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『下午のまち銭湯』⑳ちどり湯(広島市南観音)

銭湯は昼下がりに行くに限る

地方都市に一泊して

地方都市に行った際は無駄に一泊してしまう。この日も広島で用事を済ませ夜の新幹線で帰路につこうかと思ったのだが、せっかくだからと一泊することに。

 近くのサウナで汗を流す。「ニュージャパンEX」という施設。大阪にもニュージャパンというサウナがあったのだけれど関係は不明。これがなかなかいいサウナだった。ぼくは銭湯が好きだけど銭湯のサウナを使うことは基本ない。逆にこういったサウナに来ると浴槽につかることはほぼ作業的になる。サウナと水風呂の行ったり来たり。銭湯で交互浴に目覚めてからはサウナでの水風呂も長く入れるようになった。よくととのうなんて表現されたりするけどぼくはよくわからない。確かに気持ちよくなってぼーっとなるんだけどこれのことをみんな言ってるのかなぁ・・・でも宇宙と一体になる感じとかいう人もいるしそこまででもないような。

このニュージャパンEXはミストサウナ遠赤外線サウナオートロウリュウサウナなどがある。複数のサウナがあるってのはやっぱ楽しい。オートロウリュウのサウナ室はかなり熱かった。カプセルホテルも一緒にやってるところだったのでその日はそこに泊まった。

翌朝、チェックアウトして広島市内を見て回る。お好み焼き食べたりお好み焼きを食べたりお好み焼きを食べたり・・・気づくとすっかりお昼を回ってしまって昼下がりに突入。昼下がり・・・銭湯に行こう。

昼下がりの広島

インターネットで市内の銭湯を探す。ここがいいと目星をつけたのは西区にある「 ちどり湯」。広島駅からは歩いていくには遠すぎる距離だったのでバスで向かう。ちょうど銭湯の目の前にバス停があるんだ。

バスに揺られ駅から離れていく。広島は都会だ。地方都市ならではの機能がギュッと詰まった街並み。大手町と新宿と青山と上野が一緒になった感じ。大きな商業ビルに金融のビル、アパレルブランドのショップがあったかと思えばアーケード街の入り口があったりする。

交通量は半端ない。車がひっきりなしに走っている合間を路面電車が走っている。路線バスの数もものすごい。凄いな~と感心したけど考えてみればこれだけの大都市で地下鉄がないのだからこれくらいの交通量になるよな。

しばらくバスに揺られ黄色で目立つらーめん来来亭の店舗が見えたらバスを下車。目印にちょうどいい。バスを降りたら通りを渡ってすぐ。ちどり湯に到着。開店時間のちょっと前に行ったけど開店待ちのお客さんが結構いる。

ちどり湯


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コンクリート製の四角い建物にオレンジのラインが入っている奥には煙突が見えて、手前には駐車場があり車が止まっている。オレンジの大きな暖簾をくぐって入場。入口は一つで入るとすぐ下駄箱があった。このあたりは東京のと一緒。入口から男女が分かれているところもあるので。

下駄箱は木札付き。斜めに差すやつ。すぐ右にロビーがあって入口のところに発券機。料金を支払う。450円。フロントで下駄箱の木札とロッカーのカギを交換して中に入る。ロッカーのカギはスーパー銭湯タイプ

脱衣場に入る。天井は低め。床一面に茣蓙がひかれている。中央には畳椅子。ロッカーはスポーツジムタイプの縦長タイプで新しめ。ロッカーを開けるとちゃんとハンガーが入っている。脱衣場壁には一面に背景絵が描かれている。人々が銭湯に浸かりながら和んでいる大きな絵。どことなく昔の漫画タッチで凄くノスタルジックに感じる。

かららら~・引き戸を開けて浴場に入る

全面タイル張り。タイルは白い横長の小型長方形のものがしきつめられている。このタイル、東京だと多機能銭湯でたまにあるけど一般的には少ない気がする。東京は壁一面ペンキ塗りだったり、タイルも大きめの正方形のものか、もっと小さなモザイクタイルが多い。健康ランド風のこのタイル作りはなんとなく地方都市の銭湯というイメージがある。大阪とか京都の銭湯もこのタイルだったなぁ。

浴槽は内風呂3+1(水風呂)と露天1つ。浴槽とカランの配置は結構独特。縦長の浴室に合わせて浴槽も縦に配置されているのだが、手前の浴槽が浴場中央にあってその周りをカランが取り囲んでいる。いわゆる関西風の造り。ただし奥に行くと壁が凸と飛び出していてそこは壁に沿って浴槽がならんでいる。これは東京風。凸部分はサウナ室と露天スペースで露天の方はガラス張りで外が見える。一番奥のサウナ室の対面にもう一つ浴槽がある。これは水風呂

