知識と校正と校閲と
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本を読んでいると、たまに間違いに気づくことがある。
多くは誤字脱字だが時には内容が間違っていることもある。
編集作業で間違いを見つけるなら「校正」が思い浮かぶが
「校閲」というのもあって、それってどう違うのかと
いつもの新明解国語辞典第三版で引いてみると
校正:原稿や原資料などとつきあわせて、文字や図版の誤りを正すこと。
校閲:書類や原稿などの誤りや不備な点を調べて、加筆訂正すること。
となっていて
実際に編集の方が行っているのは
「校正」と「校閲」を合わせたような仕事ではないかしらん。
さてそこで
今までで出会った一番の間違いは20歳ころに芥川龍之介の全集で読んだ
「あの頃の自分の事」に出てくる「サバト」だと思う。
「サバト」は欄外の註で「土曜日」となっていたのだが
これに強烈な違和感を持ったのだ。
なるほど「土曜日」はスペイン語で「サバド」だが
文脈から明らかに意味が「魔女の饗宴 Sabbat」の方だったから。
カタカナで書くと「サバド」と「サバト」で紛らわしいのは確かだが
明らかに意味の繋がらない単語を選択してしまったのはどうしたワケか。
「サバト」をちょちょっと調べて
「あ、土曜日だな」で済ませてしまったのだろうと。
いや、だけど、意味、通らないじゃんよ。
この時はこれを出版社に伝えるべきかどうかずいぶん悩んだものだ。
まだメールも無い時代だったから、ハガキに書いて出すべきか否か。
結局何もしなかったのだが、ずっと後になって考えたのは
直すと言っても重版がかかるときしかできないし
全集で重版がかかることもそうそう無いのではないか、ということだった。
イマドキだと電子書籍で見つけたのならずっと気楽に伝えられるし
初版の部数がかなり少ないということなので重版がかかりやすい
かな?かなかな?
実のところ
自分が「サバト」の意味の間違いに気づいたのは
岩波新書の「魔女狩り」森島恒雄 を読んでいたからだ。
それでなければ「ナンか、意味が、なあ」で済ませていたかもしれない。
言葉の正しい使い方ばかりではなく
いくつもある言葉の意味も・知識も無いと間違いが世に出てしまうとは
校正のお仕事というのはホントに苦労が絶えないと思う。
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