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【掌編小説】時間


真っ暗な空間で、ふと目が覚めた。腕に巻き付けているスマートウォッチをタップして時間を確認すると、1時半である。
じんわりと、寝間着にしているTシャツがしめっていることに気がついた。どうも今日は思ったより暑くなっていたようだ。とりあえずまず扇風機のスイッチをオンにし、涼む。しんどいのでクーラーもつけたが、冷えるまで時間がかかるからだ。その風で汗を冷やし、心地よさを味わう。
「地球温暖化ってやつかあ……」
ふと、そんなことを呟いた。ここはいわゆる東北と言われる北の土地だが、まだ7月でも容赦なく暑さが襲いくるようになった。そして真夜中にも目が覚めるような熱気があふれるようになってきたのである。
子どものときはこんなんじゃなかったよな、とひとりごちる。
俺は40代半ばだが、小学生のころは30度を超える日も一夏で数えるほどだったんじゃあないかと思った。今日30度超えたー!と友達とわいわい騒いでいたことを思い出した。あの記憶はもしかして、偽物だったんじゃないかと思えるほどの気候変動である。
ふと、スマホに目をやるとメッセージアプリにメッセージが届いているのに気がついた。ああ、多分あいつからだ。あいつも夜中の暑さに辟易して、メッセージを送ってきたのだろう。見てみると全くそのとおり、「あつい」の一言だった。俺はそれだけ見るとすぐスマホを切った。

ただでさえ東北の夏は短く、さらに小学生のころは楽しさで加速し夏なんて一瞬のうちに過ぎ去っていたような気がする。それもあり暑さは気にならなかった。それこそ夏休みなんてあっという間に去っていた。だが年を経るごとに夏はめんどくさくて、過ごしにくいものになっていたような気がする。
とはいえ頭の中で小学生のことを思い出すと、楽しいことが山程あって、それが未だにハッキリと思い出せるのだ。時空がゆがんでいたのでは、と錯覚するほどに。時間とは不思議なものである。
そんな本日の夜中だが、反対にだらだらとゆるく時間を感じていた。入ったことはないが牢獄にでも入っているような気がした。これから数日、まだ暑い日は続く。今年の夏もハードだな……、と思わざるを得なかった。

【了】

前日腸をやりまして(軽いけど)。まあまだ絵は描けんな〜ということで本日はオリジナルの掌編小説シリーズ。久しぶりになりました。

もしかしたらこの主人公、『家路のコーヒー』と同じかもしれません。ヒゲ剃った?しかし40代にしては絵が若々しい?

なお、今回はほとんど自分が感じたことを書いてるだけです。まあ主人公を男性に置き換えてなんとなく小説ぽく?しましたが。うおおお暑いわー!!と夜中に目が覚めたことを思い出して書いてました。もう今は東北でもこんなんです。

なおイラストは掌編小説の場合相変わらず画像生成AIのDream by WOMBOさんに頼んでます。挿絵イラストっぽいのにしっくり来るフィルターが沢山あるので! 今回はThe Bulio Cut v2を使用しました。

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