カランの数は13個。一つ一つのカラン間が広くゆったりとられている。椅子と桶は事前にカラン前に配置されている。桶は黄色いケロリン。ふと上を見あげると壁の一部に金属の棚がある。物をいろいろ置けるんだなぁ。カランに石鹸類はない。東京の銭湯に行き慣れてるとボディーソープとシャンプーは備え付けが当たり前って感覚になるけれど実はそれが特別なだけ。普通は家から持ってくるかフロントで小さい小瓶のやつを買って使う。でも東京の銭湯も経営がかなりきついらしいので備え付けサービスも近い未来なくなるんじゃないかなぁと予想している。

他のカランでは年配のお客さんと若い人が「どーも」とあいさつを交わしている。常連さん同士なんだろう。年齢を超えた交流。これもまち銭湯の良いところ。関西弁とも九州弁とも違うこの地の独特の言葉遣いが浴場内に響く。

まずは一番手前の浴槽から。この浴槽は結構深い。内部は縁から二段の階段になっている。しゃぽんと浸かる。染みる。直線とブロックできちっと四角形の浴槽はどことなく無機質で東京銭湯の人情味とはちょっと違うけれど開店直後のお湯はやっぱり気持ちいい。

隣のジェットバスへ移動。地方都市銭湯のジェットバスは侮れない。ブクブクと泡がしっかり出ていて見るからにしっかりとした湯流だとわかる。が、入ってみると意外と優しい感じ。といっても勢いがないわけではない。しっかりと湯の圧力はあるんだけども、浴槽全体がジェットでブクブクとなって湯の流れが体にまとわりついて包み込む感じで気持ちいい。

身体がしっかり火照ってきたので奥の水風呂に移動。入る。おお!冷たい。これはサウナ仕様の冷たい水。一気に体が冷える。いったんカランに戻って休憩。ちょうどサウナ上がりのお客さんがすぐ後に水風呂に入ったのが見えた。「なんじゃ!今日の水風呂は一段と詰めたかね!」と唸っている。なるほど今日は特別仕様か!

そのままガラス張りの壁の向こうの露天スペースに行く。外に出てみると実は露天じゃなくて高いところに屋根がある。でも光の取り入れ方がしっかりしているのでこれは露天風呂扱いでいい。浴槽の中を見るとバイブラ。これがボコッボコといった感じで勢いが凄い。入ってみるとやっぱりすごい。マッサージいすレベルの刺激が下から突き上げてくる。水ぶろ上がりの強力バイブラは超刺激的だ。露天浴槽でぼこぼこにやられているとバチバチバチと室内に響き渡る水の音が気になった。

正面を見るとビニール製のカーテンがあって音はその中から聞こえてくる。カーテンを開けるとそこには扇形の小さな浴槽があってそこに上から勢いよく湯がたたきつけられている。これは打たせ湯だ。上を見るとかなり太めのパイプから結構な量の湯が落ちてきている。これは打たせ湯のレベルじゃないな・・・入って打たれてみると・・・やっぱり勢いが凄い。滝行みたいだ。ひとしきり頭をバチバチはたかれたあともう一度内風呂に戻る。

まだ一つ入っていない浴槽がある。電気風呂だ。浴槽全体が電気仕様。恐る恐る入湯。じっくり背中からじりじり電流エリアに迫り。ビリ・・ビリ・・きたきた・・ごががが!!!!。強い!ここの電流は強烈。まだ僕のような軟弱者には早かった。早々に水風呂避難してもう一度白湯へ。冷たい水の後だから皮膚がビリビリしびれる。疑似電気風呂。ぼくはこれでいい。電気風呂浴槽を見るとおじさんが至福の顔で入浴している。達人・・・いやもう仙人の域だ。

そのまま脱衣場へ戻る。髪を乾かす。ドライヤーは無料。時間を気にせずじっくり乾かす。

フロントに「どーも」とあいさつして外に出る。この挨拶は全国共通。バイブラ、うたせ湯、電気風呂。この銭湯はいろいろリミッター外れていたな。面白い。体がホッカホカにあったまった。そして風呂上がりの新幹線で一杯やりながら帰る。これがやめられないんだよなぁ。

銭湯の詳細

『ちどり湯』[所在地]広島市西区南観音[最寄り駅]広電バス3号線「南観音3丁目」下車徒歩3分[営業時間]14時30分~23時00分[定休日]不定休[入浴料]450円(サウナ利用650円)

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