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『下午のまち銭湯』㉒巣鴨湯(巣鴨)

銭湯は昼下がりに行くに限る

新装開店話題のまち銭湯へ

巣鴨に行く。巣鴨の銭湯はいつも駅近くの宮下湯に行っているんだけど今回は別の銭湯に行く。巣鴨湯。ここが今までの建物を改修して新しくリノベーションするということでいってるみることにした。新装開店までの様子をSNSに上げてくれていてどうやらサウナ主体のデザイナーズ銭湯になる感じ。

巣鴨の駅からは商店街を抜けて結構歩く。地下鉄の駅からだとすぐなのでそっちを利用したほうが良いのだけれども、久しぶりに地蔵通り商店街を歩いてみたかったのであえてJRの駅から歩く。かなり混んでいるという情報があったので開店からちょっとずらして16時くらいに行くことにした。
久しぶりに歩く地蔵通りは相変わらず人がいっぱいいて、年齢層も少し高め。この商店街にある「ファイト餃子」というみせに依然よく通っていてせっかくなので久しぶりに行ってみようかとも思ったのだけど、銭湯の前に餃子ってのもなんなんだかな。行くなら銭湯後・・・湯上りに餃子で一杯・・・そそられる。などと考えて歩いていくと看板が見えてきた。

マンションの一階部分に入り口がある。いわゆる銭湯の面構えという感じではない。自動扉の入り口の上には「SUGAMO YU」とオシャレなロゴが掲げられている。暖簾をくぐって「どーもー」って感じではとてもない。Cafe風の出立は最近の銭湯のそれなんだけれど、マンションの一階ならこっちのが溶け込んでるともいえる。この時代の街には実はこっちが正しいのかもしれない。

巣鴨湯


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店前ではスタッフの人が客案内をしている。おそらくOPEN時にはかなりの客が押し寄せたのだろう。これは満員で入れないかもと思ったが、「サウナはいりますか」といわれたので「入浴だけです」と答えると「中へどうぞ」言われた。サウナだけ入場規制がかかっているということのようだ。中に入ると木札のカギの下駄箱がある。新しい銭湯でこのタイプは珍しい。横に発券機があって入浴料を支払う。発券機はタッチパネル式という最新仕様である。そのままロビーを通ってフロント番台に入場券を持っていく。
脱衣場にはいる。出来立てほやほやなので、新しいし照明も明るい。中に足を踏み入れるとふわっと沈む感覚。みてみると畳が敷き詰められている。意識すると井草の匂いがやんわりする。ロッカーはスポーツジム式のシリンダータイプのもので、100円リターン式。ロッカーを開けると扉の裏に眼鏡を置く棚がある。サウナのロッカーにはよくあるのだけれど、銭湯のロッカーではあまりお目にかからない。これは地味に役に立つ。

服を脱いで浴場に向かう。脱衣場は新しい大きなテレビやマッサージチェアがあったり今風のデザイナーズ銭湯という感じなのだが、そんな中に銭湯でおなじみの古ぼけた例の体重計がある。

扉を開け脱衣場へはいる。広い。天井も高い。ただ外の光の取り込みは少ないので、昼夜ともに明るさは変わらない感じ。足を踏み入れるとまたも柔らかい感触。なんと浴場も畳張り。全面的に木を意識したつくり。床のタイルも木目柄だし柱や天井も木の色だ。入口のすぐ右横にサウナがあって、これも木の樽のような作りになっている。全体的に和風で銭湯というよりは温泉ホテルの大浴場のような造り。

桶と椅子はあらかじめカランに設置してある。桶は無地の薄い素材の白桶。さすがにごっついケロリンではない。カランの数は広さの割には少なくて壁側に8個となかに壁ばさみで8個の計16。カランは水湯一括温度調整できるスーパー銭湯のやつと同じ。シャワーも同じ手元で操作できる。シャワーは口が大きく優しいお湯がまんべんなく出てくる。

ボディソープリンス、コンディショナーがカランに備え付けてあって、これが炭仕様の真っ黒いもので面白い。夕刻まえなのにかなりお客さんがいてカランが結構埋まっている。客層は若い。といっても錦糸町の黄金湯のような本当に若者という感じではなく中年層の客もかなりいる。予想はできていたが実際浴槽に入って確信したのがサウナのお客さんが多い。巣鴨なのだけど老人はあんまりいない。確かにこの店構えでだと入りにくいといえばそうだ。もしかしたら店頭の客案内は雰囲気的に二の足を踏んでいる老人層の呼び込みというのも兼ねているのかもしれない。

浴槽に向かう。浴槽は左側の壁沿いに4つ並んでいる。一つ一つがしっかり広さがある。正面の壁はガラス戸になっていてその向こうに屋外スペースがある。あれは露天風呂か。さてどれから入ろうか。一番左側は紫にライトアップされていて水風呂。その隣の広い浴槽はバイブラの透明湯。これが白湯の主浴槽かな?と判断してそこからいただく。

しゃぽん。足を入れる。

!!!

