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【ベトナムの人に抜かれる日も近いかも?と頼もしく思う】

私が2014年に視察、2015年にホーチミンに来たときは。
「日本酒の普及」などと謳って…その実、数年間は日本人のお客様率100%でした。

慣れない土地で初めての業種・業態でのお仕事で、しかも一人で起業。
しかもベトナムの人は日本酒を飲むのか?
何の保証もありません。

それがいつの間にか、日本人の方たちがベトナム人の同僚や取引先、従業員を連れてきてくださるようになり。
欧米人、アジア人の方が増えて、そのグループの中にベトナム人の方々も交じるようになり。
今ではベトナム人同士のグループ、カップル、女性グループ、女性のお一人様までご来店くださるようになりました。

先日、Mua Craft SAKEのスタッフさんたちがいらっしゃいました。
Mua Craft SAKE(ホーチミンの酒蔵)のオーナーは韓国系カナダ人、杜氏はアメリカ人、マネージャーは酒ソムリエのベトナム人。
そして「新しい蔵人です」と連れてきてくださったベトナム人の方。
この酒蔵に日本人はいません(醸造指導は和歌山の平和酒造ですが)。

当店の日本酒をあれこれ試飲している様子を見ていて、その熱心さ、知識の正確さに、この人たちが、また新たに日本酒に関わる人財を育成してゆくようになったら。
ベトナムの日本酒市場は、正しく日本酒を理解したベトナム人のプロたちで伸びてゆくだろうなと予感できるのです。

当店のスタッフTuさんには、サンプルや新商品が入ってきたら、必ず試飲してもらっています。
そして風味について、自分なりの感想や意見を言うようになりました。
お客様には特定名称酒の違いが説明できますし、お料理とのペアリングも提案します。
時間がある時には、JETROが発刊した日本酒の教本で勉強しています。

最近は常連のベトナム人のお客様も、「おすすめは?」と聞くこともなくなり、自分で気に入った銘柄をお選びになるようになりました。

余談ですが。
現在、世界40ヶ国からお客様がいらっしゃるようになると、その国の経済発展度と文化度は、日本酒の理解度と嗜好度におおむね比例しているなと感じます。

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一方…。
日本人のご年配のお客様がいらっしゃると「辛口しか飲まない」というのはまだしも、当店のラインナップをご覧になって「見たこともない、有名じゃない銘柄ばかりだね」とおっしゃるので、どのような銘柄がご希望なのか尋ねると「越乃寒梅」「雪中梅」「八海山」「上善如水」…。
30年以上の日本酒とのミッシングリンクを感じて、残念に思います。

※このラインナップ(壁の貼り紙写真)で、見たこともない、と言われても。
 もう少しアップデートしてほしいですね。

また、ある日本酒を扱っている飲食店のオーナーさんは人手不足で困っていらして、
「でも日本人アルバイトでないと、ベトナム人って、どうしても日本酒、わかんないじゃないですか?」
とおっしゃって、大変違和感を感じました。

「ウチのスタッフは風味の違いも説明できるし、お料理とのペアリングもできますが…」
と、思いっきり話の腰を折ってしまいましたがw

ベトナムで日本酒ビジネスをやっていて、ちょっと残念ですね。

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