見出し画像

年金改正案~高齢就労者の在職老齢年金制度~

年金制度は、5年に一度、今のままの保険料の徴収と年金額の給付で、将来も運営できるかを確認する作業を行います。

現在、その確認のための会議が厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会において開催されています。

今回の年金制度改正案

今回の年金制度改正は、
国民年金の保険料の徴収を60歳までから65歳までに延長するとか、
遺族年金の男女差を是正するとか、
高齢者が働いて給料を得た場合に、厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」を、見直すもしくは廃止するということが議論されています。

保険料徴収を65歳まで引き上げる

日本人の平均寿命が延びているので、年金保険料の徴収を65歳まで引き上げるということは、致し方ないのかもしれません。
もちろん、保険制度の根本的な考え方として、契約時の内容を変更するということはあってはなりません。
しかし、この考え方は国民年金については当てはまらないのでしょう。国がやっていることなので、泣き寝入りするしかないのでしょう。
これを民間保険会社が手を付けたら大変なことです。保険契約時から改悪になる制度変更を勝手にやるなんてことが起きた場合、総スカンを食らうでしょう。
なので、そもそもとしては徴収期間を引き延ばすことはおかしいと思いますが、どうしようもなさそうです。

在職老齢年金の廃止

では、在職老齢年金制度の廃止はどう考えるのが良いのでしょうか。

在職老齢年金は、
年金を受給する高齢者が働くことによって給料をもらっている場合、
給料と厚生年金の合計が月50万円を超えると、年金額が減らされるという仕組みです。
「年金が減額されるならば、働いても無駄だ」と思う高齢者がいる。
人手不足の日本においては、高齢者も大切な労働者だ。
ならば、高齢者の働く意欲をそがないために在職老齢年金を廃止しようという論理です。

在職老齢年金制度によって、年金が減額された65歳以上の年金受給者は2021年度時点で、受給権者の17%に当たる49万人がいます。
減額された年金の総額は4500億円です。

在職老齢年金制度を廃止することによって、
4500億円の年金財政は減少しますが、
一方で、49万人の労働者が意欲を持って働きます。
今回の検討事項は、
4500億円の年金財政圧迫よりも49万人の労働者を守ろうということでしょう。

年金が減額されるなら働きたくないという人は必要か?

でも、よく考えてみてください。
年金額が減額されるのは、給料と年金額の合計が50万円を超えた場合です。

月50万円を超える。

それだけもらっていれば十分ではないでしょうか?
その額を超えるならば働きがいが無くなるというならば、そもそもそこまでして働かなくてもよいのではないでしょうか?
今の若者のどれくらいの人たちが月50万円をもらっているのでしょうか?

私はこのように思います。

今の日本の政治は若者のことを考えていると言いながら、結局、高齢者を優遇しています。
これが昭和30年代は高齢者は弱者だったので仕方がありません。
しかし今は、毎日の暮らしがやっとの若者がたくさんいます。
若者が将来に希望を持てないと、活力が生まれません。そして国は発展しません。

若者の収入を50万円にする施策はいかがでしょうか?

在職老齢年金制度を廃止するならば、
50万円の給料に満たない若者に対して国が給付する。
それくらいの対案を打ち出してほしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?