分のさじ加減で決めるだけです。しかも候補者は絞り込まれています。
中小企業よりも小中学校の学級委員長の方が健全にトップを決めています。
これが中小企業の弱みのひとつです。

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