ぬるい。というか冷たい。温度時計を見ると30度。これもサウナ用の冷やし浴槽だったのか。ということで隣の浴槽に移動。やはり最初はあったかいお湯から入らなくては。隣の浴槽は白い色だ。入浴剤入りの薬湯かな?入る。こんどはちゃんとお湯だ。でもこれもなんか緩い気がする。温度は40度。う~ん。熱いお湯が恋しい。よく見るとこのお湯のいろ入浴剤ではなかった。微粒子気泡のシルキー風呂というやつだ。なるほどだからちょっとぬるめ設定なのか。炭酸風呂と一緒でじっくり入って肌や毛穴を刺激させるためである。これもいいけどやっぱり熱いお湯から入りたかったのでまた移動。

最後の浴槽は少し小さめ。ジェットバス二基電気風呂の白湯浴槽。ジェットバスは片方は寝風呂式、もう片方は座風呂式。見た感じだと結構ごぼごぼしていて強そう。入る。あったかい・・・か?シルキー浴槽よりは温かいがなんというかここも銭湯の浴槽にしては優しい温度な気がする。まずは寝風呂から。銀枕にひったと後頭部をつける。ジェットの感度はまち銭湯のあの強烈な感じではないんだけど思いのほかしっかり強さがある。隣の座風呂の方も味わう。こっちの方がジェットは強めな気がする。電気風呂もしっかりビリビリはある。ぼくは電気風呂が苦手な人間なのでこれでも十分強烈だったけど、もしかしたらちょっと優しめ設定かもしれないなとも思った。

しかし何というか・・・ものたりない。熱い湯に入りたい。でも後は水風呂しかないし・・・どうしよう。あ。露天風呂があるじゃないか。そっちが暑いお湯に違いない。ということで移動。

ガラス戸を開けていざ外に・・・するとそこは外じゃなかった。もう一つ部屋があって左側に長方形の青い浴槽がある。ここも内風呂。おそるおそる足を入れる。

これは・・・熱い!熱いぞ!こんなところに隠れていたとは。ついに熱い湯を見つけたぞ!温度計をみる。42度!やった。でもこの浴槽もうちょっと温度が高い気がする。たしかに上の方は42度くらいだが底の方はもっと熱い。下の方からじわじわあったまってきた。気づくと汗もだらだらかいてきた。ほっかほかだ。よしこれはいけるぞ。

水風呂に移動。サウナの正面。入る。おお冷たい。さすがサウナ仕様だ。一気に体が冷えてくる。でも皮膚はまだお湯の熱さを保っている。表面がしんなり冷えてきた。ざばっとあがってまた熱い白湯浴槽へ。今度は一気に体温が上昇する。皮膚の表面をしびれが襲う。気持ちいい。ふと横を見ると屋外スペースがある。露天?と思ってみると椅子がたくさん並んでいて「外気浴」とかいてある。外気浴専用スペース。完全にサウナ施設に振り切っている。そうだよな。せっかく改装するならこのビッグウェーブに乗らないと。

もう一度身体が火照ってきたので今度はあの30度のバイブラ浴槽に移動。入る。
なんだこれ。気持ちよすぎる。最初に入った時とまるで違う。絶妙の温度差だ。そしてこの気泡。細かいバイブラがうじゃうじゃ下から出てくる。体を無数の気泡が包み込む。まるで炭酸飲料の中につかっているみたいだ。ぬるい湯につかっているのに体がなぜか温かくなってくる。これはサウナの休憩時間にやってくるあの感覚と同じなんじゃないか?みんなサウナなんか入ってる場合じゃないぞ。これは極上の交互浴だ。

水風呂→白湯→バイブラ→シルキー風呂のローテーションで何度も繰り返す。とにかくバイブラ湯の気持ちよさが半端ない。あまりの気持ちよさに放心状態。思わず変な笑いがこみあげてくる。そういえば新しくなった黄金湯に行った時もこのような感じでひたすら交互浴の沼にはまった。どうやらサウナに振り切った新銭湯はハイレベルな交互浴も楽しめるようだ。これは新しい発見だ。今後もこういったリノベ銭湯が増えていくんだろうけどチェックしていこう。

満足満足大満足で脱衣場に戻る。ドライヤーで髪を乾かそうとすると2か所とも使用中。昼下がりの男湯でドライヤーの順番待ちなんて初めてだ。ベンチに座って待っているとへやのはじでゴーっと何かがなっているのに気付いた。音の方に行ってみるとそこは小さな部屋のようになっていて天井から温風が出ていた。「ボディドライヤー」とかいてある。ここは全身を自動で乾かしてくれるスペースなんだ。こんなの初めて見た。ドライヤーがあくまでちょっと入ってみよう。そこそこ風は強いけど・・・水気が取れているようなとれていないような・・・不思議な感じ。

ドライヤーは10円。普通は20円だから安い。でも1分だからすぐ終わってしまった。そのまま番台に挨拶してロビーにでる。ロビーには漫画「サ道」が置いてあった。やっぱりサウナをかなり意識した施設なんだな。

デザイナーズ銭湯はサウナーやビギナーズ向けというイメージだったけれど改めないといけない。侮れない。ぼくはまだ銭湯の奥深さを何もわかっちゃいなかったのだ。それを教えてくれた素晴らしき銭湯であった。

銭湯の詳細

巣鴨湯[所在地]豊島区巣鴨[最寄り駅]都電荒川線「庚申塚」駅下車1分[営業時間]月水木金 15:00~24:00、 土日12:00~24:00 [定休日]火曜日[入浴料]500円[サウナ]1000円(バスタオル付)[ドライヤー]10円
※シャンプー、ボディーソープあります

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